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冒険者~始まり~

事件の終わり

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ファウスト邸に戻ったフェリーチェたちを出迎えたのは、満面の笑顔をした母サマンサだった。サマンサは駆け寄りフェリーチェを抱き締め、片腕を伸ばしてアルベルトの頬を撫でた。

「フェリもアルも頑張ったわね。疲れてるでしょ?お風呂に入って今日は早く休みなさい」
「はい」
「うん」

2人はサマンサに言われた通り風呂に向かった。元々ファウスト邸に風呂は無かったのだが、フェリーチェが珍しくお願いしてきたのでクロードが作ったのだ。最初、利用するのは少数だったが、今では使用人やエヴァン一家やオースティンたちも入りに来るようになっていた。理由はフェリーチェとアルベルトとガイの3人が風呂を弄ったからで、溜まった疲れが取れたり、傷が綺麗に治ったり、ニキビや肌荒れが治ったりと、他にも色々と特殊なな風呂になっていたからだ。おかげで別途、来客用と使用人用の風呂が増設された。
フェリーチェとアルベルトを見送ったサマンサは、ミゲルたちに視線を移した。

「ミゲルとネイサンもお疲れ様。それと初めまして、わたしはサマンサよ」
「我が名はヴィルヘルム!跪けにんげぼっ!?」

サマンサに偉そうに自己紹介していたヴィルヘルムはドドドドっと走ってきたガイに顔を蹴られて倒れた。

「あらあら」
「ヴィルヘルム!やり直し!」
「あ、主!何で蹴るんだ!痛かった!」
「お前は今日からここのペットになるんだぞ!ペットが飼い主にそんな態度でどうする!」
「ぺっ!?ぺぺぺ、ペット!……うわぁ~ん!」
「泣いてないでやり直せ!」
「母上、私たちも失礼します」
「場所はいつもの所ですか?」
「えぇ、でも人数が少なかったから貴方達の分は無いかもしれないわ」
「それならそれで王宮に行きますよ」
「失礼します」

ペット扱いで泣き出したヴィルヘルムだったが、ガイが容赦なくサマンサに頭を下げさせた。その様子を見ていたミゲルとネイサンは、残っている仕事をするために早々に引き上げていった。
一方フェリーチェとアルベルトは、一緒に風呂に入る入らないで揉めていた。

「いい加減、別々に入ろうよ~」
「ヤダ。何でそんなこと言うの?僕は一緒が良い」
「もう10歳なんだよ?恥ずかしいよ」
「えぇ~…じゃあ今日だけ!今日で最後だから…ダメ?」
「も~しょうがないな~」

結局フェリーチェが折れて一緒に入ることになった。そのやり取りを聞いていた使用人たちは微笑ましく見守りつつ思った。

(((アルベルト様の‘今日だけ’って何度めかしら?)))

そんなこんなで事件から数日後、事件の首謀者や盗賊たちは裁かれた。人身売買の被害者は何人か見つかり保護されたが、未だ捜索は続けられている。孤児院にはシスターが派遣されドロシーはドットに戻った。最初グレイたちはギクシャクしていたが、心の整理がついたのか今では普通に接し、父と読んでドットを喜ばせた。しかし、たまにその道の男が手紙をありがとうとドットを訪ねてくるらしい。
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