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作戦直前
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「なぁ、この秘龍石本当に大丈夫なんだろうな?」
心配そうに秘龍石を眺めてナオキは言った。それほど危険な石には見えないがレイの話を聞いたため不安があった。
「それはわかんねぇよ。噂でしか知らないからな。でも信じるしかないだろ」
「まぁ、そうなんだけど……」
月明かりにかざしマジマジと秘龍石を見つめた。やはり中の赤いモノが竜に見える。その時だった――
中の赤い竜が急に眼を開き、こちらを見たのだ。
「うおっ!?」
あまりの驚きに秘龍石を放り投げてしまった。
「おいおい。突然どうしたんだよ? 大事に扱えってチビ達にも言われたろ」
秘龍石を拾い、レイは呆れながら言った。
「い、石の中の竜が目を開いてこっちを見た……」
「はぁ? 何言ってんだよ」
ナオキに言われてレイも秘龍石を覗き込んだ。しかし――
「目なんか開けてねぇよ。見間違えだろ?」
「そんなことない。絶対にオレを見たんだ!」
尚もレイは秘龍石を覗き、時には振ってみたが何も起こらなかった。
「月光が反射してそう見えただけだろ。見間違えだ」
レイは秘龍石をナオキに手渡した。ナオキは再び秘龍石を覗いた。しかし、何も起こらなかった。
気のせい……か……
釈然としない様子のナオキを他所にレイはナオキに話し掛けた。
「そんなことより、最終確認だ。俺はここで待機している。その間ナオキはプランαを実行する。いいな?」
「あぁ。プランαで上手く行ったら、この青の閃光灯をここに向けて光らせる。もしダメだったらこっちの赤い閃光灯を光らせる」
ナオキは秘龍石をズボンのポケットに仕舞い、代わりにポケットに入っていた二本の丸い筒を両手に持った。レイが持っていたものだ。閃光灯といってお互いの合図に使うモノらしい。
「そうだ。使い方は教えて通りだ。魔力を少し込めれば光るようになってる」
「魔法が使えないオレでも魔力を込めればこんな使い方が出来るなんて……」
便利なものがあるんだな。
「正直俺はこのプランαで上手くいくとは思えない」
「まぁまぁ、そこはやってみなきゃわからないだろ」
「ナオキ、お前こっちの人間を知らなさすぎるぜ」
「そうか?」
「けど、これで上手く行ったら最高だな」
そうだ。プランαでは誰も傷つけず終われる。だがそれ以外のプランは――
「なぁ。他のプランでは戦闘になるだろう。そうなった時は――」
ナオキの言葉を手で遮りレイは言った。
「心配するな。怪我は負わせても人間を殺さない」
ベルの救出にあたり、ナオキが出した条件の一つに人間を殺さないことがあった。
「あぁ。くれぐれも頼んだぞ」
「任せとけ。けど、もしもの時は俺も手加減できない。その時は……」
「分かってる。そうなったら仕方がない」
「まあ俺ほどの腕なら殺さなくても楽勝だ。あくまで万が一の時だからな」
レイの表情は余裕そのものだった。余程剣の腕に自信があるのだろう。しかし――
「さっきも言ったけど、八京さんに遭遇したら戦わずに逃げろよ! あの人の強さは尋常じゃないからな!」
「大丈夫。任せろって」
ナオキは何度もクギを刺したが、レイが本当に八京との戦闘を避けるかは正直不安だった。だが、大事な妹がかかっているのだ。レイが馬鹿なことはしないことを祈った。
「オレはそろそろ行ってくるよ」
「あぁ。頼む」
二人は強く握手をしベルの救出作戦の無事を祈った。
心配そうに秘龍石を眺めてナオキは言った。それほど危険な石には見えないがレイの話を聞いたため不安があった。
「それはわかんねぇよ。噂でしか知らないからな。でも信じるしかないだろ」
「まぁ、そうなんだけど……」
月明かりにかざしマジマジと秘龍石を見つめた。やはり中の赤いモノが竜に見える。その時だった――
中の赤い竜が急に眼を開き、こちらを見たのだ。
「うおっ!?」
あまりの驚きに秘龍石を放り投げてしまった。
「おいおい。突然どうしたんだよ? 大事に扱えってチビ達にも言われたろ」
秘龍石を拾い、レイは呆れながら言った。
「い、石の中の竜が目を開いてこっちを見た……」
「はぁ? 何言ってんだよ」
ナオキに言われてレイも秘龍石を覗き込んだ。しかし――
「目なんか開けてねぇよ。見間違えだろ?」
「そんなことない。絶対にオレを見たんだ!」
尚もレイは秘龍石を覗き、時には振ってみたが何も起こらなかった。
「月光が反射してそう見えただけだろ。見間違えだ」
レイは秘龍石をナオキに手渡した。ナオキは再び秘龍石を覗いた。しかし、何も起こらなかった。
気のせい……か……
釈然としない様子のナオキを他所にレイはナオキに話し掛けた。
「そんなことより、最終確認だ。俺はここで待機している。その間ナオキはプランαを実行する。いいな?」
「あぁ。プランαで上手く行ったら、この青の閃光灯をここに向けて光らせる。もしダメだったらこっちの赤い閃光灯を光らせる」
ナオキは秘龍石をズボンのポケットに仕舞い、代わりにポケットに入っていた二本の丸い筒を両手に持った。レイが持っていたものだ。閃光灯といってお互いの合図に使うモノらしい。
「そうだ。使い方は教えて通りだ。魔力を少し込めれば光るようになってる」
「魔法が使えないオレでも魔力を込めればこんな使い方が出来るなんて……」
便利なものがあるんだな。
「正直俺はこのプランαで上手くいくとは思えない」
「まぁまぁ、そこはやってみなきゃわからないだろ」
「ナオキ、お前こっちの人間を知らなさすぎるぜ」
「そうか?」
「けど、これで上手く行ったら最高だな」
そうだ。プランαでは誰も傷つけず終われる。だがそれ以外のプランは――
「なぁ。他のプランでは戦闘になるだろう。そうなった時は――」
ナオキの言葉を手で遮りレイは言った。
「心配するな。怪我は負わせても人間を殺さない」
ベルの救出にあたり、ナオキが出した条件の一つに人間を殺さないことがあった。
「あぁ。くれぐれも頼んだぞ」
「任せとけ。けど、もしもの時は俺も手加減できない。その時は……」
「分かってる。そうなったら仕方がない」
「まあ俺ほどの腕なら殺さなくても楽勝だ。あくまで万が一の時だからな」
レイの表情は余裕そのものだった。余程剣の腕に自信があるのだろう。しかし――
「さっきも言ったけど、八京さんに遭遇したら戦わずに逃げろよ! あの人の強さは尋常じゃないからな!」
「大丈夫。任せろって」
ナオキは何度もクギを刺したが、レイが本当に八京との戦闘を避けるかは正直不安だった。だが、大事な妹がかかっているのだ。レイが馬鹿なことはしないことを祈った。
「オレはそろそろ行ってくるよ」
「あぁ。頼む」
二人は強く握手をしベルの救出作戦の無事を祈った。
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