【完結】私と婚約破棄して恋人と結婚する? ならば即刻我が家から出ていって頂きます

水月 潮

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第7話

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「あの……どういうことですか?」

 ソフィアは話の続きが気になって尋ねた。

 アンドレは口に片手を当てて照れた表情を浮かべる。

 アンドレの耳はほんのり赤くなっている。

「あ~……実は一年位前に王宮で君を見かけて。王宮の庭園で子猫を抱き上げて優しく微笑んでいた姿を見て心を奪われたのです。それより以前に君の顔と名前は知っていたのですが、人形めいた作り物の笑顔しか見たことがなかったけれど、心から笑った笑顔はなんて可愛いのだろうと」

 ソフィアはその出来事に心当たりがある。

 ソフィアの父が王宮に用事があって登城したのだが、肝心の資料を屋敷に忘れており、ソフィアはそれを届けに行った。

 無事資料を届けた帰り、せっかく王宮まで来たのだからと庭園に寄ることにした。

 庭園で真っ白で小さい子猫がみゃあと鳴いているのを見て、思わず抱き上げてみたら子猫が可愛くてつい微笑んでしまったのだ。

 恐らくそれを目撃されたに違いない。

「確かにそんなこともありましたわね。あの子猫は本当に可愛かったですわ」

「あの子猫は迷い猫だったのですが、今はペットとして王宮で飼われていますよ。何なら一緒に今度見に行きますか?」

「本当ですか!?」

 ソフィアはぱぁぁっと笑顔を浮かべる。

「ええ。都合の良い日時を教えて下されば、私の予定を合わせますので」

「ありがとうございます! 帰って予定を確認してからお手紙を出しますわね」

「楽しみにしています」



 こうしてアンドレとソフィアはカルメンの紹介により顔を合わせ、デートを繰り返し、二人の関係は親密になっていった。

 ソフィアはビクターと婚約していた頃、同じ屋敷に住んでいたのもあってか実は二人でどこかに遊びに行ったことはなければ、贈り物を贈り合うこともなかった。

 ソフィアはビクターの誕生日にソフィアが選んだプレゼントを婚約者として贈っていたが、ビクターはソフィアの誕生日には何も贈らなかった。

 ビクターはお小遣いも貰っていたはずだが、自分のことばかりに使っていた。


 アンドレとの時間はソフィアにとって楽しく有意義な時間だった。

 ソフィアがアンドレのことを好きになるのにそう時間はかからなかった。



 そして、今日はアンドレとソフィアの結婚式だ。

 雲一つない見事な晴天で天候に恵まれた。

 アンドレとソフィアは永遠の愛を誓った。

「アンドレ。あの時カルメンの紹介であなたと出会えて良かったわ。私、とても幸せよ」

「私もソフィアとこうして結婚出来て幸せです。これからもっと幸せになりましょうね」


 二人を祝うかのように教会の鐘が鳴り響いた。
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