170 / 324
第3章
第169話 バカンスへの期待
しおりを挟む
大部屋の宿泊費用は平均銀貨3枚くらいらしい。だから、一泊銀貨1枚と聞けば破格だと思うだろう。だけど、そうではないんだ。
「一部屋銀貨一枚なんだよ。6人で泊まれば一人当たりは1/6だよ。」
「は?」
俺の言葉に、ユリウスがぽかんとした。目が点になっている。
「食事は施設についている安い食堂がある。質素なメニューで構わないっていうなら、暖房費と朝夕の食事込みで一人銀貨1枚だって。こっちの方が値段が判りやすいか。」
セット料金でなくても食堂は使えるんだけどね。食事と暖房費のセットの利用料というがあって、それが銀貨1枚。もし一人で一部屋の宿泊の時は食事代分が浮く計算だ。一部屋の宿泊人数が少ないときは、セット料金の方が断然お得なのだ。
6人で一部屋の場合は、セットじゃなくても大体同じくらいの金額になる。
「銀貨一枚で朝夕の食事付きって何考えているでござるか!住みたいでござる!むしろずっと住みたいでござるよ!」
「いや、王都じゃないんだからずっとは住めないでしょ。言っとくけど設備も食事も簡素だよ。貴族用の部屋というわけじゃないからね。」
契約金で運営されているからの価格なので、街中で同じ価格帯で食事をするよりはマシだとは思うけど。それでも、貴族がバカンスで使う為の部屋ではない。
「食事は食べられば問題ないでござるよ。何日いられるでござるか?3泊とかくらいできるでござるか?」
「え?延泊は1日の予定だったのに。まあ、宿泊自体は1週間でも問題ないけど‥‥。実家に帰るんだよね。」
俺がそう言うと、ユリウスはトマソンの方をバッと振りむいた。
「トマソン氏!拙者は連泊問題ないでござるよ。冬期休暇は長いでござるから!3日!どうでござるか?1週間は長過ぎるでござるか?」
「‥‥俺も3日でも1週間でも問題ない。帰省の時は馬車に乗りっぱなしになるから、中間地点で身体を休められるのは正直助かる。日数については確認するけど、延泊自体は兄も問題ないはずだ。」
何だか1日延泊の提案をしたのに、3日とか1週間とかの話になってきた。まあ、俺も問題ないからよいか。
実家の様子は気になるから帰省はするけど,実家に長期滞在したいわけではないらしい。経済的に余裕があるなら実家に何日か滞在した後は保養地に行ったりバカンスを楽しみたいのだそうだ。
だが、現状は経済的に厳しい状況なので、ツヴァンで連泊できるというのは魅力的なことだったらしい。
ユリウスの兄、マーギットさんも問題ないだろうということだった。というか、ユリウスが交渉してみせると息巻いていた。
散々、消音魔法だとか他の人に知られたらクレクレされるだとか言っていたユリウスだったが、ツヴァン滞在計画でテンションが上がってしまったようだ。消音魔法を切った後、周囲に話しそうになってトマソンに止められているという光景を何度か見た。
「一部屋銀貨一枚なんだよ。6人で泊まれば一人当たりは1/6だよ。」
「は?」
俺の言葉に、ユリウスがぽかんとした。目が点になっている。
「食事は施設についている安い食堂がある。質素なメニューで構わないっていうなら、暖房費と朝夕の食事込みで一人銀貨1枚だって。こっちの方が値段が判りやすいか。」
セット料金でなくても食堂は使えるんだけどね。食事と暖房費のセットの利用料というがあって、それが銀貨1枚。もし一人で一部屋の宿泊の時は食事代分が浮く計算だ。一部屋の宿泊人数が少ないときは、セット料金の方が断然お得なのだ。
6人で一部屋の場合は、セットじゃなくても大体同じくらいの金額になる。
「銀貨一枚で朝夕の食事付きって何考えているでござるか!住みたいでござる!むしろずっと住みたいでござるよ!」
「いや、王都じゃないんだからずっとは住めないでしょ。言っとくけど設備も食事も簡素だよ。貴族用の部屋というわけじゃないからね。」
契約金で運営されているからの価格なので、街中で同じ価格帯で食事をするよりはマシだとは思うけど。それでも、貴族がバカンスで使う為の部屋ではない。
「食事は食べられば問題ないでござるよ。何日いられるでござるか?3泊とかくらいできるでござるか?」
「え?延泊は1日の予定だったのに。まあ、宿泊自体は1週間でも問題ないけど‥‥。実家に帰るんだよね。」
俺がそう言うと、ユリウスはトマソンの方をバッと振りむいた。
「トマソン氏!拙者は連泊問題ないでござるよ。冬期休暇は長いでござるから!3日!どうでござるか?1週間は長過ぎるでござるか?」
「‥‥俺も3日でも1週間でも問題ない。帰省の時は馬車に乗りっぱなしになるから、中間地点で身体を休められるのは正直助かる。日数については確認するけど、延泊自体は兄も問題ないはずだ。」
何だか1日延泊の提案をしたのに、3日とか1週間とかの話になってきた。まあ、俺も問題ないからよいか。
実家の様子は気になるから帰省はするけど,実家に長期滞在したいわけではないらしい。経済的に余裕があるなら実家に何日か滞在した後は保養地に行ったりバカンスを楽しみたいのだそうだ。
だが、現状は経済的に厳しい状況なので、ツヴァンで連泊できるというのは魅力的なことだったらしい。
ユリウスの兄、マーギットさんも問題ないだろうということだった。というか、ユリウスが交渉してみせると息巻いていた。
散々、消音魔法だとか他の人に知られたらクレクレされるだとか言っていたユリウスだったが、ツヴァン滞在計画でテンションが上がってしまったようだ。消音魔法を切った後、周囲に話しそうになってトマソンに止められているという光景を何度か見た。
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説
前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。
夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。
陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。
「お父様!助けてください!
私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません!
お父様ッ!!!!!」
ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。
ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。
しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…?
娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました
上野佐栁
ファンタジー
前世では、愛されることなく死を迎える主人公。実の父親、皇帝陛下を殺害未遂の濡れ衣を着せられ死んでしまう。死を迎え、これで人生が終わりかと思ったら公爵家に転生をしてしまった主人公。前世で愛を知らずに育ったために人を信頼する事が出来なくなってしまい。しばらくは距離を置くが、だんだんと愛を受け入れるお話。
あ、出ていって差し上げましょうか?許可してくださるなら喜んで出ていきますわ!
リーゼロッタ
ファンタジー
生まれてすぐ、国からの命令で神殿へ取られ十二年間。
聖女として真面目に働いてきたけれど、ある日婚約者でありこの国の王子は爆弾発言をする。
「お前は本当の聖女ではなかった!笑わないお前など、聖女足り得ない!本来の聖女は、このマルセリナだ。」
裏方の聖女としてそこから三年間働いたけれど、また王子はこう言う。
「この度の大火、それから天変地異は、お前がマルセリナの祈りを邪魔したせいだ!出ていけ!二度と帰ってくるな!」
あ、そうですか?許可が降りましたわ!やった!
、、、ただし責任は取っていただきますわよ?
◆◇◆◇◆◇
誤字・脱字等のご指摘・感想・お気に入り・しおり等をくださると、作者が喜びます。
100話以内で終わらせる予定ですが、分かりません。あくまで予定です。
更新は、夕方から夜、もしくは朝七時ごろが多いと思います。割と忙しいので。
また、更新は亀ではなくカタツムリレベルのトロさですので、ご承知おきください。
更新停止なども長期の期間に渡ってあることもありますが、お許しください。
断罪される1か月前に前世の記憶が蘇りました。
みちこ
ファンタジー
両親が亡くなり、家の存続と弟を立派に育てることを決意するけど、ストレスとプレッシャーが原因で高熱が出たことが切っ掛けで、自分が前世で好きだった小説の悪役令嬢に転生したと気が付くけど、小説とは色々と違うことに混乱する。
主人公は断罪から逃れることは出来るのか?
恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜
k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」
そう婚約者のグレイに言われたエミリア。
はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。
「恋より友情よね!」
そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。
本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる