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◆付き合ってる
誕生日プレゼント
しおりを挟む家に帰ると、何故か首に赤いリボンを巻いた恋人が床に這いつくばって必死にタンスと壁の隙間に手に突っ込んでいた。
「あ、おかえり」
「……ただいま。何してんのかって、聞いた方がいい?」
「是非聴いてくれ。そして助けてくれ」
恋人はその場に正座する。両手には銀色の手錠が掛けられていた。
「今日は君の誕生日だろう? 「プレゼントは僕だよ♡」ってやつをやってみたかったんだ。それでラッピングがてらリボンとか巻いてみたんだけど、何か味気なくて。もっとこう、「好きにしていいよ♡」感を出したくて手錠をつけてみたんだ。
そしたらうっかり手錠の鍵をタンスと壁の微妙な隙間に落とした」
「最初から最後まで全部馬鹿みたいな話だったね」
「あ、誕生日おめでとう」
「ありがとう」
タンスと壁の隙間を覗き込むと、ほこりに紛れて鍵が落ちているのが見えた。どう落としたのか知らないけれど相当奥にある。隙間は狭いし、手では届かないだろう。このタンスはかなり重いから動かすのも面倒だ。
「手錠と一緒に暮らせば?」
「もう二度と料理してあげないよ?」
「君の料理美味しくないからそれは別に」
「僕の素晴らしい料理が口に合わないなんて君の舌はおかしいよ」
何か細長いものを、と家の中を探してを長めの定規を発見したので、それを使ってどうにか鍵を回収した。
「ああ、良かった。持つべきものは恋人だね」
「こんな所で恋人の必要性を噛み締められても困る」
「まあまあ。取り敢えず外してくれ。さっきから背中が痒くて堪らないんだ。早く掻きたい」
恋人は手錠の掛かった手を差し出してくる。俺は鍵をズボンのポケットにしまった。
「えっ?」
「さっきのプレゼントの話なんだけど」
「え、え?」
狼狽える恋人にすっと顔を近付ける。
「好きにしていいんだよね?」
自分から言い出した癖に、俺の言葉を聞いた恋人は恥ずかしげに手錠のついた手で顔を覆った。
「お……お手柔らかに……。
あと背中掻いて……」
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