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第3章
第226話 朱色髪の冒険者
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「も、申し訳ございませんでした。‥‥高位貴族の方、ですよね?」
「家柄の話をしているんじゃないですよ?」
「自分、ラドロ・ルーベンと申します。俺達、討伐帰りでヘトヘトで、腹も減ってて苛立っていたんです。申し訳ございません!あの、どうか穏便に。」
「いや、だから‥‥。‥‥ルーベン?」
家名を呼んだら朱色髪の男、ラドロ・ルーベンがギクリと肩を揺らした。絶望的な表情になる。
「あ、うちは‥‥非常に貧乏な男爵家でして‥‥、賠償金とか支払うのは厳しく‥‥。何卒‥‥。」
「5人兄妹?」
「え?」
「双子の弟妹がいる?」
「なぜ、それを?」
ラドロがぽかんとした顔で俺を見た。彼らを見た事あると思ったのは、ラドロの顔がちょっとロアン君とローレ嬢に似ていたんだ。それと多分魔鳥で探索していたときに
アイスリザードと戦っていた冒険者達だ。
ロアン君達が緊急寄宿で冒険者ギルドに寝泊まりすると言ったら、ラドロは凄く驚いた様子だった。直ぐに冒険者ギルドに向かおうとするので、呼び止めた。
まずは、何故怒鳴っていたのか状況を確認したかった。
彼らは、先程討伐から帰って来て、宿に到着したところだったそうだ。
ロアン君達より前に到着した馬車隊の護衛で街に立ち寄っていて、アイスリザード出現に寄る通行止めの知らせを受けて、急遽討伐に向かったのだそうだ。
その際に、宿を取っておいてもらうように人に頼んだそうなんだが、予算に見合う部屋が満室となってしまっていて、ロビーでも宿泊しか確保出来ていないと言われたそうだ。
部屋が取れていなかった事は仕方ないと思ったのだそうだが、では食事をと思ったら食堂では食事が出来ないと言われて、宿の人がロビーでの食事の説明をしようとしているのを
最後まで聞かずに,食堂に乗り込んでいったようだ。
「短気な一族なの?」
ローレ嬢達も最初冒険者ギルド窓口でキレてたなぁ、などと思う。
「‥‥面目ないです。」
ロビーの長椅子に腰を下ろして、肉を挟んだパンをモグモグと食べながら、ラドロ達がシュンと肩を落とした。
俺とジョセフィンと、マーギットさんとデリックさんで、ロビーの隅で彼らと話をしていた。他のメンバーは、もう部屋に戻っている。
「‥‥部屋を確保してくれって頼んでいたやつは、ちゃっかり自分は俺達が言った予算の部屋を確保していたりして苛立ってました。疲れてたし、余裕なくなっちまって‥‥。」
ラドロは、ルーベン家の次男で、ロアン君とローレ嬢の二番目の兄だそうだ。既に学園は卒業していて、卒業後は冒険者をしてあちこちに行っていたからロアン君達とは長い事会っていないらしい。
「明日の朝にでも会いに行くか‥‥。」
パンを水で流し込んで呑み込んだ後、ラドロが呟くように言った。
今から冒険者ギルドに行っても、ギルド職員に呼び出してもらう形になるし、
もう寝ているかもしれないということで、直ぐに訪ねて行く事はやめたようだ。
食事をして少し気持ちが落ち着いたのかもしれない。
「アイスリザードは討伐出来たんですか?」
魔鳥の目を通してみた光景を思い出して、聞いて見た。
ラドロ達が少し苦々しい顔をして頷いた。
「一体倒した。だが、その先に進んで行ったら続々と出てきやがった。全部倒すのは体力が持たないんで撤退してきた。
元々、調査目的で行ったんだけどな。どっから入り込んでくるのか確認が出来なかった。‥‥どこか雪の壁に穴でも空いているんだと思うんだが。」
調査した結果については既に冒険者ギルドに報告済みで、明日どう動くかは明日の朝冒険者ギルドで相談するそうだ。
魔鳥で見たときはアイスリザードは2体だけだったが、更にぞろぞろと出て来たということか。
明日、討伐出来たとしても更に原因が特定されて安全確認が終わらないと、南方面への通行止めは解除されないだろう。
馬車隊が何時出発できるか読めないな。
「家柄の話をしているんじゃないですよ?」
「自分、ラドロ・ルーベンと申します。俺達、討伐帰りでヘトヘトで、腹も減ってて苛立っていたんです。申し訳ございません!あの、どうか穏便に。」
「いや、だから‥‥。‥‥ルーベン?」
家名を呼んだら朱色髪の男、ラドロ・ルーベンがギクリと肩を揺らした。絶望的な表情になる。
「あ、うちは‥‥非常に貧乏な男爵家でして‥‥、賠償金とか支払うのは厳しく‥‥。何卒‥‥。」
「5人兄妹?」
「え?」
「双子の弟妹がいる?」
「なぜ、それを?」
ラドロがぽかんとした顔で俺を見た。彼らを見た事あると思ったのは、ラドロの顔がちょっとロアン君とローレ嬢に似ていたんだ。それと多分魔鳥で探索していたときに
アイスリザードと戦っていた冒険者達だ。
ロアン君達が緊急寄宿で冒険者ギルドに寝泊まりすると言ったら、ラドロは凄く驚いた様子だった。直ぐに冒険者ギルドに向かおうとするので、呼び止めた。
まずは、何故怒鳴っていたのか状況を確認したかった。
彼らは、先程討伐から帰って来て、宿に到着したところだったそうだ。
ロアン君達より前に到着した馬車隊の護衛で街に立ち寄っていて、アイスリザード出現に寄る通行止めの知らせを受けて、急遽討伐に向かったのだそうだ。
その際に、宿を取っておいてもらうように人に頼んだそうなんだが、予算に見合う部屋が満室となってしまっていて、ロビーでも宿泊しか確保出来ていないと言われたそうだ。
部屋が取れていなかった事は仕方ないと思ったのだそうだが、では食事をと思ったら食堂では食事が出来ないと言われて、宿の人がロビーでの食事の説明をしようとしているのを
最後まで聞かずに,食堂に乗り込んでいったようだ。
「短気な一族なの?」
ローレ嬢達も最初冒険者ギルド窓口でキレてたなぁ、などと思う。
「‥‥面目ないです。」
ロビーの長椅子に腰を下ろして、肉を挟んだパンをモグモグと食べながら、ラドロ達がシュンと肩を落とした。
俺とジョセフィンと、マーギットさんとデリックさんで、ロビーの隅で彼らと話をしていた。他のメンバーは、もう部屋に戻っている。
「‥‥部屋を確保してくれって頼んでいたやつは、ちゃっかり自分は俺達が言った予算の部屋を確保していたりして苛立ってました。疲れてたし、余裕なくなっちまって‥‥。」
ラドロは、ルーベン家の次男で、ロアン君とローレ嬢の二番目の兄だそうだ。既に学園は卒業していて、卒業後は冒険者をしてあちこちに行っていたからロアン君達とは長い事会っていないらしい。
「明日の朝にでも会いに行くか‥‥。」
パンを水で流し込んで呑み込んだ後、ラドロが呟くように言った。
今から冒険者ギルドに行っても、ギルド職員に呼び出してもらう形になるし、
もう寝ているかもしれないということで、直ぐに訪ねて行く事はやめたようだ。
食事をして少し気持ちが落ち着いたのかもしれない。
「アイスリザードは討伐出来たんですか?」
魔鳥の目を通してみた光景を思い出して、聞いて見た。
ラドロ達が少し苦々しい顔をして頷いた。
「一体倒した。だが、その先に進んで行ったら続々と出てきやがった。全部倒すのは体力が持たないんで撤退してきた。
元々、調査目的で行ったんだけどな。どっから入り込んでくるのか確認が出来なかった。‥‥どこか雪の壁に穴でも空いているんだと思うんだが。」
調査した結果については既に冒険者ギルドに報告済みで、明日どう動くかは明日の朝冒険者ギルドで相談するそうだ。
魔鳥で見たときはアイスリザードは2体だけだったが、更にぞろぞろと出て来たということか。
明日、討伐出来たとしても更に原因が特定されて安全確認が終わらないと、南方面への通行止めは解除されないだろう。
馬車隊が何時出発できるか読めないな。
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