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第3章

第319話 通行止めの元

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商業ギルドの入り口付近に幾つもの馬車が止まっていて、人々が商業ギルドの中に吸い込まれていく。
馬車の列は、その先の道にも続いている。
橋に向かう馬車が立ち往生して渋滞し、商業ギルドに問い合わせに来た人達も合わさってこの付近はごった返しているみたいだ。

「まだ通行止めは解消されていないということかな。」

デリックさんが眉間の深くしながら眩しそうに道の先の方を見やった。
商業ギルドの入り口から中を覗き込むと窓口に人が殺到していた。どこかで見たような光景だ。

デリックさんとトマソンが窓口に聞いてくるというので、俺はギルドの壁際に行って、壁を背にしながら魔鳥と感覚共有してみた。

空に向かってモクモクと煙らしきものが立ち上っているのが見える。
魔鳥が旋回しているらしくて視界がぐるりと動く。
煙に近づきたくないようで、遠巻きにしながらウロウロしているようだ。
視界の隅に、煙が立ち上る橋が見えた。
橋が燃えているのか?

魔鳥に、煙には近寄らなくて良いから別の角度から見てくれと頼むと、ぐるりと旋回して、煙の周辺を飛んでくれた。
どうやら燃えているのは馬車らしい。橋の真ん中で馬車が横転して燃えていた。

何か事故かな。乗っていた人はどうなったんだろう。

橋に沿って飛んでもらうと、燃えている馬車の近くに人が倒れている。小柄だ。子供か?
馬車のある場所以外にも所々煙が上がっていて
橋の袂付近に人が集まっている。
そこで誰かが暴れている。何がどうなっているんだ?

橋の袂に近づいてみると、暴れているのは見覚えがある大男だった。オデ君じゃないか?
オデ君だとしたら、橋の上で倒れているのは相方のわがまま坊やか?
オデ君が何か叫んで暴れ回っていて、周囲の人たちは消火したくても橋に近づけないみたいだ。
錯乱しちゃっているんだろうか。このままだと不味くないか?

「ちょっと橋を見に行ってくる。」
「ならば我も行こう。」
「拙者も行くでござる。」

窓口に状況を聞きに行っていたデリックさんとトマソンが戻ってきた。

「橋の上での馬車の火災らしいんだが‥‥。」

ごった返した窓口では直接情報は聞けなかったが、窓口に掲げられた通行止めの案内と周囲の声から集めた情報を教えてくれた。
馬車が燃えた原因は不明だが、木でできている橋も燃えているから橋が落ちる可能性があり、消火に手こずっているという。
手こずっているというより、オデ君が邪魔してなかったか?

橋は商業ギルドから東へ四半刻程東に進んだところに流れているツヴァル川にかかっている。
橋の袂近くまで行くと、馬車と人が集まっていた。
唸り声のような怒鳴り声のような声が響いていた。
声の方に歩いていくと、オデ君が数人の騎士と対峙していた。
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