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第3章
第204話 宿取り騒動
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彼らは街についてから乗降広場で馬車を降りて、宿取りに走ったそうだ。事前に紹介してもらっていた宿に向かったが、男子二組が二人部屋をそれぞれ確保出来ただけだったようだ。
8人乗りの馬車できて、男子4人、女子4人の組み合わせ。女子4人が宿にたどり着いたときには、部屋が埋まった後だったらしい。
そこでフォーゲル君が、「令嬢を路頭に迷わすわけにはいかないから、男子が確保した部屋を令嬢達に譲ってはどうか。」と言い出したそうだ。
マルロイ君達からすれば、言いたい事は理解できるが、宿に泊まれないと凍死しかねないと思って困っているという。
「ホコリ高き王国貴族子息としては令嬢に譲るべきなんだっぺか~。でもこの真冬の中泊まる所がなくなるのは死活問題だっぺ。」
「それは困ったでござるなぁ。」
ユリウスは、青ざめた顔色のマルロイ君にホカホカのカップを持たせてやった。そしてどうしようかと首を傾げてチラリとこちらを見た。
「名案はないでござるか?」
「名案というか‥‥。他の宿も一杯なのかな。」
ユリウスが助けを求める様に聞いて来たので、詳しい事を聞いてみる事にした。
「宿は一つしか教えてもらっていないだっぺ。」
マルロイ君は手にしていた案内書きのを見せた。乗り合い馬車の乗客向けの案内らしい。立ち寄る街の案内として、夕食をとるのにお勧めの食堂がいくつか紹介されていて
そのうちの一つがこの宿の隣の食堂だった。たまたま宿の名前が書いてあっただけで、宿の案内でもないよ、これ。
「まず、譲るとかの話に時間かける前に他の宿に当たった方が良いよ。こうしている間にも部屋は埋まって行くよ。」
「ええ~!?あ~!そうだっぺか。でも、他の宿は知らないだっぺ!」
「行った先の宿の受付で、近くで同じような価格帯の宿を教えてもらえるか聞いてみなよ。」
提案してみたらマルロイ君はハッとして大きく頷いた。
「その手があったっぺ!聞いてみるっぺ!前進あるのみだっぺ!」
「ありがとうだす。希望は捨ててはいかんのだす。」
シン君もお礼を言って、二人で通りの向かいに戻って行く。
時々雪に足を滑らせながら走って行く彼らの後ろ姿を見送った。
「大丈夫でござるかな。」
ユリウスが心配そうに言った。
「そもそも、女子に譲ろうと提案した彼はどうするつもりだったんだろうか。」
トマソンが通りの向こう側を見つめながら眉間に皺を寄せた。
「さあ。他にあてがあったのか、後で考えれば良いと思ったのか‥‥。」
「あてがあったらマルロイ君達にもそう言うんじゃないのか。」
「そうだね‥‥。彼ら昼飯も食べ損ねてたくらいだからなぁ‥‥。」
ちょっと心配になる人達だよね。従者とか誰もつけていないのに、実家からは自力で帰ってこいって言われているんだろうか。
クラスメートで馬車を貸し切っているから「お友達と一緒なら大丈夫ね」って話になっているのかもしれない。
まあ、一応宿を取れていない同級生を気遣ったりはしているみたいだしね。
通りの向こうの彼らの様子を眺めていたら、他の宿の情報を聞いて来たのか、建物の中から出て来たと思ったら左右に分かれて移動し始めた。
「他の宿を探しに行ったようであるな。」
「宿が見つかると良いでござる‥‥。」
ユリウスとマーギットさんが、彼らが去って行った通りの向かいの宿の入り口を心配そうな顔をして眺めていた。
確かに気になるよね。宿が取れなくても野宿は厳しいし。
ユリウスは胸ポケットから宿のカードを取り出して、ハッとした様子で言った。
「拙者達の宿は満室と聞いていたから、伝えなかったでござるが何か有った時の連絡先として教えればよかったでござる。」
「‥‥彼ら自身は向かいの宿に部屋を確保したのだろう?宿に戻ってくるのではないか?」
トマソンが眉間に皺を寄せながら腕組みをして通りの向こうに目をやった。
「宿で待っていれば良いでござるか?」
「メッセージを預ければよいのではないか?」
デリックさんもユリウスに助言をした。ユリウスははっとして大きく頷いた。
宿の受付にメッセージを残す事にして通りを渡って宿に入ってみた。
8人乗りの馬車できて、男子4人、女子4人の組み合わせ。女子4人が宿にたどり着いたときには、部屋が埋まった後だったらしい。
そこでフォーゲル君が、「令嬢を路頭に迷わすわけにはいかないから、男子が確保した部屋を令嬢達に譲ってはどうか。」と言い出したそうだ。
マルロイ君達からすれば、言いたい事は理解できるが、宿に泊まれないと凍死しかねないと思って困っているという。
「ホコリ高き王国貴族子息としては令嬢に譲るべきなんだっぺか~。でもこの真冬の中泊まる所がなくなるのは死活問題だっぺ。」
「それは困ったでござるなぁ。」
ユリウスは、青ざめた顔色のマルロイ君にホカホカのカップを持たせてやった。そしてどうしようかと首を傾げてチラリとこちらを見た。
「名案はないでござるか?」
「名案というか‥‥。他の宿も一杯なのかな。」
ユリウスが助けを求める様に聞いて来たので、詳しい事を聞いてみる事にした。
「宿は一つしか教えてもらっていないだっぺ。」
マルロイ君は手にしていた案内書きのを見せた。乗り合い馬車の乗客向けの案内らしい。立ち寄る街の案内として、夕食をとるのにお勧めの食堂がいくつか紹介されていて
そのうちの一つがこの宿の隣の食堂だった。たまたま宿の名前が書いてあっただけで、宿の案内でもないよ、これ。
「まず、譲るとかの話に時間かける前に他の宿に当たった方が良いよ。こうしている間にも部屋は埋まって行くよ。」
「ええ~!?あ~!そうだっぺか。でも、他の宿は知らないだっぺ!」
「行った先の宿の受付で、近くで同じような価格帯の宿を教えてもらえるか聞いてみなよ。」
提案してみたらマルロイ君はハッとして大きく頷いた。
「その手があったっぺ!聞いてみるっぺ!前進あるのみだっぺ!」
「ありがとうだす。希望は捨ててはいかんのだす。」
シン君もお礼を言って、二人で通りの向かいに戻って行く。
時々雪に足を滑らせながら走って行く彼らの後ろ姿を見送った。
「大丈夫でござるかな。」
ユリウスが心配そうに言った。
「そもそも、女子に譲ろうと提案した彼はどうするつもりだったんだろうか。」
トマソンが通りの向こう側を見つめながら眉間に皺を寄せた。
「さあ。他にあてがあったのか、後で考えれば良いと思ったのか‥‥。」
「あてがあったらマルロイ君達にもそう言うんじゃないのか。」
「そうだね‥‥。彼ら昼飯も食べ損ねてたくらいだからなぁ‥‥。」
ちょっと心配になる人達だよね。従者とか誰もつけていないのに、実家からは自力で帰ってこいって言われているんだろうか。
クラスメートで馬車を貸し切っているから「お友達と一緒なら大丈夫ね」って話になっているのかもしれない。
まあ、一応宿を取れていない同級生を気遣ったりはしているみたいだしね。
通りの向こうの彼らの様子を眺めていたら、他の宿の情報を聞いて来たのか、建物の中から出て来たと思ったら左右に分かれて移動し始めた。
「他の宿を探しに行ったようであるな。」
「宿が見つかると良いでござる‥‥。」
ユリウスとマーギットさんが、彼らが去って行った通りの向かいの宿の入り口を心配そうな顔をして眺めていた。
確かに気になるよね。宿が取れなくても野宿は厳しいし。
ユリウスは胸ポケットから宿のカードを取り出して、ハッとした様子で言った。
「拙者達の宿は満室と聞いていたから、伝えなかったでござるが何か有った時の連絡先として教えればよかったでござる。」
「‥‥彼ら自身は向かいの宿に部屋を確保したのだろう?宿に戻ってくるのではないか?」
トマソンが眉間に皺を寄せながら腕組みをして通りの向こうに目をやった。
「宿で待っていれば良いでござるか?」
「メッセージを預ければよいのではないか?」
デリックさんもユリウスに助言をした。ユリウスははっとして大きく頷いた。
宿の受付にメッセージを残す事にして通りを渡って宿に入ってみた。
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