320 / 324
第3章
第319話 通行止めの元
しおりを挟む
商業ギルドの入り口付近に幾つもの馬車が止まっていて、人々が商業ギルドの中に吸い込まれていく。
馬車の列は、その先の道にも続いている。
橋に向かう馬車が立ち往生して渋滞し、商業ギルドに問い合わせに来た人達も合わさってこの付近はごった返しているみたいだ。
「まだ通行止めは解消されていないということかな。」
デリックさんが眉間の深くしながら眩しそうに道の先の方を見やった。
商業ギルドの入り口から中を覗き込むと窓口に人が殺到していた。どこかで見たような光景だ。
デリックさんとトマソンが窓口に聞いてくるというので、俺はギルドの壁際に行って、壁を背にしながら魔鳥と感覚共有してみた。
空に向かってモクモクと煙らしきものが立ち上っているのが見える。
魔鳥が旋回しているらしくて視界がぐるりと動く。
煙に近づきたくないようで、遠巻きにしながらウロウロしているようだ。
視界の隅に、煙が立ち上る橋が見えた。
橋が燃えているのか?
魔鳥に、煙には近寄らなくて良いから別の角度から見てくれと頼むと、ぐるりと旋回して、煙の周辺を飛んでくれた。
どうやら燃えているのは馬車らしい。橋の真ん中で馬車が横転して燃えていた。
何か事故かな。乗っていた人はどうなったんだろう。
橋に沿って飛んでもらうと、燃えている馬車の近くに人が倒れている。小柄だ。子供か?
馬車のある場所以外にも所々煙が上がっていて
橋の袂付近に人が集まっている。
そこで誰かが暴れている。何がどうなっているんだ?
橋の袂に近づいてみると、暴れているのは見覚えがある大男だった。オデ君じゃないか?
オデ君だとしたら、橋の上で倒れているのは相方のわがまま坊やか?
オデ君が何か叫んで暴れ回っていて、周囲の人たちは消火したくても橋に近づけないみたいだ。
錯乱しちゃっているんだろうか。このままだと不味くないか?
「ちょっと橋を見に行ってくる。」
「ならば我も行こう。」
「拙者も行くでござる。」
窓口に状況を聞きに行っていたデリックさんとトマソンが戻ってきた。
「橋の上での馬車の火災らしいんだが‥‥。」
ごった返した窓口では直接情報は聞けなかったが、窓口に掲げられた通行止めの案内と周囲の声から集めた情報を教えてくれた。
馬車が燃えた原因は不明だが、木でできている橋も燃えているから橋が落ちる可能性があり、消火に手こずっているという。
手こずっているというより、オデ君が邪魔してなかったか?
橋は商業ギルドから東へ四半刻程東に進んだところに流れているツヴァル川にかかっている。
橋の袂近くまで行くと、馬車と人が集まっていた。
唸り声のような怒鳴り声のような声が響いていた。
声の方に歩いていくと、オデ君が数人の騎士と対峙していた。
馬車の列は、その先の道にも続いている。
橋に向かう馬車が立ち往生して渋滞し、商業ギルドに問い合わせに来た人達も合わさってこの付近はごった返しているみたいだ。
「まだ通行止めは解消されていないということかな。」
デリックさんが眉間の深くしながら眩しそうに道の先の方を見やった。
商業ギルドの入り口から中を覗き込むと窓口に人が殺到していた。どこかで見たような光景だ。
デリックさんとトマソンが窓口に聞いてくるというので、俺はギルドの壁際に行って、壁を背にしながら魔鳥と感覚共有してみた。
空に向かってモクモクと煙らしきものが立ち上っているのが見える。
魔鳥が旋回しているらしくて視界がぐるりと動く。
煙に近づきたくないようで、遠巻きにしながらウロウロしているようだ。
視界の隅に、煙が立ち上る橋が見えた。
橋が燃えているのか?
魔鳥に、煙には近寄らなくて良いから別の角度から見てくれと頼むと、ぐるりと旋回して、煙の周辺を飛んでくれた。
どうやら燃えているのは馬車らしい。橋の真ん中で馬車が横転して燃えていた。
何か事故かな。乗っていた人はどうなったんだろう。
橋に沿って飛んでもらうと、燃えている馬車の近くに人が倒れている。小柄だ。子供か?
馬車のある場所以外にも所々煙が上がっていて
橋の袂付近に人が集まっている。
そこで誰かが暴れている。何がどうなっているんだ?
橋の袂に近づいてみると、暴れているのは見覚えがある大男だった。オデ君じゃないか?
オデ君だとしたら、橋の上で倒れているのは相方のわがまま坊やか?
オデ君が何か叫んで暴れ回っていて、周囲の人たちは消火したくても橋に近づけないみたいだ。
錯乱しちゃっているんだろうか。このままだと不味くないか?
「ちょっと橋を見に行ってくる。」
「ならば我も行こう。」
「拙者も行くでござる。」
窓口に状況を聞きに行っていたデリックさんとトマソンが戻ってきた。
「橋の上での馬車の火災らしいんだが‥‥。」
ごった返した窓口では直接情報は聞けなかったが、窓口に掲げられた通行止めの案内と周囲の声から集めた情報を教えてくれた。
馬車が燃えた原因は不明だが、木でできている橋も燃えているから橋が落ちる可能性があり、消火に手こずっているという。
手こずっているというより、オデ君が邪魔してなかったか?
橋は商業ギルドから東へ四半刻程東に進んだところに流れているツヴァル川にかかっている。
橋の袂近くまで行くと、馬車と人が集まっていた。
唸り声のような怒鳴り声のような声が響いていた。
声の方に歩いていくと、オデ君が数人の騎士と対峙していた。
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説
前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。
夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。
陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。
「お父様!助けてください!
私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません!
お父様ッ!!!!!」
ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。
ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。
しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…?
娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました
上野佐栁
ファンタジー
前世では、愛されることなく死を迎える主人公。実の父親、皇帝陛下を殺害未遂の濡れ衣を着せられ死んでしまう。死を迎え、これで人生が終わりかと思ったら公爵家に転生をしてしまった主人公。前世で愛を知らずに育ったために人を信頼する事が出来なくなってしまい。しばらくは距離を置くが、だんだんと愛を受け入れるお話。
あ、出ていって差し上げましょうか?許可してくださるなら喜んで出ていきますわ!
リーゼロッタ
ファンタジー
生まれてすぐ、国からの命令で神殿へ取られ十二年間。
聖女として真面目に働いてきたけれど、ある日婚約者でありこの国の王子は爆弾発言をする。
「お前は本当の聖女ではなかった!笑わないお前など、聖女足り得ない!本来の聖女は、このマルセリナだ。」
裏方の聖女としてそこから三年間働いたけれど、また王子はこう言う。
「この度の大火、それから天変地異は、お前がマルセリナの祈りを邪魔したせいだ!出ていけ!二度と帰ってくるな!」
あ、そうですか?許可が降りましたわ!やった!
、、、ただし責任は取っていただきますわよ?
◆◇◆◇◆◇
誤字・脱字等のご指摘・感想・お気に入り・しおり等をくださると、作者が喜びます。
100話以内で終わらせる予定ですが、分かりません。あくまで予定です。
更新は、夕方から夜、もしくは朝七時ごろが多いと思います。割と忙しいので。
また、更新は亀ではなくカタツムリレベルのトロさですので、ご承知おきください。
更新停止なども長期の期間に渡ってあることもありますが、お許しください。
断罪される1か月前に前世の記憶が蘇りました。
みちこ
ファンタジー
両親が亡くなり、家の存続と弟を立派に育てることを決意するけど、ストレスとプレッシャーが原因で高熱が出たことが切っ掛けで、自分が前世で好きだった小説の悪役令嬢に転生したと気が付くけど、小説とは色々と違うことに混乱する。
主人公は断罪から逃れることは出来るのか?
恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜
k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」
そう婚約者のグレイに言われたエミリア。
はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。
「恋より友情よね!」
そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。
本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる