蓮華

釜瑪 秋摩

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外伝:レイファー・フロリッグ ~馴れ初め~

第5話 転機

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「おっ、すっげ!」

 イキすぎて呆然と崩れ落ちていた俺のアナルから、最奥に出された種がやっと零れ落ちて来た頃、お隣の旦那さんの声が聞こえた。

 俺たち夫婦のベッドに、まるで当たり前のよう全裸で転がる彼が、俺にスマートフォンの液晶をかざす。

「さっきの画像投稿したやつ『リツイしてくれたら動画アップする』って言ったら、もう700リツイ行ってっぞ、お前がメスにされるの700人以上に見られてる」

 見覚えのあるSNSのUIに、俺の動画が本当に投稿されているのが見えた。


『ノンケセフレのメス堕ち宣言、今撮り。リツイしてくれたら中出しアップする』


 とツイートされている。

 上手く見えない角度で撮られていたが、声は俺のものだ。
 僅か数秒の、

「ちんぽ好き♡♡♡」

 というメス発言ではあったが、広げた足の間で俺の勃起したちんこも、垂れたキンタマも、濡れたアナルも無修正なまま全部丸見え。

 特徴的なものでは無いから誰にも分からないだろうが、足を広げる俺の手に見える結婚指輪のせいで、

『既婚ノンケだ』

 と興奮したリプライが幾つかつけられているのも見てしまった。

 確かにリツイートは700……いや、もう800を超えそうな勢いだが、その画面に見える再生回数は何千という数字が刻まれている。

「そ、そんな……」

 呆然と口から零れた俺の声に、

「嬉しそうな顔してんじゃねーよ」

 笑う声が届く。

「だ、だって……」

「変態なとこ見て欲しいもんなぁ?」

 肯定しか許されない問いを投げられ、

「は、ハイ♡」

 もう逆らうことをやめた俺は、否定しきれない昂揚感のなか答えた。

 あんなに沢山のひとに、俺の恥ずかしいところを見られてしまうの、実は初めてじゃない。
 初めてお隣の旦那さんに抱かれた時もハメ撮りされて、顔だけモザイクかけられたそれを、知らないうちにゲイ向けのSNSへアップロードされていた。

 その時もものすごく沢山の人に見られて、ものすごく沢山のいやらしいコメントを投げかけられていた。
 中には外国の言葉もあったし、俺の犯される姿をそうとは知らぬまま恋人同士のセックス動画だと思いながら、

『エロくて抜きました』

 という宣言も沢山あった。

 あのとき俺は、画面の向こうの知らない誰かに見られる快感も覚えてしまったのだ。


「素直になっちゃってまぁ、オフパコしてもらうか?」
 何気ない口調で尋ねた彼に、

「お、オフパコ?」

 俺は戸惑いを返す。

「ネットで募集したヤツとセックスすんの」

 しかし何でもないことのように言われ、

「えっ、俺が?」

 世の中にはそんな人もいることは知っていたつもりだったけれど、それが自分の身に起こるなんてこと想像もしたことの無かった俺は驚いた。

「オナホなんだろ? 使い回しゃいーじゃん」

 彼はセックスの道具として扱う前提の言葉を、やはり何でもないことのように俺に使う。

「はい、オナホでした」

 しかし既に俺はもう、そうして扱われることに興奮する心と身体にされてしまっているんだ。


「そーいや俺のツレが、既婚マワしたいって言ってたから今度貸し出すな」

「エッ!?」


 既婚? マワしたい?
 って、輪姦ということだろうか?
 不特定多数どころか、多人数で俺を――。

「4Pくらいだから大丈夫だろ、代わる代わる犯されんのされてみたいだろ?」

 俺の欲望など識っているかのように言う彼にとって、この異常な欲求などありふれたもののよう簡単に口にできる類のもので。
 しかも、まるで俺の所有権が彼にあるのだと言うように、当たり前に俺を『貸し出す』と言った。
 そして、その決定権も自分にあるかのよう振る舞うんだ。

「ハア……ッ♡」

 それでも俺は、想像しかけただけで胸が苦しくなるような興奮に、吐息を零す。

「3人に種壺にされたらオナホだって孕むかもなぁ♡」

 意地の悪い笑いを滲ませ言った彼のザーメンが、今また俺の腹から降りてくる。

 このあと約束通り、俺に中出しする動画を撮るため、またこの種は押し戻されるのだろうか?
 彼の太くて大きなおちんぽに。



「ま、ともかく嫁さん帰ってくる3日後まで子作り励むとするか」

 しかし彼はあっさりとスマホを手放して、ごろりと寝返りを打ち俺を見た。


「――えっ?」

「なんだよ、もう終わりかと思った?」


 そうではないけれど、きっとまだ終わらないのだろうなという思いも期待もあったけれど。

「俺ん家でもヤる? うちのはお前とパコるの知ってっから気にすんな」

 更に彼はとんでもないことを言った気がする。

「なっ!? 何言って……」

 思わず飛び起き口にした俺の隣に座った彼は、

「言ってなかったっけ? うちそういうのはお互いに放任だから、最初にお前とヤッた時もうちのに飲まされたの覚えてねーの? もしかして薬盛られたのも覚えない?」

 億劫そうに後ろ頭を掻きながら、そんなことを言った。



 確かに最初に彼と関係を持ったのは、うちの嫁さんが実家に戻っていた日にお隣から夕飯に呼ばれ、お隣の旦那さんとその奥さんとで宅飲みした日。

 俺は飲み過ぎたみたいで隣家で眠り込んでしまって……。
 目覚めたら裸でケツの穴に生ちんぽハメられてて、意識のない裡からヨがっていた。
 訳が分からないまま、それでも俺はガン勃ちしてて。
 身体に力が入らないままケツ気持ち良くて、混乱しつつも最初から、

 あん♡ あん♡ あん♡ あん♡

 メス声で喘いでた。


 彼の奥さんはいつの間にか出掛けていて。
 あの夜から俺は――メスにされる快感を知ってしまった。彼に逆らえなくなっていた。

 そのとき聞かされたのは、俺の飲んだ酒にセックスドラッグが仕込まれていたこと。
 彼は俺のこと可愛いくチョロそうだと思って、ずっと狙ってたってこと。
 もちろん恋愛感情なんて甘ったるいものからではなく、ただの性欲の赴くまま扱える手近で便利なオナホとして。
 こんなのお隣の旦那さんにとっては、ただのスナック感覚だった。


 そしてそのまま関係を重ね、俺は今では彼のちんぽ無しの性生活なんて考えられなくなっている。
 他の人に『貸し出されて』複数のちんぽを代わる代わるハメられるのだって、待ち遠しくて仕方ない。

 嫁さんには絶対に言えない俺の秘密。
 知られたら死んじゃうってくらい嫁のこと好きなのに、彼とちんぽするのやめられなくなってる。



「う、嘘ですよね?」

 なのにその秘密を、彼と俺以外の人が知っているとか。

 放任主義か何だか知らないけれど、自分の夫が隣家の既婚男性と、しかも自分の友人の夫とセックスをしているのを容認しているとか。
 それどころか、セックスドラッグを使ってレイプする手助けをしたとか。
 嘘じゃなきゃ、倫理観が崩壊しているどころの話じゃない。

 こんな人たちに関わっていたら、うちはおかしくなる!

「なんで嘘なんだよ? 今回の嫁さんたちの旅行だって、うちのが言い出してお前の嫁さんも誘って行ったんだよ、俺がお前とヤリまくりたいって言ったから」

 この男に、呆然とか自失とかそんなレベルじゃないくらい混乱させられるのは何度目だろう?

「な……なんで」

 そしてそんなことしか聞けない俺に、

「このベッドで寝取ってヤリたかったからだろ?」

 男はチェシャ猫みたいにニマニマ笑って言うけれど、

「どうしてそんな……」

 質問を重ねた俺に、

「アー、めんどくせぇな、興奮したんだからいいだろもう」

 本当に面倒くさそうに唸ると、下らない質問はやめろとばかりに突っぱねる。

「でも、だからってそんなにまでして」

 だからって黙ってなどいられない俺が再度口を開くのに、


「リビングでもダイニングでもキッチンでも風呂場でも玄関でもヤッてやるよ、この家に居るだけでお前がちんぽ思い出して欲しがるように。俺、来週からテレワークメインの作業に入るから、うち来ればいつでもハメてやるよ? 俺も肉オナホありがてぇし。うちの嫁は土曜出勤だし、休みの日にこの部屋に嫁さん置いて俺ん家でハメるのもいいよな。音漏れないみたいだからテメーの大袈裟なメス声もバレねーだろ。日曜以外の嫁のシフト休みは、キッチンのカレンダーに赤で書いてあるから自分でチェックしろ」


 それを言った彼の目は、もう逃げられないから諦めろと言っていた。

「信じられない……」

 涙目で震える俺に、


「ハァ? さっきまでちんぽちんぽ大騒ぎしてた奴が何言ってんだよ? 嫁さんのまんこより俺のちんぽが好きって言ったのテメーだろーが」

「それは……だって……」

「それがお前の本性なんだよ、もっとちんぽ欲しがれよ、メスになれ、堕ちろ」


 俺に何も言わせないまま、彼はメスになれ堕ちろと、もっとちんぽを欲しがれと命令した。
 最初っから、彼がこの家に入って来た時から、俺に決定権などないのだと分からせるように。

「メスに……堕ち……、っん♡」

 俺の声に甘い喘ぎが混じったのは、無意識のうちに勃っていたちんこの先を、彼の指先が撫でたから。

「またペニクリ腫らして能書き垂れてんじゃねーぞ?」

 ラフな物言いは俺をドキドキさせて、次の言いつけを期待させる。

「ペニクリ?」

 しかし、聞きなれないその言葉に首を傾げた俺に、


「テメーみたいな淫乱なメスの用済みちんこはクリトリスで充分なんだよ、ガチガチに勃起するエッロいクリトリスだけどなぁ? ケツ掘られながらせいぜいペニクリ本気汁無駄打ちしとけ」

「そ、そんな……」


 身も蓋もないザコちんぽ扱いされて、

「嬉しそうな顔しやがって、バーカ」

 逆らえないこの部屋の俺に、発言権も決定権も無いのだ。

「とりあえず次はベランダでヤるか」

 楽しい提案のよう言う彼に、

「ベ、ベランダはご近所の方に……」

 俺は躊躇する言葉を返すけど、

「お前が声我慢してれば良いだろ?」

 俺は彼には逆らえないから。

「でもまだ昼ですよ!? しかも午前中!!」

 まともらしいことを言うけれど、
 休日の真昼間にベランダでちんぽハメされたらどれだけ興奮するだろう?
 メスイキさせられたらどんなに嬉しいだろう?
 と考えている。

「だから?」

 彼の問いはもっともなのだ。
 だって俺は、それに興奮している。

「だから……その……」

 俺はもう言葉を失くして。
 彼に逆らうような言葉を全部放り出して。

「だから余計に興奮するんだろ? ベランダのすぐ下は公園だしな」

 公園で遊ぶ子どもたちやその親を見下ろすところを想像して、「ヒッ!」と息を飲んだ。

「お願い……せめて夜にしてください」

 だからわずか取り戻した理性で訴えかける言葉は、

「ヤだ、ほら上だけシャツ着ろよ」

 たちまちのうちに却下される。

「あのっ……――――ハイ」

 それをどこか嬉しがる俺が、居る。

「俺のオナホは聞き分けよくなったな、でもベランダでちんぽちんぽ叫ぶなよ、旦那さん」

 オナホと言われ悦ぶ俺が、居る。

「ちんぽ……ハメたら、我慢できなくなります」

 早くハメて欲しいって思いながら、また腹のなか甘くイッちゃう俺が、居る。

「お前って本当に……どうしようもない変態のメスだな」

 そんな風に呆れられ、

「……ごめんなさい」

 ゾクゾク♡ が止まらなくなる俺が、居る。

「しょーがねーな、んじゃベランダは夜まで我慢してるよ」

 しかし俺のなけなしの葛藤を、彼は最初から用意していたのではないか?
 というような軽い口調で取り除いた。


 ベランダではしないの?
 あ、夜なら……夜になったらベランダでおちんぽ出来るの?
 夜なら……夜なら全裸でも……あ、でも、部屋の電気点けっぱなしにされたら、どこかからハメられてる俺を見られちゃう?

「その代わり、今から窓開け放してヤるからな、それで許してやる」

 戸惑いながら薄暗いベランダに想いを馳せていた俺は、

「えっ!? 窓……」

 全裸のままベッドから降り、カーテンも窓も開け放した彼が戻ってくるまで呆然と見ていた。

 晴れた休日の淡い日差しが、寝室の中まで入り込んで来る。


 眩し気に目を細めた彼の、男らしく引き締まった腹の窪みに鈍色に光る金属が挿し込まれているのが見える。
 シャフトと呼ばれるタイプのボディピアスだと教えてくれたのは、物珍しく目が離せなかった俺をあの時も笑いながらだった。
 左外耳上の軟骨部分にも3つのピアス、右にもひとつだけある。

 元来、彼みたいな不良じみたタイプの男は、俺の周りはいない筈だった。
 一見すると穏やかな隣人のふりをして、しかしよくよく目を凝らせば、いつだって雄としての主張を漂わせている。
 その目つきに、その仕草に、その匂いに、そしてその言葉に。

 彼の左薬指の結婚指輪ですら、俺の華奢なプラチナと比べると骨太なゴツさえ感じるデザインだが、滑らかな曲線と肌馴染みの良いピンクゴールドのそれは、意外にも優しい色を帯びている。
 それがまた――俺を責めながら、同時に開かれていく欲望を許容する彼の性質が思い起こされるようで、酷くタチが悪いのだ。


 厄介なのに捕まった――そう諦められれば簡単だが、およそ捕まえたつもりもないのだろう。
 元々俺の感情になど無頓着な彼の態度に、俺はやっぱりただの手慰みの道具になる。
 オナニーホールに。



「テメーの情けねぇメス声がご近所さんまで聞こえないように、せいぜい嫁さんの枕でも噛んで殺しとけよ、コラ」

 そうして俺の胸に押し付けられたのは、今でもまだ嫁さんのシャンプーの香りが残る彼女の枕。

 ゾクゾク♡ ゾクゾク♡ ゾクゾクゾクっっ♡♡♡

「ン“ン"ン"お"っっ♡♡♡」

 腹の奥まで走った快感に、俺は今はまだ不在の彼の余韻を感じながらメスイキした。

 びくっ♡ びくっ♡ びくっ♡ びくっ♡ びくっ♡

「あッ♡ あぁ"ッ♡ あぁ"ッ♡ あぁ"ッ♡ あぁ"ッ♡」

 震えが止まらなかったのは、気づかれない筈もない。
 違うから、これは、さっきのセックスでイキっぱなしだった名残りが、ちんぽ入ってないのにまだお腹の中にあるみたいなの、切ないの止まんな……

 あ――またイク♡ イク♡ イッちゃいそうぉ~~ッッ♡♡♡


「っはw まだイッてんの? オナホのくせに勝手にイクなよなぁ」

「――~~ッ!! ……ハイ♡」


 おかしくてたまらないと言うように、笑いながら押し倒してくるお隣の旦那さん。

 今度は前からハメられたいって、ベロチューの合間に彼にねだりながら――
 俺は嫁さんの枕を抱きしめた。
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