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◆付き合ってる
魔王
しおりを挟むさっきからスラッジが床に寝転んで何か読んでいる。本かと思ったけれどよくよく見たら持っているのは白いペラ紙だ。
「パラス、どうしよう」
紙から視線をそらさずスラッジが言う。
「うちのおじいちゃんは魔王だったらしいんだ」
「君、何読んでんの?」
「おじいちゃんの遺書。魔王の座を僕に譲ると書いてるんだ。おじいちゃんの意思を継ぐべきだろうか」
「君のおじいさんボケてただけだと思うけど。なんだよ魔王って」
「魔王は魔王だよ。世界を滅ぼす魔王。ちゃんとやり方も書いてるんだよ。自分を倒しに現れた勇者の撃退方法も書いてある。よっぽど僕に跡を継いで欲しかったみたいだ」
ああそう、と流すような返事をした。こいつのじいさんがボケてたのかこいつがまた適当で意味のない嘘をついているのか、どちらか分からないけれどどちらであってもどうでもよかった。
「魔王業、君はどう思う?」
「君の好きにしたら?」
「そんな事を言ったら僕は本当に世界を滅ぼしちゃうよ。君も死んじゃうかもよ?」
「いいよ」
「もしかしなくてもこの会話が面倒になってるだろう」
「どうせ俺の事殺さないだろ」
「うん。君と僕はずっと一緒にいるんだ。あの世になんて逃がしてあげないよ」
スラッジは遺書を雑に折り曲げて起き上がった。
「僕が魔王になってこの星を掌握したあかつきには世界の半分を君にあげよう」
「微塵も欲しくない。滅んでる世界の半分なんて何に使うんだよ」
「散歩とかに使えるんじゃないだろうか」
「いらない」
「じゃあこの話はおしまい。君が興味すら持ってくれないから魔王になるのはやめる。君は今世界を救ったよ。おめでとう」
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