7 / 7
第7話
しおりを挟む
「あの……どういうことですか?」
ソフィアは話の続きが気になって尋ねた。
アンドレは口に片手を当てて照れた表情を浮かべる。
アンドレの耳はほんのり赤くなっている。
「あ~……実は一年位前に王宮で君を見かけて。王宮の庭園で子猫を抱き上げて優しく微笑んでいた姿を見て心を奪われたのです。それより以前に君の顔と名前は知っていたのですが、人形めいた作り物の笑顔しか見たことがなかったけれど、心から笑った笑顔はなんて可愛いのだろうと」
ソフィアはその出来事に心当たりがある。
ソフィアの父が王宮に用事があって登城したのだが、肝心の資料を屋敷に忘れており、ソフィアはそれを届けに行った。
無事資料を届けた帰り、せっかく王宮まで来たのだからと庭園に寄ることにした。
庭園で真っ白で小さい子猫がみゃあと鳴いているのを見て、思わず抱き上げてみたら子猫が可愛くてつい微笑んでしまったのだ。
恐らくそれを目撃されたに違いない。
「確かにそんなこともありましたわね。あの子猫は本当に可愛かったですわ」
「あの子猫は迷い猫だったのですが、今はペットとして王宮で飼われていますよ。何なら一緒に今度見に行きますか?」
「本当ですか!?」
ソフィアはぱぁぁっと笑顔を浮かべる。
「ええ。都合の良い日時を教えて下されば、私の予定を合わせますので」
「ありがとうございます! 帰って予定を確認してからお手紙を出しますわね」
「楽しみにしています」
こうしてアンドレとソフィアはカルメンの紹介により顔を合わせ、デートを繰り返し、二人の関係は親密になっていった。
ソフィアはビクターと婚約していた頃、同じ屋敷に住んでいたのもあってか実は二人でどこかに遊びに行ったことはなければ、贈り物を贈り合うこともなかった。
ソフィアはビクターの誕生日にソフィアが選んだプレゼントを婚約者として贈っていたが、ビクターはソフィアの誕生日には何も贈らなかった。
ビクターはお小遣いも貰っていたはずだが、自分のことばかりに使っていた。
アンドレとの時間はソフィアにとって楽しく有意義な時間だった。
ソフィアがアンドレのことを好きになるのにそう時間はかからなかった。
そして、今日はアンドレとソフィアの結婚式だ。
雲一つない見事な晴天で天候に恵まれた。
アンドレとソフィアは永遠の愛を誓った。
「アンドレ。あの時カルメンの紹介であなたと出会えて良かったわ。私、とても幸せよ」
「私もソフィアとこうして結婚出来て幸せです。これからもっと幸せになりましょうね」
二人を祝うかのように教会の鐘が鳴り響いた。
ソフィアは話の続きが気になって尋ねた。
アンドレは口に片手を当てて照れた表情を浮かべる。
アンドレの耳はほんのり赤くなっている。
「あ~……実は一年位前に王宮で君を見かけて。王宮の庭園で子猫を抱き上げて優しく微笑んでいた姿を見て心を奪われたのです。それより以前に君の顔と名前は知っていたのですが、人形めいた作り物の笑顔しか見たことがなかったけれど、心から笑った笑顔はなんて可愛いのだろうと」
ソフィアはその出来事に心当たりがある。
ソフィアの父が王宮に用事があって登城したのだが、肝心の資料を屋敷に忘れており、ソフィアはそれを届けに行った。
無事資料を届けた帰り、せっかく王宮まで来たのだからと庭園に寄ることにした。
庭園で真っ白で小さい子猫がみゃあと鳴いているのを見て、思わず抱き上げてみたら子猫が可愛くてつい微笑んでしまったのだ。
恐らくそれを目撃されたに違いない。
「確かにそんなこともありましたわね。あの子猫は本当に可愛かったですわ」
「あの子猫は迷い猫だったのですが、今はペットとして王宮で飼われていますよ。何なら一緒に今度見に行きますか?」
「本当ですか!?」
ソフィアはぱぁぁっと笑顔を浮かべる。
「ええ。都合の良い日時を教えて下されば、私の予定を合わせますので」
「ありがとうございます! 帰って予定を確認してからお手紙を出しますわね」
「楽しみにしています」
こうしてアンドレとソフィアはカルメンの紹介により顔を合わせ、デートを繰り返し、二人の関係は親密になっていった。
ソフィアはビクターと婚約していた頃、同じ屋敷に住んでいたのもあってか実は二人でどこかに遊びに行ったことはなければ、贈り物を贈り合うこともなかった。
ソフィアはビクターの誕生日にソフィアが選んだプレゼントを婚約者として贈っていたが、ビクターはソフィアの誕生日には何も贈らなかった。
ビクターはお小遣いも貰っていたはずだが、自分のことばかりに使っていた。
アンドレとの時間はソフィアにとって楽しく有意義な時間だった。
ソフィアがアンドレのことを好きになるのにそう時間はかからなかった。
そして、今日はアンドレとソフィアの結婚式だ。
雲一つない見事な晴天で天候に恵まれた。
アンドレとソフィアは永遠の愛を誓った。
「アンドレ。あの時カルメンの紹介であなたと出会えて良かったわ。私、とても幸せよ」
「私もソフィアとこうして結婚出来て幸せです。これからもっと幸せになりましょうね」
二人を祝うかのように教会の鐘が鳴り響いた。
423
お気に入りに追加
3,795
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜
早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。

【完結】婚約破棄の代償は
かずきりり
恋愛
学園の卒業パーティにて王太子に婚約破棄を告げられる侯爵令嬢のマーガレット。
王太子殿下が大事にしている男爵令嬢をいじめたという冤罪にて追放されようとするが、それだけは断固としてお断りいたします。
だって私、別の目的があって、それを餌に王太子の婚約者になっただけですから。
ーーーーーー
初投稿です。
よろしくお願いします!
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています

婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。

婚約破棄は別にいいですけど、優秀な姉と無能な妹なんて噂、本気で信じてるんですか?
リオール
恋愛
侯爵家の執務を汗水流してこなしていた私──バルバラ。
だがある日突然、婚約者に婚約破棄を告げられ、父に次期当主は姉だと宣言され。出て行けと言われるのだった。
世間では姉が優秀、妹は駄目だと思われてるようですが、だから何?
せいぜい束の間の贅沢を楽しめばいいです。
貴方達が遊んでる間に、私は──侯爵家、乗っ取らせていただきます!
=====
いつもの勢いで書いた小説です。
前作とは逆に妹が主人公。優秀では無いけど努力する人。
妹、頑張ります!
※全41話完結。短編としておきながら読みの甘さが露呈…

その発言、後悔しないで下さいね?
風見ゆうみ
恋愛
「君を愛する事は出来ない」「いちいちそんな宣言をしていただかなくても結構ですよ?」結婚式後、私、エレノアと旦那様であるシークス・クロフォード公爵が交わした会話は要約すると、そんな感じで、第1印象はお互いに良くありませんでした。
一緒に住んでいる義父母は優しいのですが、義妹はものすごく意地悪です。でも、そんな事を気にして、泣き寝入りする性格でもありません。
結婚式の次の日、旦那様にお話したい事があった私は、旦那様の執務室に行き、必要な話を終えた後に帰ろうとしますが、何もないところで躓いてしまいます。
一瞬、私の腕に何かが触れた気がしたのですが、そのまま私は転んでしまいました。
「大丈夫か?」と聞かれ、振り返ると、そこには長い白と黒の毛を持った大きな犬が!
でも、話しかけてきた声は旦那様らしきものでしたのに、旦那様の姿がどこにも見当たりません!
「犬が喋りました! あの、よろしければ教えていただきたいのですが、旦那様を知りませんか?」「ここにいる!」「ですから旦那様はどこに?」「俺だ!」「あなたは、わんちゃんです! 旦那様ではありません!」
※カクヨムさんで加筆修正版を投稿しています。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法や呪いも存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
※クズがいますので、ご注意下さい。
※ざまぁは過度なものではありません。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
私はどうしようもない凡才なので、天才の妹に婚約者の王太子を譲ることにしました
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
フレイザー公爵家の長女フローラは、自ら婚約者のウィリアム王太子に婚約解消を申し入れた。幼馴染でもあるウィリアム王太子は自分の事を嫌い、妹のエレノアの方が婚約者に相応しいと社交界で言いふらしていたからだ。寝食を忘れ、血の滲むほどの努力を重ねても、天才の妹に何一つ敵わないフローラは絶望していたのだ。一日でも早く他国に逃げ出したかったのだ。

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる