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◆付き合ってる
お姫様抱っこ
しおりを挟む「お姫様抱っこをね、してみたいんだ」
風呂上がりにリビングのソファーでくつろいでいたら同居している恋人が突然そんなことを言い出した。
「無理だろ」
恋人は俺より背も低いし、筋力もない。到底出来るとは思えない。
「やってみないと分からないじゃないか」
「絶対無理。君、米買ってきた時でさえ重い重いって言いながら運んでる癖に」
「それはまた別の話だよ」
「同じ話だろ」
とにかくやらせてくれと言って恋人は近付いてくる。
「やめて。絶対落とすだろ」
「そこはこう、君がしがみついててくれれば」
「重さに耐え切れずに君が崩れ落ちる所しか想像出来ない」
「成功をイメージするのって大切だと思うんだ」
「そういうのを妄想って呼ぶんだよ」
しばらく押し問答を続けて、俺は段々面倒になってきてじゃあやってみろよと恋人の自由にさせることにした。恋人は笑顔で俺を横抱きにしようと背中と膝裏に手をやり、持ち上げようとする。
「ふっ、く、ゔ……」
「一瞬も持ち上げきれてないじゃん」
「もうちょっとでいける……」
「気のせいだよ」
恋人はしばらくうんうんと唸ったあと、諦めたらしく脱力した。たったこれだけのことでぜえぜえと息を乱している。
「君重すぎない?」
「君力弱過ぎない?」
「弱くない……」
どう考えたって弱いだろう。恋人は疲れたらしく床に座り込んだ。
「なんで急にお姫様抱っことか言い出したの?」
「友達が夜の営みの時に恋人をお姫様抱っこでベッドに運ぶって言ってたから」
「気持ち悪」
「良いじゃないか! ロマンチックだろう!」
「どこが。変な影響受けるなよ」
俺はソファーから立ち上がった。俺を見上げてくる恋人の横でかがみ込み、背中と膝裏に手を回して持ち上げる。腕の中で恋人は目を見開いていた。
「なんでそんな簡単に出来るんだ」
「君みたいに貧弱じゃないから」
恋人は悔しげに唸りながら抱き着くように首に腕を回してきた。
「せっかくだからベッドまで運んでくれ」
「やだよ面倒くさい。自分で歩いて」
「愛しい恋人とロマンチックなベッドインをしようとは思わないのか」
「全く思わない」
「思ってくれ」
「そろそろ手放していい?」
「やめてくれ!」
恋人はぎゅっと強くしがみついてくる。
その後、運べ運べとうるさいからベッドまで運んで放り投げたら本気でキレられた。
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