創作BL SS詰め合わせ

とぶまえ

文字の大きさ
上 下
5 / 50
◆付き合ってる

誕生日プレゼント

しおりを挟む


 家に帰ると、何故か首に赤いリボンを巻いた恋人が床に這いつくばって必死にタンスと壁の隙間に手に突っ込んでいた。

「あ、おかえり」
「……ただいま。何してんのかって、聞いた方がいい?」
「是非聴いてくれ。そして助けてくれ」

 恋人はその場に正座する。両手には銀色の手錠が掛けられていた。

「今日は君の誕生日だろう? 「プレゼントは僕だよ♡」ってやつをやってみたかったんだ。それでラッピングがてらリボンとか巻いてみたんだけど、何か味気なくて。もっとこう、「好きにしていいよ♡」感を出したくて手錠をつけてみたんだ。
そしたらうっかり手錠の鍵をタンスと壁の微妙な隙間に落とした」
「最初から最後まで全部馬鹿みたいな話だったね」
「あ、誕生日おめでとう」
「ありがとう」

 タンスと壁の隙間を覗き込むと、ほこりに紛れて鍵が落ちているのが見えた。どう落としたのか知らないけれど相当奥にある。隙間は狭いし、手では届かないだろう。このタンスはかなり重いから動かすのも面倒だ。

「手錠と一緒に暮らせば?」
「もう二度と料理してあげないよ?」
「君の料理美味しくないからそれは別に」
「僕の素晴らしい料理が口に合わないなんて君の舌はおかしいよ」

 何か細長いものを、と家の中を探してを長めの定規を発見したので、それを使ってどうにか鍵を回収した。

「ああ、良かった。持つべきものは恋人だね」
「こんな所で恋人の必要性を噛み締められても困る」
「まあまあ。取り敢えず外してくれ。さっきから背中が痒くて堪らないんだ。早く掻きたい」

 恋人は手錠の掛かった手を差し出してくる。俺は鍵をズボンのポケットにしまった。

「えっ?」
「さっきのプレゼントの話なんだけど」
「え、え?」

 狼狽える恋人にすっと顔を近付ける。

「好きにしていいんだよね?」

 自分から言い出した癖に、俺の言葉を聞いた恋人は恥ずかしげに手錠のついた手で顔を覆った。

「お……お手柔らかに……。

あと背中掻いて……」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...