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第4話
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「え……。何を仰っていますの、お姉様。何故、私がエリック様もルーキエ公爵家の継承権をお姉様にお譲りしなければならないのですか?」
シャルロッテは自分の姉が告げた悪魔のような言葉に呆然とした。
「妹なら姉を憐れんで譲ってくれてもいいのではないかしら? それにエリック様もあなたより私と婚約した方が嬉しいだろうし、お父様とお母様だって優秀な私がルーキエ公爵家を継いだ方が嬉しいはずだわ」
シャルロットと問いに対して、レジーヌは自信たっぷりに答える。
シャルロッテではなく優秀な自分がルーキエ公爵家を継ぐ。
これに反対する者などいないと言わんばかりだ。
シャルロッテはエリック・ミュラ侯爵令息と婚約している。
エリックはミュラ侯爵家の二男で、ルーキエ公爵家に婿入りしてくる予定だ。
二人の婚約が決まったのはレジーヌとダミアンの婚約が決まった後だった。
レジーヌとダミアンの婚約が正式に決まったということは、レジーヌが王家へ嫁ぐということに他ならない。
そうなると必然的にシャルロッテがルーキエ公爵家に残り、爵位を継ぐということになる。
シャルロットは言わずもがなエリックも公爵家を継ぐ為の跡取り教育を公爵から受けている。
つまりシャルロットは多くの令嬢のように学園の成績を気にしつつも貴族令嬢としてのんびり過ごすのではなく、学園の成績は上位を維持しながら生徒会活動をし、その上公爵家を継ぐ為の勉強も同時進行という令嬢にしてはかなり活動的に過ごしている。
将来の為に努力しているのは何もレジーヌばかりではない。
シャルロットも努力している。
その努力はこのままレジーヌの屁理屈で無に帰してもいいものか?
いや、いいものではない。
シャルロットは反論する。
「お姉様のことは確かにお気の毒だとは思いますわ。ですが私がお姉様に譲る道理はありません。婚約破棄されたのはお姉様の立ち回りが失敗した結果。自分の失敗の穴埋めを妹の婚約者を奪うことで補填しようだなんて、姉として恥ずかしくないのですか?」
続けて公爵夫人もレジーヌの意見には納得しかねる主張をする。
「かわいそうだけれど、シャルロットの言う通りよ。あなたは自分が幼い頃から厳しい王妃教育を受けたと言ったけれど、それはあなただけに言えることではないわ。シャルロットだって、公爵家を継ぐと決まった時から旦那様から領地経営に関して山のような課題を出されてそれをこなしていた。学園に通い出してからは学園の成績の上位キープと生徒会活動もしながらよ。あなたの婚約破棄とシャルロットは無関係なのに、あなたがシャルロットから婚約者も次期公爵の座も奪おうとするのはおかしな話よ。ましてや妹に譲らせるなんて横暴よ。あなたは自分さえよければそれでいいの? そんな横暴、私は母として認めませんわ」
家長である公爵もレジーヌの意見には同意しない。
「シャルロットの言う通りだ。厳しいことを言うようだが、レジーヌが婚約破棄されたのは、お前自身にも非はある。ダミアン王太子殿下の気持ちをしっかりと繋ぎ留めたり、側妃を認めるという度量の広さを示すなり婚約破棄を避ける方法は色々あっただろう。小さい子供ではないのだから、自分の失敗は自分で責任を取れ。シャルロットの婚約者をレジーヌに宛がうことは当主として私は認めない。それに次期公爵としての勉強は一朝一夕でどうにかなるものではないし、エリック君とシャルロットは相思相愛だ。それをお前の都合で引き離すなんて認める訳にはいかない」
レジーヌは自分の意見に誰も同意しなかったことで腹を立てて、怒りで大袈裟な音を立てながらダイニングを退室した。
シャルロッテは自分の姉が告げた悪魔のような言葉に呆然とした。
「妹なら姉を憐れんで譲ってくれてもいいのではないかしら? それにエリック様もあなたより私と婚約した方が嬉しいだろうし、お父様とお母様だって優秀な私がルーキエ公爵家を継いだ方が嬉しいはずだわ」
シャルロットと問いに対して、レジーヌは自信たっぷりに答える。
シャルロッテではなく優秀な自分がルーキエ公爵家を継ぐ。
これに反対する者などいないと言わんばかりだ。
シャルロッテはエリック・ミュラ侯爵令息と婚約している。
エリックはミュラ侯爵家の二男で、ルーキエ公爵家に婿入りしてくる予定だ。
二人の婚約が決まったのはレジーヌとダミアンの婚約が決まった後だった。
レジーヌとダミアンの婚約が正式に決まったということは、レジーヌが王家へ嫁ぐということに他ならない。
そうなると必然的にシャルロッテがルーキエ公爵家に残り、爵位を継ぐということになる。
シャルロットは言わずもがなエリックも公爵家を継ぐ為の跡取り教育を公爵から受けている。
つまりシャルロットは多くの令嬢のように学園の成績を気にしつつも貴族令嬢としてのんびり過ごすのではなく、学園の成績は上位を維持しながら生徒会活動をし、その上公爵家を継ぐ為の勉強も同時進行という令嬢にしてはかなり活動的に過ごしている。
将来の為に努力しているのは何もレジーヌばかりではない。
シャルロットも努力している。
その努力はこのままレジーヌの屁理屈で無に帰してもいいものか?
いや、いいものではない。
シャルロットは反論する。
「お姉様のことは確かにお気の毒だとは思いますわ。ですが私がお姉様に譲る道理はありません。婚約破棄されたのはお姉様の立ち回りが失敗した結果。自分の失敗の穴埋めを妹の婚約者を奪うことで補填しようだなんて、姉として恥ずかしくないのですか?」
続けて公爵夫人もレジーヌの意見には納得しかねる主張をする。
「かわいそうだけれど、シャルロットの言う通りよ。あなたは自分が幼い頃から厳しい王妃教育を受けたと言ったけれど、それはあなただけに言えることではないわ。シャルロットだって、公爵家を継ぐと決まった時から旦那様から領地経営に関して山のような課題を出されてそれをこなしていた。学園に通い出してからは学園の成績の上位キープと生徒会活動もしながらよ。あなたの婚約破棄とシャルロットは無関係なのに、あなたがシャルロットから婚約者も次期公爵の座も奪おうとするのはおかしな話よ。ましてや妹に譲らせるなんて横暴よ。あなたは自分さえよければそれでいいの? そんな横暴、私は母として認めませんわ」
家長である公爵もレジーヌの意見には同意しない。
「シャルロットの言う通りだ。厳しいことを言うようだが、レジーヌが婚約破棄されたのは、お前自身にも非はある。ダミアン王太子殿下の気持ちをしっかりと繋ぎ留めたり、側妃を認めるという度量の広さを示すなり婚約破棄を避ける方法は色々あっただろう。小さい子供ではないのだから、自分の失敗は自分で責任を取れ。シャルロットの婚約者をレジーヌに宛がうことは当主として私は認めない。それに次期公爵としての勉強は一朝一夕でどうにかなるものではないし、エリック君とシャルロットは相思相愛だ。それをお前の都合で引き離すなんて認める訳にはいかない」
レジーヌは自分の意見に誰も同意しなかったことで腹を立てて、怒りで大袈裟な音を立てながらダイニングを退室した。
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