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第3章

第256話 バリケード

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「わー!」
「やっぱり無茶だー!!」

南門の方から叫び声やら騒いでいる声が聞こえて来て、人がかけてくる。
駆けてくる人の中に冒険者の格好をした人がいたので、呼び止めた。呼び止められた人はちょっと困惑した顔をしたけど、早口で説明をしてくれた。

「ギルドマスターに討伐に向かえって言われたけど無理だった!南門から出た奴らが一気に引き返してきて、門に殺到しているところにアイスリザードが突っ込んできやがったんだ!君達も早く逃げた方がいいぞ!」
「アイスリザードが突っ込んだって、南門に?」
「そう言ってるだろ!俺は逃げるぞ!じゃあな!」

情報を伝えてくれた冒険者は、雪で足を滑らせて転びそうになり、通路を見つけると這うように移動をして通路を通って逃げて行った。

「アイスリザードが南門から入って来たってことでござるか?」
「そうらしい‥‥。」
「「ええ!?」」
ロアン君とローレ嬢が同時に小さく悲鳴を上げた。

偵察の為に魔鳥を飛ばす。
南門付近の光景、砦門までの道の光景を数秒ずつ間隔共有した。

南門では、既にアイスリザードが門の内側に一体入り込んでいる。さらにもう一体が閉ざされきれていない門の隙間に頭を突っ込んでいた。
冒険者達が周りを囲んで、弓を射ったり、魔法を放ったりしているが、その場に留めるのが精一杯に見える。
砦門までの道の間では、数か所で戦闘が行われているが、アイスリザードの数が多くて、取りこぼしが南門に向かって行ってしまっているようだ。
何か所か戦闘の様子を見たら、ラドロの姿を確認できた。今のところ怪我もしていなさそうだ。

「ラドロは無事だ。街にアイスリザードが入って行かないように戦ってるよ。」

ローレ嬢達を安心させる為に、先に伝えておく。それからジョセフィンに、冒険者ギルドと商業ギルドへの連絡を頼んだ。

ジョセフィンが急いでメッセージを書いて魔鳥に運ばせている間に、俺はもう一度南門周辺を見た。
門から街の内側は、馬車が通りやすいように雪を脇に避けてはあるが、雪の壁は作られておらず、所々山になっている。
雪の壁を門を塞ぐ様に作ればアイスリザードの侵攻を阻止できるかもしれない。

「雪の壁か‥‥。ジョス!ドルートルさんに除雪魔導士を応援に寄越してもらえないか連絡してくれる?」
「除雪魔導士ですか?先程の話では、東門の除雪のヘルプに行くという話だったのでは。」
「あー、そうだったな。」
「商業ギルドにまだいるかもしれないので連絡はしてみます!」
「頼む。」

俺は、通りの先に見える南門をみた。ここからはまだ距離がある。門の方からはまだバラバラと逃げてくる人達がこちらに向かってくる。
「何をしようとしているであるか?」

マーギットさんが俺に尋ねた。何かしようとしている気配がでてたのか‥‥。
俺は杖で道路を指し示した。

「ここに。人がギリギリ通れるくらいの隙間のある雪の壁を作ろうかと。」
「ここに?作るなら門に近い場所の方が良いのではないであるか?」
「門近くは今作れる状態かわからないし、門付近にも作るとしても、何か所か塞いでおいた方が安心でしょう。」
「成る程。‥‥手伝いは?」
「‥‥じゃあ。こっち側から作るんで、逃げてくる人がぶつからないように誘導してもらえますか?」

俺が杖で場所を指し示すと、マーギットさんは頷いて、ユリウス達に指示を与えた。
門から逃げてくる人の流れを誘導して、雪の壁を作る場所に人が突進してこないようにしてくれる。
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