217 / 324
第3章
第216話 冒険者ギルドでの揉め事
しおりを挟む
通りを歩いていると、大きな荷物を持って、急ぎ足で歩いている人が多い。
「結局出発しないって‥‥。今頃言われたってどうしろってんだよ!」
「ああ、宿確保しないと‥‥。」
「おい、宿ってどこにあるんだよ。」
昼に立ち寄って直ぐ出発予定だった馬車隊の人達かもしれない。宿泊予定じゃない街で泊まる事になるのは厳しいよな。
冒険者ギルドが有る場所は、第二広場と呼ばれる馬車の停留場の広場のすぐ近くだった。俺達が街に到着したときに着いた場所は第一広場で、第二広場の方が狭いが
近隣の街への乗り合い馬車の発着は第二広場でが使われているらしい。
立て札を持った人が大きな声で案内をしていた。
「南行きは運行を見合わせています!」
「王都方面は間もなく最終便が出発します!」
バタバタと王都方面の馬車に乗り込んで行く人達。ピーッと出発の笛の音が響く。馬車が去って行くと、第二広場は人気が少なくなり急に静かになった。そうすると
冒険者ギルドからの声が響いて来た。
「困るのよ!予定外の所で宿泊なんて!せめて宿代分を先払いしてよ!」
街に立ち寄った冒険者が足止めを食らって、文句を言っているのだろうか。
冒険者ギルドに足を踏み入れると、扉の開け閉めの音で周囲から少し視線が集まったが、受付前で大きな声を出してた人物はこちらには感心は示さず
受付に座っている女性に詰め寄っていた。
俺達と変わらないくらいの年齢の男性二人、女性一人の三人組だ。赤毛の男女は兄妹とかだろうか。髪色も雰囲気もちょっと似ている。装備もお揃いに見える。
もう一人の男性は二人よりは背が高くて、筋肉質。どことなくやる気がなさそうな雰囲気だ。
「お受けになったご依頼は、ネーダベルクまでの護衛依頼ですので依頼料はネーダベルク到着後に支払われます。」
受付にいた栗色の髪の女性が淡々とした様子で説明している。
バン!と、赤毛の男性がカウンターを手で叩いた。
「だから!オバサン!ちゃんと聞いてるの?元々今日の夕方に着く予定の護衛依頼だろ。既にもう夕方なんだよ。本当だったら依頼料はとっくに払われている時間じゃないか。依頼料が出ないと今日の宿泊どうしろっていうんだよ!」
「‥‥移動の護衛依頼は多少のリスクはあるものです。ギルドに登録時に説明が有ったと思いますが。」
「今そんな事言われても!オバサン、酷い!」
赤毛の女性‥‥女の子と言った方が適切かな。女の子がわっと両手で顔を覆った。赤毛の男の子が女の子の背中に手を回した。
ダークグレーの髪色をしたもう一人が、苛ついた様子で受付の女性に向かって言った。
「なあ、オバサン。俺達に凍死しろって言うのか?こんな雪の中、宿に泊まれなかったらどうなるかわかんだろ?」
「‥‥護衛依頼に急なスケジュール変更はあり得るのですから、あらかじめ準備しておくべきではないですか?」
受付の女性の声がどんどん冷たくなってる。あーあ、相当怒らせちゃってるよなぁ。
彼らの目的地であるネーダベルクは、この街から馬車で少し進んだところだ。多分、宿泊なしの半日の予定の護衛依頼だったんだろう。それが目的の街の手前で足止めになってしまって、一日の収入として見込んでいた依頼料はまだ出なくて宿泊料が準備できないみたいだ。
護衛依頼を受けられるようなレベルになったばかりの冒険者にありがちだ。半日の移動の護衛は負担は軽そうに見えるからつい引き受けてしまうんだろうな。
宿泊混みの護衛依頼の場合には予定が変わって日程が伸びた場合は、移動途中で依頼人が宿代を支払ってくれるはずだ。
半日護衛でも、不足の事態のときに宿代を払うという条件がついているものはある。依頼を受ける際に条件を確認しなかった彼らの落ち度ということだ。
夏場なんかは、野宿でもいいので延期の場合の条件は気にしないという人も多いけど、冬場はね。下手すると予定外の宿泊で赤字いいいだ。
とはいえ、一応冒険者ギルドも救済策は講じているはずなんだけどね。
助け舟を出すべきだろうか‥‥。考えていたら、ダークグレーの髪の男がこちらを振り返ってじろりと睨んだ。
「ああん?何見てんだ‥‥っ‥‥。」
ダークグレーの髪の男が怒鳴ろうとした時、ジョセフィンがすっと前に出た。ブワッと手や足から魔力が溢れ出る。
「何か?」
「‥‥いえ‥‥。」
ジョセフィンに軽く威圧されたらしく、ダークグレーの髪の男は怯んだ様子で固まった。
「結局出発しないって‥‥。今頃言われたってどうしろってんだよ!」
「ああ、宿確保しないと‥‥。」
「おい、宿ってどこにあるんだよ。」
昼に立ち寄って直ぐ出発予定だった馬車隊の人達かもしれない。宿泊予定じゃない街で泊まる事になるのは厳しいよな。
冒険者ギルドが有る場所は、第二広場と呼ばれる馬車の停留場の広場のすぐ近くだった。俺達が街に到着したときに着いた場所は第一広場で、第二広場の方が狭いが
近隣の街への乗り合い馬車の発着は第二広場でが使われているらしい。
立て札を持った人が大きな声で案内をしていた。
「南行きは運行を見合わせています!」
「王都方面は間もなく最終便が出発します!」
バタバタと王都方面の馬車に乗り込んで行く人達。ピーッと出発の笛の音が響く。馬車が去って行くと、第二広場は人気が少なくなり急に静かになった。そうすると
冒険者ギルドからの声が響いて来た。
「困るのよ!予定外の所で宿泊なんて!せめて宿代分を先払いしてよ!」
街に立ち寄った冒険者が足止めを食らって、文句を言っているのだろうか。
冒険者ギルドに足を踏み入れると、扉の開け閉めの音で周囲から少し視線が集まったが、受付前で大きな声を出してた人物はこちらには感心は示さず
受付に座っている女性に詰め寄っていた。
俺達と変わらないくらいの年齢の男性二人、女性一人の三人組だ。赤毛の男女は兄妹とかだろうか。髪色も雰囲気もちょっと似ている。装備もお揃いに見える。
もう一人の男性は二人よりは背が高くて、筋肉質。どことなくやる気がなさそうな雰囲気だ。
「お受けになったご依頼は、ネーダベルクまでの護衛依頼ですので依頼料はネーダベルク到着後に支払われます。」
受付にいた栗色の髪の女性が淡々とした様子で説明している。
バン!と、赤毛の男性がカウンターを手で叩いた。
「だから!オバサン!ちゃんと聞いてるの?元々今日の夕方に着く予定の護衛依頼だろ。既にもう夕方なんだよ。本当だったら依頼料はとっくに払われている時間じゃないか。依頼料が出ないと今日の宿泊どうしろっていうんだよ!」
「‥‥移動の護衛依頼は多少のリスクはあるものです。ギルドに登録時に説明が有ったと思いますが。」
「今そんな事言われても!オバサン、酷い!」
赤毛の女性‥‥女の子と言った方が適切かな。女の子がわっと両手で顔を覆った。赤毛の男の子が女の子の背中に手を回した。
ダークグレーの髪色をしたもう一人が、苛ついた様子で受付の女性に向かって言った。
「なあ、オバサン。俺達に凍死しろって言うのか?こんな雪の中、宿に泊まれなかったらどうなるかわかんだろ?」
「‥‥護衛依頼に急なスケジュール変更はあり得るのですから、あらかじめ準備しておくべきではないですか?」
受付の女性の声がどんどん冷たくなってる。あーあ、相当怒らせちゃってるよなぁ。
彼らの目的地であるネーダベルクは、この街から馬車で少し進んだところだ。多分、宿泊なしの半日の予定の護衛依頼だったんだろう。それが目的の街の手前で足止めになってしまって、一日の収入として見込んでいた依頼料はまだ出なくて宿泊料が準備できないみたいだ。
護衛依頼を受けられるようなレベルになったばかりの冒険者にありがちだ。半日の移動の護衛は負担は軽そうに見えるからつい引き受けてしまうんだろうな。
宿泊混みの護衛依頼の場合には予定が変わって日程が伸びた場合は、移動途中で依頼人が宿代を支払ってくれるはずだ。
半日護衛でも、不足の事態のときに宿代を払うという条件がついているものはある。依頼を受ける際に条件を確認しなかった彼らの落ち度ということだ。
夏場なんかは、野宿でもいいので延期の場合の条件は気にしないという人も多いけど、冬場はね。下手すると予定外の宿泊で赤字いいいだ。
とはいえ、一応冒険者ギルドも救済策は講じているはずなんだけどね。
助け舟を出すべきだろうか‥‥。考えていたら、ダークグレーの髪の男がこちらを振り返ってじろりと睨んだ。
「ああん?何見てんだ‥‥っ‥‥。」
ダークグレーの髪の男が怒鳴ろうとした時、ジョセフィンがすっと前に出た。ブワッと手や足から魔力が溢れ出る。
「何か?」
「‥‥いえ‥‥。」
ジョセフィンに軽く威圧されたらしく、ダークグレーの髪の男は怯んだ様子で固まった。
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説
前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。
夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。
陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。
「お父様!助けてください!
私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません!
お父様ッ!!!!!」
ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。
ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。
しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…?
娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました
上野佐栁
ファンタジー
前世では、愛されることなく死を迎える主人公。実の父親、皇帝陛下を殺害未遂の濡れ衣を着せられ死んでしまう。死を迎え、これで人生が終わりかと思ったら公爵家に転生をしてしまった主人公。前世で愛を知らずに育ったために人を信頼する事が出来なくなってしまい。しばらくは距離を置くが、だんだんと愛を受け入れるお話。
あ、出ていって差し上げましょうか?許可してくださるなら喜んで出ていきますわ!
リーゼロッタ
ファンタジー
生まれてすぐ、国からの命令で神殿へ取られ十二年間。
聖女として真面目に働いてきたけれど、ある日婚約者でありこの国の王子は爆弾発言をする。
「お前は本当の聖女ではなかった!笑わないお前など、聖女足り得ない!本来の聖女は、このマルセリナだ。」
裏方の聖女としてそこから三年間働いたけれど、また王子はこう言う。
「この度の大火、それから天変地異は、お前がマルセリナの祈りを邪魔したせいだ!出ていけ!二度と帰ってくるな!」
あ、そうですか?許可が降りましたわ!やった!
、、、ただし責任は取っていただきますわよ?
◆◇◆◇◆◇
誤字・脱字等のご指摘・感想・お気に入り・しおり等をくださると、作者が喜びます。
100話以内で終わらせる予定ですが、分かりません。あくまで予定です。
更新は、夕方から夜、もしくは朝七時ごろが多いと思います。割と忙しいので。
また、更新は亀ではなくカタツムリレベルのトロさですので、ご承知おきください。
更新停止なども長期の期間に渡ってあることもありますが、お許しください。
断罪される1か月前に前世の記憶が蘇りました。
みちこ
ファンタジー
両親が亡くなり、家の存続と弟を立派に育てることを決意するけど、ストレスとプレッシャーが原因で高熱が出たことが切っ掛けで、自分が前世で好きだった小説の悪役令嬢に転生したと気が付くけど、小説とは色々と違うことに混乱する。
主人公は断罪から逃れることは出来るのか?
恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜
k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」
そう婚約者のグレイに言われたエミリア。
はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。
「恋より友情よね!」
そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。
本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる