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鬼と狐
狐の悪戯と鬼の仕返し
しおりを挟む山の中で若くて見た目の良い美味そうな人間を見つけたので攫って連れ帰った。
そしたらだ。
「ねえ、ねえ、どう? 人間だって思っただろう? 人間にしか見えなかっただろ? 驚いた? 驚いたよね? 美味しい人間を食べたくて涎垂らしてたのに、残念だったね」
その人間の正体は化け狐だった。山小屋に連れ帰った途端、そいつは元の狐の姿に戻り得意げに俺を煽ってきた。
騙されたことは確かだ。正体を明かされるまで人間だと信じて疑わなかった。狐の姿になった瞬間、俺は唖然としてしまった。こいつが人間に化けるのが上手いということは素直に認める。騙された俺が悪い。
だからと言って腹が立たないかと言ったら別の話だ。
「ひぎっ」
俺は化け狐の首根っこを鷲掴みにした。おかしな悲鳴をあげて短い手足をばたつかせている。
ただの狐ならまだ食えるけれど、化け狐なんて不味くて食えたものじゃない。腐った肉でも齧っていた方がまだマシだ。食われないと分かっているからこいつは俺をからかおうと思ったのだろう。
「もう一回人間の姿になって」
「え? やだな、人間の格好してたって味は変わらないよ?」
「良いから。早く。このまま首へし折られたいの?」
「ひ……」
怯えた表情を浮かべたそいつは慌てた様子で人間の姿へと化けた。こうして改めて見ても本物の人間にしか見えない。匂いも何故か人間のような匂いがする。
「もしかしてあまりにもかわいくて格好よくて美人な人間だったから一目惚れしちゃった? 照れちゃうなあ」
化け狐は少し表情が引き攣っているものの、尚馬鹿にしたように笑っている。この状況で、良い根性をしてる。
「惚れさせてしまったところ申し訳ないけれど君は僕の好みじゃないんだ。そもそもこんな人間は存在しない訳だし、儚い恋だと思って諦めてくれ」
「よく舌が回るね」
煩い口に指を二本突っ込んだ。
「ん゙、ぐ……うゔぅ……!?」
「君のせいで時間を無駄にした。責任ぐらいとってくれるだろ?」
「ん゙ん゙んぅ……!」
喉奥に指を捻じ入れると狐は苦しげな声で唸り俺の腕を掴んで来た。俺の手を引き剥がそうとしているのだろうけれどあまりにも非力だ。
「ん゙ー……!」
余程苦しいのか狐の目元に涙が溜まっている。せめてもの抵抗なのか指を噛んできたけれど俺は痛くも痒くもない。
「ん゙ゔゔ……ッ!」
喉の更に奥を撫でるといよいよそいつは泣き始めた。自分から喧嘩を売ってきた癖に存外打たれ弱い。
ずるりと指を引き抜くとそいつは喉を押さえて激しく噎せた。
「げほ、っごほ、ゔぅ゙……」
「さっきみたいにぺらぺら喋らないの?」
狐は俺を睨み付けてくる。泣きながら睨まれても何の迫力も無い。
「足開いて」
「……へ?」
「早く」
「ま、まって、なんで」
何をされるのか悟ったらしい狐は途端に狼狽えだした。
「責任とらせるって言っただろ」
「ひ、い、嫌、やめて」
化け狐は怯えた顔をしながらまた元の狐の姿に戻る。そのまま逃げようとしたそいつの首を鷲掴みにした。
「次勝手にその姿に戻ったら目抉る」
「や、やめ……」
「逃げようとしたら足引き千切る」
「ひ……ぅ……」
化け狐はかたかたと震えながら人間の姿に化けた。
「ちょっかいかけていい相手を判断出来ない程頭は悪いけど、そういう所は賢明だね」
褒めるように頭を撫でてやると狐は余計に震えた。
「俺が満足したら帰らせてあげる。取って食わないんだから、優しいだろ?」
狐はか細い声で「どこが」と呟いた。
◇◇◇
足を開かせ狭い後孔に指を二本捻じ入れると狐は悲鳴のような声を上げた。指を少し動かしただけで表情を引き攣らせる。
「い、たい、痛い」
「ここ使ったことないの?」
「ないよ。ある訳ないじゃないか」
「じゃあ新しい経験出来て良かったね」
狐は悔しそうにぎゅっと唇を噛み締めた。無視して狭い穴を拡げるように指を動かすと狐は声を漏らす。
「っあ、ぅ゙…痛、い……」
狐は呻きながら両手で顔を覆った。邪魔だな。
「手、退かして」
「……そんなにこの顔を見たい?」
狐は少しだけ手を退かす。狐自身が自信満々に誇っていたその顔は、確かに整っている。好みの顔だ。この顔が泣いている所なら、いくらでも見たい。
「見たい」
素直に伝えると狐はにんまりと口角をあげた。
「良いよ。見せてあげよう」
狐は笑顔のままぱっと手を退かす。なんだか勝ち誇ったような顔をしている。酷い格好で指を突っ込まれている癖に、なんなんだこいつは。俺は中に突っ込んだ指をぐちりと動かした。
「んぅ゙……ッ」
途端に狐は苦しげに息を吐き、顔を歪める。中を慣らしながら暫くその歪んだ顔をじっと見ていたら、狐はまたにんまりと笑った。
「ん、ふふ、そんなに、この顔好き? 目が離せぐらいかわいい?」
顔の造形は良いと思うけれど何故こいつはさっきからそれを台無しにするようなにやけ面ばかり晒すのだろうか。ずっと震えて泣いていれば良いのに。
そろそろ良いだろうと思い中から指を引き抜いた。俺は挿れる為に自分のものを取り出した。
「鬼をたぶらかせるなんて流石は僕だ。もしかして最初から食べるんじゃなくて抱くつもりで連れ去ったの? 食欲より性欲の方が刺激されてしまったんだね。ごめんね?」
一人で何やら誇らしげに語っていた狐は俺の下半身に目を向け、勃起した一物を見て硬直した。
「むり」
顔を青くしながら狐は呟く。無視して狐の足を掴み大きく開かせた。さっきまで大人しくされるがままになっていた狐はぶんぶんと首を横に振り身を捩って俺から離れようとする。
「むり、無理だよ、そんなの、入る訳ない。なにそれ。大きいにも限度って物がある。適正って言葉を知らないのか。絶対無理だ。裂けてしまう」
「逃げたら足千切るって言ったよね?」
「お尻が裂けるのも嫌だよ!」
狐は馬鹿に大きな声で叫ぶ。確かに俺の性器は多少大きいかも知れない。けれど腕よりは細いのだから大丈夫だろう。人間は入れようと思えば腕ぐらい入る。人間に化けたこいつにも、入るだろう。そもそも裂けたところで俺の知ったことでは無い。
狐は依然として嫌だ嫌だと言って逃げようとしている。俺は足を掴んだ手にぎちりと力を込めた。
「じゃあ、千切ろうか?」
ひゅっと息を飲む音が聞こえた。
「いれてください」
傲慢なのか、臆病なのか、どっちなんだ。ただの馬鹿だろうか。
観念した狐は自分で足を開き穴を差し出してきた。手間が無くていい。俺は穴に性器をあてがい、ゆっくりと挿入した。狐は全身を強ばらせた。
「ッひ、い゙…い゙た…ぁ……!」
「きっつ……」
「いたい゙ぃぃ……!」
それなりに慣らしたつもりだったが穴は狭く、ぎちぎちと締め付けてくる。狐は少し腰を奥に進めるだけで潰れた悲鳴を上げている。
「さ、ける、さけちゃ、う」
「裂けてないよ」
「うそだ、いたい、いたい」
「本当に裂ける時はもっと悲惨な声上げてるよ」
「なに、それ……」
前に腕を突っ込んで実際に裂けた人間は喉が裂けんばかりに叫んでいた。狐はまだ余裕そうだから、大丈夫だろう。
その事を伝えたら狐は顔を引き攣らせた。
「しゅみが、悪いよ。こんな奴に犯されるんて、最悪だ」
「元を辿れば君のせいだけどね」
狐の腰を強く掴みぐっと腰を進めた。
「ゔゔっ……あ゙、あア゙ッ……! い、たい……! ううぅ゙……!」
狐の性器は完全に萎えていてだらりとぶら下がっている。何の気なしにそこを掴むと狐は身体を震えさせた。
「ひ、ぅっ……さ、 触っちゃ、だめ」
「勃たせて」
「そんな、無理、っ、い、いやっやめで、いだい! 離して! 痛いいい゙い゙……!」
ぎゅ、と力を込めて握ると狐は泣きながらかぶりを振った。軽く扱いたりもしてみたが、嫌がるばかりでそこが反応する様子はない。まあ、期待もしていない。
放置することにして、狐の細い腰を掴み直し腰を進める。
「あ、ゔゔ……!」
長い時間を掛けて挿入していくと、先端が行き止まりにぶち当たった。
「っあ゙ぅ゙……ぞご、嫌……」
顔色は真っ青だ。とんとんとそこを突くと狐は益々顔色を悪くさせる。
「っぐ、ぉ゙、え……」
狐は殆ど胃液だけの吐瀉物を吐き出した。それでもそこを刺激すると狐は死にそうな声を上げる。
「や゙、めて、そこ、突かないで……」
か細い声で懇願してくる。ずっとこういう態度なら可愛げもあるのに。
「まだ全部入ってない」
「……え、あ?」
ぐりぐりと突き当たりを先端でこねると狐は叫び声をあげた。
「やめ゙、や゙ッ、あ゙ッ……! や゙めで……!」
ぐりゅ、と先端が結腸の入口に入り込んだ瞬間に狐は大きく背を仰け反らせ全身をがくがくと震えさせた。
「あ゙ーーー~~~ッッ! や゙、ぐる、じ……い゙いい……! やめ゙、だめ、そこだめ゙……!」
狐は苦しげに叫びながらぼろぼろと泣いている。ああ、良いな、この顔。興奮する。
ゆっくり抽挿を始めると狐は余計に泣いた。
「あ゙、お゙ッ、ぬ、い゙でぇ……! ごめん、なざいっ……もうじません、もゔ、ッ~~~あ゙あ゙あ゙! ゆるじで……!」
「最初の偉そうな態度はどこにいったの?」
「もうやだ、ああ゙ッ……ん゙あ゙っ……!はやく、おわら゙ぜて……!」
狐の顔は涙やら唾液やら胃液やら、あらゆる液体でぐちゃぐちゃだ。
「あああ゙ッ…ぉ゙ッ…ぐぅ゙ゔゔ……!! い゙や、ぁあ゙あ゙……!」
「締め付けすぎ」
狐ははもうまともに喋る余裕なんてないようで、呻き声の合間合間に嫌だの許してだのと繰り返すばかりだ。中はずっと痙攣しているかのように震えていて突くたびにぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
「やだ…あ゙ッ…! い゙ゔ、ぁゔゔう……! あ゙あ゙っ……ぐ、る……じ……ッん゙ゔゔゔ……!」
「っ……出すよ」
強い締め付けに耐え切れず、深く突き上げ最奥に射精した。
「お゙……お゙わった……?」
出された事に気付いたらしい狐は惚けた顔をしながら自分の腹を撫でる。終わったとほっとしているのか、顔色は死にそうだが表情は少し明るい。
わざわざ丁寧に解して準備したのに一回で終わらす訳がないだろう。俺は薄く笑いながら腰を掴み直した。
「ひ、ぅ、なんで……」
「まだ満足してないから」
「や……やだ、もうやだ、ぬ、抜いて……」
弱々しく首を横に振っている。無視して奥を突き上げれば狐は身体を痙攣させた。
「んぐお゙ッ……! ゔゔッ、も゙、嫌、許して、もゔ無理……!」
目が溶けそうなぐらいにぼろぼろと泣いている。可哀想に。馬鹿なばっかりに。
全く同情しないし、止める気もないのでそのまま犯し続けた。
「や゙ッ…ああ゙あ゙……もゔ、いや゙、ごめんなざ、ごめんなさい゙……!」
「ごめんなざい…ごめ、なさ……ぁ゙ッ……あ……」
ずるりと穴から性器を引き抜いた。穴からはどぷりと白濁液が漏れ出してくる。何回出したか、忘れてしまった。狐はぐったりとしていて動かない。
満足した事だし、邪魔だからさっさと帰らせようと思い声を掛けた。
「もう帰っていいよ」
「……」
「聞いてる?」
軽く頬を叩いても全く反応がない。さっきまでうわ言のように謝り続けていたのに、最後の最後で気絶したようだ。
仕方が無いので床に寝かせていたら、翌朝には狐はいなくなっていた。
◇◇◇
(狐視点)
早朝、目が覚めると僕は部屋の隅っこに寝かされていた。身体には布団代わりなのか布切れが掛けられている。
身体のあちこちが痛い。喉は枯れていて痛いし、泣き過ぎたせいで頭もがんがんする。硬い床にずっと寝かされていたから背中も痛いし、腰からは何とも言えない鈍痛がする。
部屋を見回すと鬼は布団を敷いてそこで寝ていた。
のそのそと四つん這いで鬼に近付いた。鬼の寝顔は安らかなものだった。静かに寝息を立てている。結構、綺麗な顔をしている。僕の方が綺麗だけれど。
僕は自分に掛けられていた布切れを畳んでから外に出た。
昨日は最悪だったけれど、最高でもあった。僕は鬼でも問題なく騙せるほど化けるのが得意だと証明された。それに、あの鬼の驚いた時の顔の面白さときたら。ぽかんとした間抜け面。すぐに状況を理解して苛ついた顔をしていたけれど、そこには薄らと騙されたという羞恥心が滲んでいた。ああいう顔を見るのが、僕は大好きだ。
鬼というのは、乱暴で凶暴で粗暴だと聞いている。骨の一つや二つ、三つや四つぐらい折られるかもと覚悟していたけれど僕はこの通りぴんぴんしている。いや、あちこち痛くはあるのだけれど、それは置いておいて。
こうして無事に帰ることが出来ているということは、昨日のアレで鬼は僕の事を許してくれたのだろう。別に犯した後に手足を引き千切って殺しても良かっただろうに、わざわざ解放してくれた。
しかもあの布団代わりの布切れ。あれは僕への気遣いだ。乱暴で凶暴で粗暴な鬼が、僕に優しくしたんだ。
それって、つまり、僕の事を気に入っているという事じゃないだろうか。
「ふふ」
それもこれも、きっと僕が格好良くて可愛くて美人だからだ。化けるのが完璧だからだ。
絶対、また化かしてやろう。
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