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第3章

第235話 街の商業ギルド

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魔鷹君の事は魔鳥のピーゴとピーロクに任せることにして、ギルド近くの乗降広場で少し情報収集をすることにした。

「警鐘?ああ、魔獣溢れとかに鳴らす奴ね。あるよ。ギルドの屋根のとこにあるやつと、大きい方の乗降広場の所にある。
ギルドの方のは小さくて、ギルドで鳴らしたら、それを聞いて乗降広場のでかい鐘を鳴らすと街全体に伝わるんだとかだよ。」

乗り合い馬車の乗車券を販売していた男性に訊いて見たら、冒険者ギルドの建物の上の方を指差して教えてくれた。
見ると、確かに冒険者ギルドの建物の上方に少し突き出た部分があり、小さめの鐘が設置されているのが見えた。

成る程、街に危機が迫った場合は、まず冒険者ギルドから危険を知らせるわけだ。
でも街中に知らせるのは乗降広場の鐘ということは、冒険者ギルドが鐘を鳴らさなくても、危険が迫っていると判断されれば、乗降広場の鐘だけ鳴らすってこともできそうではある。

「避難方法?うーん。ここは馬車に乗る人が押し寄せてくるからね。大変なんだよ。
臨時馬車が出ているくらいのときは、それを案内するけどさ。どうしようもなかったら、俺達も逃げろってことになってる。指示?指示は商業ギルドかな。」

乗り合い馬車組合が商業ギルドの管轄だから、避難時の臨時馬車の手配など商業ギルドが動くのだそうだ。

「冒険者ギルド?まあ、目の前だけどね。あっちは、あまり馬車を持ってないから、討伐に向かう冒険者を乗せていく位だね。」

住民の避難は、やはり商業ギルドが中心なのか。

アイスワームの件についてはドルートルさんが商業ギルドに伝えに行ってくれていると思うけど、この街の商業ギルドがどんな感じか見に行ってみる事にした。

商業ギルドに到着すると、早朝だというのにロビーに沢山の人が集まっているのが見えた。
窓口で怒鳴っている人、隅の方に固まって深刻な顔で話合っている人。漏れ聞こえてくる話題はどれもアイスリザードで南方面の街道が通行止めとなっている件のようだった。

「迂回路を推奨だと?冗談じゃない。どれだけの損害が出ると思ってるんだ!アイスリザードなんてさっさと追っ払ってくれよ!」
「乗客の大半はロクに宿も取れていないんだぞ。何時までこんな状態が続くんだ!」

ギルド内の目立つ場所の掲示板に、乗り合い馬車組合からの情報が掲示されていた。
出発が延期となっている馬車隊や、街に向かう途中で連絡を受け、手前の村や街に引き返した馬車隊の情報。乗り合い馬車の南方面行きが運休と鳴っている情報だ。
乗り合い馬車組合の事務所は、商業ギルドの建物に中にあるらしく、逐一情報を更新しているようだった。
宿の情報も掲示されているが、こちらは全て満室と表示されていて、ロビー泊についても「要問い合わせ」とだけ書かれている。

ホール内を見回していると小柄でちょっとふっくらした商人が、俺達に話しかけて来た。

「君達、馬車の情報が知りたくて来たの? あのね。引き返して迂回路を使う方が良いと思うよ。」

商人はロイメルさんという名前で、俺達とは別の馬車隊でこの街に来たのだという。商業ギルドには迂回路を行く事についての話し合いに来たのだそうだ。

「うちはまだちょっと揉めてるけどね。迂回路を行くのが決まった馬車隊があったら、ここに掲示されるはずだよ。」

ロイメルさんが契約している馬車隊では、この街からすぐ南の街に行く予定だった人達がいて、キャンセルやら補償やらの話し合いの最中なのだという。
迂回路となる場合の取り決めが事前に不足していたらしい。

ロイメルさんとしては、交渉が長引くなら、旅程をキャンセルして迂回する別の馬車隊に乗り換えたいらしいけどそれはそれでキャンセル料の交渉が必要になってくる。

「迂回路推奨ってことは討伐が長引きそうってことですかね。」

ロイメルさんはアイスリザード討伐待ちではなく迂回路一択と言った様子だったので、訊いてみた。ロイメルさんは琥珀色の目をチラチラと周囲に走らせた。
そして小声で言った。

「うーん‥‥。この街の冒険者ギルドだとね。あまり当てにならないかなぁ。」

ロイメルさんは数ヶ月前にこの街の付近で魔獣溢れがあったことから、魔獣討伐の対応状況などを気にして見ていたそうだ。

「冒険者ギルドの内情は良く知らないけどね。
どうも対応がイマイチな印象なんだよね。アイスリザードの討伐状況も良くわからないしさ。」

副ギルドマスターは頑張ってるのかなと思ったんだけど、冒険者ギルドに対する評価はあまり良くないらしい。
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