218 / 324
第3章
第217話 新しいクレクレ?
しおりを挟む
「デヴィン?」
ダークグレーの男の様子をみた、赤髪の二人が俺達の方を振り向いた。
「あ!もしかして貴族?」
赤髪の女の子が真っ赤な瞳を見開いた。
そして赤髪の男の子の袖を引っぱり、俺達の方を指差した。
「ねえ、ロアン!あの人達にお金貸してもらったら?」
意味不明の状況に今度は俺達の方が固まった。彼らは、多分貴族の子息子女なんだと思う。そうでなきゃ、目の前の相手が貴族だと思いながら
金を借りに行けとかせかしたりはしないだろう。‥‥だよね?
赤毛の女の子は自分では俺達に言い出さずに、やたらと赤髪の男の子の背中を押して俺達に金を借りに行けとせかしている。
それには赤髪の男の子だけでなく、ふてくされた態度だったダークグレーの髪の男も動揺している様子だ。
「ちょっ!ローレ!そんな失礼な事できないよ!」
「大丈夫よ、ロアン!多分学園に通っている人だよきっと。学園内って、あまり身分差で態度変えないって聞いたよ。」
「僕達、まだ学園入ってないだろ!」
「言ってみるだけ言ってみようよ!」
「ローレ、流石にそれは俺もちょっとどうかと思うぞ。」
「何よ、デヴィン!普段、貴族なんか!って言っているくせに!」
「ちょっ‥‥。ここで言うなよ!」
彼らの話し合いが終わるのを待っていた方がいいのだろうか。いや、時間の無駄だよな。
俺の前に立ってくれていたジョセフィンの肩にポンと手を置いた。
「ジョス、ありがと。‥‥ちょっと話聞いてみようか。」
ジョセフィンも最初は警戒してピリピリした魔力を手足に溜めていたけど、彼らの会話を聞いていて、呆れた様子になっていた。
俺達が話を聞く気があると気付いたのか、赤髪の男の子が前に一歩踏み出して、深々とお辞儀をした。
「ロアン・ルーベンと申します。こっちは双子の妹のローレ。もう一人は、デヴィン・ザンダーです。」
ルーベン家は男爵家だったと思う。ザンダー家は‥‥騎士爵家かな。
「ぼ、僕達、春から学園に入学予定なんです!」
「おいっ!俺は違うぞ!」
「デヴィン、諦めない為にお金を貯めてるんじゃないか。」
ダークグレーの髪のデヴィン君が、学園入学を否定して、ロアン君と揉め出した。すると、どんっと二人の背中をローレ嬢が叩いて、ヒソヒソと耳打ちした。
脱線するなってことかな。
ロアン君が再度俺達の方に向かって頭を下げた。
「あの‥‥多分学園に通っている方達ですよね。年齢的に‥‥。その‥‥、後輩を助けると思って‥‥今日の宿代分だけで良いんです!お金を貸していただけませんか?」
ロアン君がそう言うと、どんっと更にローレ嬢がロアン君の背中を叩いた。
「食事代はどうするのよ!」
「手持ちでパンくらいは買えるだろ。」
ヒソヒソと話をしている。ローレ嬢は、しっかりちゃっかりした性格なのかな。
場所はギルドの受付のカウンター前。他にも冒険者達がいるので場所を変えて話をする事にした。
ダメ元でギルドの個室を借りれないか聞いてみると言って、受付の女性の所に近付いた。カウンターの上に名前が書かれた札があった。
受付の女性はフレイヤさんと言うらしい。
「マーカス・プリメレモンと申します。」
「‥‥ギルド職員のフレイヤです。」
「フレイヤさんとお呼びしても?」
「ええ、構いませんわ。」
微笑んで挨拶をしたらフレイヤさんの表情が和らいだ。
彼らの方に一瞬目線を動かしてから、フレイヤさんに尋ねた。
「彼らとの話し合いの為にギルドの個室をお借りすることは出来ますか?」
「申し訳ございませんが、冒険者同士のお話しの為の個室の貸し出しはしておりません。」
フレイヤさんは相変わらず淡々とした口調で答えた。
俺は頷いてから、もう一つ質問をした。
「個室の件は判りました。もう一つ質問です。このギルドには、緊急寄宿の場所はないんですか?」
フレイヤさんの焦げ茶色の瞳が揺れた。ピクリと眉を動かして俺の顔を見た。
「‥‥ございます。」
「空きはないんですか?」
「‥‥ございます。」
緊急寄宿というのは、彼らの様に護衛依頼の途中で宿泊に困ったり、魔獣溢れなどで旅人が村に避難して来たときとかに、
ごく最低限の宿泊場所を冒険者ギルドが提供するという制度だ。外で野宿をして魔獣の襲われたり、凍死したりしないように最低限の夜明かしをする場所を提供するだけなので屋内の訓練場で寝袋で寝るとかという程度だ。それでも、雪の中で放り出されて凍死したりしないだけマシだと思うが。
このギルドにも緊急寄宿の場所はあるらしい。しかし、フレイヤさんは、彼らには説明はしなかったようだ。
ダークグレーの男の様子をみた、赤髪の二人が俺達の方を振り向いた。
「あ!もしかして貴族?」
赤髪の女の子が真っ赤な瞳を見開いた。
そして赤髪の男の子の袖を引っぱり、俺達の方を指差した。
「ねえ、ロアン!あの人達にお金貸してもらったら?」
意味不明の状況に今度は俺達の方が固まった。彼らは、多分貴族の子息子女なんだと思う。そうでなきゃ、目の前の相手が貴族だと思いながら
金を借りに行けとかせかしたりはしないだろう。‥‥だよね?
赤毛の女の子は自分では俺達に言い出さずに、やたらと赤髪の男の子の背中を押して俺達に金を借りに行けとせかしている。
それには赤髪の男の子だけでなく、ふてくされた態度だったダークグレーの髪の男も動揺している様子だ。
「ちょっ!ローレ!そんな失礼な事できないよ!」
「大丈夫よ、ロアン!多分学園に通っている人だよきっと。学園内って、あまり身分差で態度変えないって聞いたよ。」
「僕達、まだ学園入ってないだろ!」
「言ってみるだけ言ってみようよ!」
「ローレ、流石にそれは俺もちょっとどうかと思うぞ。」
「何よ、デヴィン!普段、貴族なんか!って言っているくせに!」
「ちょっ‥‥。ここで言うなよ!」
彼らの話し合いが終わるのを待っていた方がいいのだろうか。いや、時間の無駄だよな。
俺の前に立ってくれていたジョセフィンの肩にポンと手を置いた。
「ジョス、ありがと。‥‥ちょっと話聞いてみようか。」
ジョセフィンも最初は警戒してピリピリした魔力を手足に溜めていたけど、彼らの会話を聞いていて、呆れた様子になっていた。
俺達が話を聞く気があると気付いたのか、赤髪の男の子が前に一歩踏み出して、深々とお辞儀をした。
「ロアン・ルーベンと申します。こっちは双子の妹のローレ。もう一人は、デヴィン・ザンダーです。」
ルーベン家は男爵家だったと思う。ザンダー家は‥‥騎士爵家かな。
「ぼ、僕達、春から学園に入学予定なんです!」
「おいっ!俺は違うぞ!」
「デヴィン、諦めない為にお金を貯めてるんじゃないか。」
ダークグレーの髪のデヴィン君が、学園入学を否定して、ロアン君と揉め出した。すると、どんっと二人の背中をローレ嬢が叩いて、ヒソヒソと耳打ちした。
脱線するなってことかな。
ロアン君が再度俺達の方に向かって頭を下げた。
「あの‥‥多分学園に通っている方達ですよね。年齢的に‥‥。その‥‥、後輩を助けると思って‥‥今日の宿代分だけで良いんです!お金を貸していただけませんか?」
ロアン君がそう言うと、どんっと更にローレ嬢がロアン君の背中を叩いた。
「食事代はどうするのよ!」
「手持ちでパンくらいは買えるだろ。」
ヒソヒソと話をしている。ローレ嬢は、しっかりちゃっかりした性格なのかな。
場所はギルドの受付のカウンター前。他にも冒険者達がいるので場所を変えて話をする事にした。
ダメ元でギルドの個室を借りれないか聞いてみると言って、受付の女性の所に近付いた。カウンターの上に名前が書かれた札があった。
受付の女性はフレイヤさんと言うらしい。
「マーカス・プリメレモンと申します。」
「‥‥ギルド職員のフレイヤです。」
「フレイヤさんとお呼びしても?」
「ええ、構いませんわ。」
微笑んで挨拶をしたらフレイヤさんの表情が和らいだ。
彼らの方に一瞬目線を動かしてから、フレイヤさんに尋ねた。
「彼らとの話し合いの為にギルドの個室をお借りすることは出来ますか?」
「申し訳ございませんが、冒険者同士のお話しの為の個室の貸し出しはしておりません。」
フレイヤさんは相変わらず淡々とした口調で答えた。
俺は頷いてから、もう一つ質問をした。
「個室の件は判りました。もう一つ質問です。このギルドには、緊急寄宿の場所はないんですか?」
フレイヤさんの焦げ茶色の瞳が揺れた。ピクリと眉を動かして俺の顔を見た。
「‥‥ございます。」
「空きはないんですか?」
「‥‥ございます。」
緊急寄宿というのは、彼らの様に護衛依頼の途中で宿泊に困ったり、魔獣溢れなどで旅人が村に避難して来たときとかに、
ごく最低限の宿泊場所を冒険者ギルドが提供するという制度だ。外で野宿をして魔獣の襲われたり、凍死したりしないように最低限の夜明かしをする場所を提供するだけなので屋内の訓練場で寝袋で寝るとかという程度だ。それでも、雪の中で放り出されて凍死したりしないだけマシだと思うが。
このギルドにも緊急寄宿の場所はあるらしい。しかし、フレイヤさんは、彼らには説明はしなかったようだ。
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説
前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。
夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。
陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。
「お父様!助けてください!
私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません!
お父様ッ!!!!!」
ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。
ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。
しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…?
娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました
上野佐栁
ファンタジー
前世では、愛されることなく死を迎える主人公。実の父親、皇帝陛下を殺害未遂の濡れ衣を着せられ死んでしまう。死を迎え、これで人生が終わりかと思ったら公爵家に転生をしてしまった主人公。前世で愛を知らずに育ったために人を信頼する事が出来なくなってしまい。しばらくは距離を置くが、だんだんと愛を受け入れるお話。
あ、出ていって差し上げましょうか?許可してくださるなら喜んで出ていきますわ!
リーゼロッタ
ファンタジー
生まれてすぐ、国からの命令で神殿へ取られ十二年間。
聖女として真面目に働いてきたけれど、ある日婚約者でありこの国の王子は爆弾発言をする。
「お前は本当の聖女ではなかった!笑わないお前など、聖女足り得ない!本来の聖女は、このマルセリナだ。」
裏方の聖女としてそこから三年間働いたけれど、また王子はこう言う。
「この度の大火、それから天変地異は、お前がマルセリナの祈りを邪魔したせいだ!出ていけ!二度と帰ってくるな!」
あ、そうですか?許可が降りましたわ!やった!
、、、ただし責任は取っていただきますわよ?
◆◇◆◇◆◇
誤字・脱字等のご指摘・感想・お気に入り・しおり等をくださると、作者が喜びます。
100話以内で終わらせる予定ですが、分かりません。あくまで予定です。
更新は、夕方から夜、もしくは朝七時ごろが多いと思います。割と忙しいので。
また、更新は亀ではなくカタツムリレベルのトロさですので、ご承知おきください。
更新停止なども長期の期間に渡ってあることもありますが、お許しください。
断罪される1か月前に前世の記憶が蘇りました。
みちこ
ファンタジー
両親が亡くなり、家の存続と弟を立派に育てることを決意するけど、ストレスとプレッシャーが原因で高熱が出たことが切っ掛けで、自分が前世で好きだった小説の悪役令嬢に転生したと気が付くけど、小説とは色々と違うことに混乱する。
主人公は断罪から逃れることは出来るのか?
恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜
k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」
そう婚約者のグレイに言われたエミリア。
はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。
「恋より友情よね!」
そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。
本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる