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第3章
第288話 心配な令嬢達
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令嬢二人で、護衛も侍女も同行していない。この街まではクラスメートと一緒だったからそこまで心配ではなかったが、二人旅、一人旅となるとちょっと心配ではある
。
「ヴァルムまで行ったら叔母の家があるので、そこでエリーザの家から迎えが来るまで一緒に待つ予定なんです。私は叔母の家の馬車で送ってもらうつもりです。」
「そうであるか。それなら心配無用であるな。」
「はい。乗り合い馬車も、宿で知り合った人が一緒だし、心強いです。」
メイサ嬢がそういうと、フォーゲル君が顔を上げた。一瞬遅れて他の面々もメイサ嬢を見た。
「宿で?いつの間に知り合ったの?どんな人?」
「宿で待機している間よ。
宿で演奏会を開催してくれるというから観に行ったの。そこで会ったので少しだけお話したのよ。」
「結構、イケメンよ。知的で格好よかったわ。」
「え?男性?」
急に皆ざわつき始めた。男子だけでなく、アメリー嬢も訝しげな顔をした。
「二人で宿のサロンに行った時のことよね。大丈夫なの?貴族の殿方?」
「多分貴族よ。二人とも王都で文官をされている方ですって。」
「二人?多分ってお名前を聞かなかったの?」
「演奏会だからあまりおしゃべりはできなくて、きちんとは名乗っていないの。テリー様とガイ様とおっしゃってたわ。
足止めされて辛いですねって、少し岳お話をして、ヴァルムまでって言ったら、同じ方向ですねって。」
「‥‥それだけの情報だと良くわからないわね。」
アメリー嬢がちょっと困った顔をして首を傾げた。
肉のかたまりを頬張っていたマルロイ君がごくんと肉を呑み込んでから言った。
「乗り合い馬車に誘われたっぺか?」
「ええ。チケットを取ってくださるって。」
「どの馬車かわかってるだす?」
シン君はスープのスプーンを持つ手を止めて顔を上げた。
「いいえ。出発前に乗降広場で待ち合わせる事になっているの。その時案内してくださるって。」
「いやいやいや、ちょっと心配だよ。」
フォーゲル君が落ち着かない様子で周囲を見回した。
腰が浮きかけている。どこかに行く気?
デリックさんが、スプーンを置き、メイサ嬢とエリーザ嬢に顔を向けた。ピクリと、二人の令嬢の肩が揺れた。デリックさんの眉間の皺ガ深くなっていて目つきも悪く見える。
初対面じゃないから、令嬢達もちょっとビクッとしただけで済んでいるけど、初めてみたら怖いかもしれない。
「その男性二人を信頼出来る要素がみつからないのだが。名前もきちんと名乗っていないのにチケットを用意するというのは、何か裏があるのではないか?」
「ええ?でも貴族の男性よ。」
「名乗ってないのだよね。」
「‥‥はい‥‥。」
「貴族だとしても,貴族だから良い人とも限らないであろう。
‥‥ふむ‥‥。調べるにも時間がないな‥‥。」
デリックさんは、壁にかけられていた時計に目をやった。乗り換え等もあるから多少眺めに時間は取られているが、これから出発という状況だ。
ユリウスは顎に手をやり首を捻った後、俺の方をみた。
「危なくなったらイーモを投げつけるというのはどうでござるか?」
「芋だって手配してから焼くのに時間がかかるぞ。それに投げられない状況だってありえるうだろ。」
言ってから、別に投げつけるだけなら芋を焼く必要はないことに気がついた。でも、ユリウスはアイスリザードに投げる感覚のようだから焼いた芋をイメージしている気がする。
「そうでござるなぁ。じゃあ、一緒の馬車に乗らなければ良いでござるかな。」
「それはそうだけど。俺達の方が出発が先だと、強引に馬車に誘われるかもしれないぞ。」
令嬢二人を馬車に誘った人物について、俺達が皆否定的な様子だったので、メイサ嬢とエリーザ嬢が不安そうな顔になった。
「よ、良くないことだったのかしら‥‥。」
「その二人が良い人である可能性もあるであるが、悪い人の可能性もあるであるな。」
マーギットさんがスッと右手を右眼の位置まで上げて、短い時間目を閉じた。それを見たユリウスがマーギットさんに言う。
。
「ヴァルムまで行ったら叔母の家があるので、そこでエリーザの家から迎えが来るまで一緒に待つ予定なんです。私は叔母の家の馬車で送ってもらうつもりです。」
「そうであるか。それなら心配無用であるな。」
「はい。乗り合い馬車も、宿で知り合った人が一緒だし、心強いです。」
メイサ嬢がそういうと、フォーゲル君が顔を上げた。一瞬遅れて他の面々もメイサ嬢を見た。
「宿で?いつの間に知り合ったの?どんな人?」
「宿で待機している間よ。
宿で演奏会を開催してくれるというから観に行ったの。そこで会ったので少しだけお話したのよ。」
「結構、イケメンよ。知的で格好よかったわ。」
「え?男性?」
急に皆ざわつき始めた。男子だけでなく、アメリー嬢も訝しげな顔をした。
「二人で宿のサロンに行った時のことよね。大丈夫なの?貴族の殿方?」
「多分貴族よ。二人とも王都で文官をされている方ですって。」
「二人?多分ってお名前を聞かなかったの?」
「演奏会だからあまりおしゃべりはできなくて、きちんとは名乗っていないの。テリー様とガイ様とおっしゃってたわ。
足止めされて辛いですねって、少し岳お話をして、ヴァルムまでって言ったら、同じ方向ですねって。」
「‥‥それだけの情報だと良くわからないわね。」
アメリー嬢がちょっと困った顔をして首を傾げた。
肉のかたまりを頬張っていたマルロイ君がごくんと肉を呑み込んでから言った。
「乗り合い馬車に誘われたっぺか?」
「ええ。チケットを取ってくださるって。」
「どの馬車かわかってるだす?」
シン君はスープのスプーンを持つ手を止めて顔を上げた。
「いいえ。出発前に乗降広場で待ち合わせる事になっているの。その時案内してくださるって。」
「いやいやいや、ちょっと心配だよ。」
フォーゲル君が落ち着かない様子で周囲を見回した。
腰が浮きかけている。どこかに行く気?
デリックさんが、スプーンを置き、メイサ嬢とエリーザ嬢に顔を向けた。ピクリと、二人の令嬢の肩が揺れた。デリックさんの眉間の皺ガ深くなっていて目つきも悪く見える。
初対面じゃないから、令嬢達もちょっとビクッとしただけで済んでいるけど、初めてみたら怖いかもしれない。
「その男性二人を信頼出来る要素がみつからないのだが。名前もきちんと名乗っていないのにチケットを用意するというのは、何か裏があるのではないか?」
「ええ?でも貴族の男性よ。」
「名乗ってないのだよね。」
「‥‥はい‥‥。」
「貴族だとしても,貴族だから良い人とも限らないであろう。
‥‥ふむ‥‥。調べるにも時間がないな‥‥。」
デリックさんは、壁にかけられていた時計に目をやった。乗り換え等もあるから多少眺めに時間は取られているが、これから出発という状況だ。
ユリウスは顎に手をやり首を捻った後、俺の方をみた。
「危なくなったらイーモを投げつけるというのはどうでござるか?」
「芋だって手配してから焼くのに時間がかかるぞ。それに投げられない状況だってありえるうだろ。」
言ってから、別に投げつけるだけなら芋を焼く必要はないことに気がついた。でも、ユリウスはアイスリザードに投げる感覚のようだから焼いた芋をイメージしている気がする。
「そうでござるなぁ。じゃあ、一緒の馬車に乗らなければ良いでござるかな。」
「それはそうだけど。俺達の方が出発が先だと、強引に馬車に誘われるかもしれないぞ。」
令嬢二人を馬車に誘った人物について、俺達が皆否定的な様子だったので、メイサ嬢とエリーザ嬢が不安そうな顔になった。
「よ、良くないことだったのかしら‥‥。」
「その二人が良い人である可能性もあるであるが、悪い人の可能性もあるであるな。」
マーギットさんがスッと右手を右眼の位置まで上げて、短い時間目を閉じた。それを見たユリウスがマーギットさんに言う。
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