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島国の戦士
第71話 不覚 ~修治 2~
しおりを挟む「…紡がれたのですね。安寧か破滅か。運命の針は動き出した。」
ここはマリベール達の住んでいる大陸から遙か西へ海を渡って幾つもの島々で形成された地。
様々な伝説が多く残り魔法科学が世界的に進歩する中、古代魔法を未だに研究し続ける国。
「ベアトリクス様ただいま戻りました。」
「お帰りなさい!ギデオン。早速で悪いけど状況を聞かせてくれますか?」
「はい。東の大陸ではまさに戦争が始まらんとするところでした。ベアトリクス様の危惧する通り人々の負の感情は次々と周りを巻き込みこのままでは…。」
「やはり!闇に潜む者達の特定は?」
「いえ申し訳ございません。ですがこちらを!」
「こ、これは!まさか!!!」
「お察しの通りでございます。これはロイヤルストロベリーを使ったイチゴ大福です。時間停止魔法タイムスリープをかけて持ち帰ってますので出来立てですよ。」
「ゴホン。あれ?そういえば喉が渇きましたね。皆でお茶にしましょう。セバス!」
「はい。準備致します。」
「きゃ~大福って言ってるけど餡子じゃなくてカスタードクリームなのね!美味しいわ!栗も入ってる。ありがとうギデオン。出来る男は違うわね。」
「フフッ国主とは思えない言動ですね。」
ギデオンは国主であるというベアトリクスに笑いかけた。
「異国のスイーツなんて中々食べれないじゃない!それに今はお茶の時間です。休憩中です!」
「そうですね。他のスイーツやレシピも入手しておりますので城の者達や国民達にも広めましょう。」
「ふぅ。美味しかった。セバスあなた達も一度さがっていいわ。ギデオンのお土産をいただいてきなさい。」
「承知致しました。」
深々と頭を下げて執事の男はその場から捌けていった。
「で?本題の継承された方は?」
「確認しました。たまたま歌姫でしたが…。」
「代々それは歌声として継承される。私達、【時の守人】はそれを受け継ぎ守り世界の魔法バランスを調整せしもの。魔法科学がいくら発展しようとも魔法がなければ生活など出来ない。」
ベアトリクスは語った。
「しかしそのバランスを保つ為には鍵を持つ者がその役割を担う。私達以外がその継承をする事なんて前代未聞。あなたに至急調査してもらいましたが東の国は戦争ですか。急がないとこの世界が終わる。」
「しかしすでに各国が開戦状態。無理矢理連れ帰っても良かったですがそれでは…。」
「ええ。下手するとチカラの発揮など儘ならないでしょう。正直に事情を話しても信じてもらう事など現代魔法の国では難しい。ですが仮にも魔法のバランスが崩れてしまうと魔力暴走によりいずれ人々は死に絶える。」
「俺はもう一度東の国に向かいますので正式な書状をお願い致します。準備が出来次第出立し必ずここへ。」
「ええ。分かりました!至急準備しましょう。その前に大福をもう一つ頂いてからに…」
「さっさと準備しなさい!」
「…はーい。」
大福に後ろ髪をひかれながら執務室へと向かったベアトリクス。
ここから事態はさらに加速していくのだった。
紡がれたチカラは歌声。それは【時の守人】に継承されるはずが今代は違う国の人へ受け継がれていた。
魔法バランスが崩れて魔力暴走が起こるとは?それだけで人々が死に絶えるほどの事象となりえるのか。
そして闇に潜む者とは?何が目的かも分からない。
ともあれ歌声を継承した者は歌わなければならない。それが課せられた使命であり運命なのだから。
ここはマリベール達の住んでいる大陸から遙か西へ海を渡って幾つもの島々で形成された地。
様々な伝説が多く残り魔法科学が世界的に進歩する中、古代魔法を未だに研究し続ける国。
「ベアトリクス様ただいま戻りました。」
「お帰りなさい!ギデオン。早速で悪いけど状況を聞かせてくれますか?」
「はい。東の大陸ではまさに戦争が始まらんとするところでした。ベアトリクス様の危惧する通り人々の負の感情は次々と周りを巻き込みこのままでは…。」
「やはり!闇に潜む者達の特定は?」
「いえ申し訳ございません。ですがこちらを!」
「こ、これは!まさか!!!」
「お察しの通りでございます。これはロイヤルストロベリーを使ったイチゴ大福です。時間停止魔法タイムスリープをかけて持ち帰ってますので出来立てですよ。」
「ゴホン。あれ?そういえば喉が渇きましたね。皆でお茶にしましょう。セバス!」
「はい。準備致します。」
「きゃ~大福って言ってるけど餡子じゃなくてカスタードクリームなのね!美味しいわ!栗も入ってる。ありがとうギデオン。出来る男は違うわね。」
「フフッ国主とは思えない言動ですね。」
ギデオンは国主であるというベアトリクスに笑いかけた。
「異国のスイーツなんて中々食べれないじゃない!それに今はお茶の時間です。休憩中です!」
「そうですね。他のスイーツやレシピも入手しておりますので城の者達や国民達にも広めましょう。」
「ふぅ。美味しかった。セバスあなた達も一度さがっていいわ。ギデオンのお土産をいただいてきなさい。」
「承知致しました。」
深々と頭を下げて執事の男はその場から捌けていった。
「で?本題の継承された方は?」
「確認しました。たまたま歌姫でしたが…。」
「代々それは歌声として継承される。私達、【時の守人】はそれを受け継ぎ守り世界の魔法バランスを調整せしもの。魔法科学がいくら発展しようとも魔法がなければ生活など出来ない。」
ベアトリクスは語った。
「しかしそのバランスを保つ為には鍵を持つ者がその役割を担う。私達以外がその継承をする事なんて前代未聞。あなたに至急調査してもらいましたが東の国は戦争ですか。急がないとこの世界が終わる。」
「しかしすでに各国が開戦状態。無理矢理連れ帰っても良かったですがそれでは…。」
「ええ。下手するとチカラの発揮など儘ならないでしょう。正直に事情を話しても信じてもらう事など現代魔法の国では難しい。ですが仮にも魔法のバランスが崩れてしまうと魔力暴走によりいずれ人々は死に絶える。」
「俺はもう一度東の国に向かいますので正式な書状をお願い致します。準備が出来次第出立し必ずここへ。」
「ええ。分かりました!至急準備しましょう。その前に大福をもう一つ頂いてからに…」
「さっさと準備しなさい!」
「…はーい。」
大福に後ろ髪をひかれながら執務室へと向かったベアトリクス。
ここから事態はさらに加速していくのだった。
紡がれたチカラは歌声。それは【時の守人】に継承されるはずが今代は違う国の人へ受け継がれていた。
魔法バランスが崩れて魔力暴走が起こるとは?それだけで人々が死に絶えるほどの事象となりえるのか。
そして闇に潜む者とは?何が目的かも分からない。
ともあれ歌声を継承した者は歌わなければならない。それが課せられた使命であり運命なのだから。
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