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第3章
第164話 旅は道連れ
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ふと、トマソンのメモしている地名が目に留まった。
「あれ?ツヴァイトベック経由?遠回りじゃない?」
ツヴァイトベック領は王都から南に進んだ位置にある。トマソンの実家のダリス伯爵領は王都から南西方面の街道に進むのが直通コースだ。ツヴァイトベック領を通ると結構遠回りになるだろう。
「‥‥ツヴァイトベックまで行って乗り合い馬車を乗り換えると、馬車の料金が直通より料金が少し安いらしいんだ。」
「ああ、道が平坦だからかな。でも宿泊数多くならない?」
王都からダリス伯爵領への直通コースだと途中に山があり、山沿いを通っても道が険しくなるところがある。
ツヴァイトベックまで南下してしまってから、ダリス伯爵領へ向かえば山を迂回して平坦な道を通って行ける。雪が多いと確かに山道を避けるのはありだよな。
「どちらも問題なく進んだ場合、ツヴァイトベック経由の方が宿泊数が多くなりそうだが‥‥。山道は何か有ると足止めを食らう可能性があるから‥‥。」
「ああ、成る程。」
山道がもしも雪で塞がれて通れなくなった場合、何日も足止めなんて事もあり得る。近隣の村まで戻って待機することを考えたら、そうなるリスクが少ない方がいいよな。
「ツヴァイトベックか‥‥。」
俺はちらりとジョセフィンの方を見た。ジョセフィンはちょっと目を見開いて口の端を少し上げた。俺の好きにしてよさそうだ。
「‥‥ツヴァイトベックなら俺達も経由するからタイミング合うなら一緒に行けるよ。」
途中少しだけ街道を迂回することになるけど、実際王都との往復の時は大抵ツヴァイトベックに寄っているんだ。商会の店だってあるし宿の伝手もある。
「ツヴァイトベックの領都のは知り合いが多いし、宿の手配くらいできるよ。」
「本当か!?」
ガタッと椅子を弾くように勢い良くトマソンが立ち上がった。
その勢いに俺は思わず一歩後ずさった。ジョセフィンがそっと俺の前に立つ。
「‥‥ああ、驚かしてすまない。もし手頃な宿を紹介してもらえるならありがたいのだが。」
トマソンはちらりとジョセフィンを見て、スッと椅子に座り直した。
「うん。もし一緒に行くタイミングでなくても、ツヴァイトベックに行くんだったら紹介状書くよ。」
「ありがとう。それならツヴァイトベック経由で検討する。」
「え、確定? 皆それで納得しそう? 足止め率は高くても宿泊数は増えるでしょ?」
「兄は多分、問題ない。ユリウス達は‥‥。」
バタバタと足音が聞こえて来てユリウスが教室に飛び込んで来た。後ろからヘンリーもやってきている。
「補講になったでござる!帰るのは早くても週末以降になるでござる!」
「僕も補講~。」
ユリウスは補講になったというのに妙にテンションが高い。ヘンリーが眉をハの字にして、がっくり肩を落としていた。
「ヘンリーは帰省は大丈夫なのか?」
「うん。カサンドラの家の馬車に乗せてもらうんだ。来週の予定だったから大丈夫。」
カサンドラの実家であるヴィオレータ伯爵家は王国の西の端にある。イリーの実家も西方面だから多分一緒に帰るんだろう。
「一緒に帰省はよいでござるなぁ。」
そう言ってニコリと笑ったユリウスにトマソンが手招きをして、ノートを見せながら説明をし始めた。
「南経由でござるか~。雪の山道はスリリングで楽しそうでござるが、確かに足止めになると困るでござるなぁ。‥‥え?マーカス氏とジョス氏も一緒?」
ユリウスがバッと俺達の方を振り向いた。一瞬突進してくるかと思ったが、ちょっと身体を撥ねさせただけだった。
「良いでござるな!6人部屋に泊まれるでござる!」
「あれ?ツヴァイトベック経由?遠回りじゃない?」
ツヴァイトベック領は王都から南に進んだ位置にある。トマソンの実家のダリス伯爵領は王都から南西方面の街道に進むのが直通コースだ。ツヴァイトベック領を通ると結構遠回りになるだろう。
「‥‥ツヴァイトベックまで行って乗り合い馬車を乗り換えると、馬車の料金が直通より料金が少し安いらしいんだ。」
「ああ、道が平坦だからかな。でも宿泊数多くならない?」
王都からダリス伯爵領への直通コースだと途中に山があり、山沿いを通っても道が険しくなるところがある。
ツヴァイトベックまで南下してしまってから、ダリス伯爵領へ向かえば山を迂回して平坦な道を通って行ける。雪が多いと確かに山道を避けるのはありだよな。
「どちらも問題なく進んだ場合、ツヴァイトベック経由の方が宿泊数が多くなりそうだが‥‥。山道は何か有ると足止めを食らう可能性があるから‥‥。」
「ああ、成る程。」
山道がもしも雪で塞がれて通れなくなった場合、何日も足止めなんて事もあり得る。近隣の村まで戻って待機することを考えたら、そうなるリスクが少ない方がいいよな。
「ツヴァイトベックか‥‥。」
俺はちらりとジョセフィンの方を見た。ジョセフィンはちょっと目を見開いて口の端を少し上げた。俺の好きにしてよさそうだ。
「‥‥ツヴァイトベックなら俺達も経由するからタイミング合うなら一緒に行けるよ。」
途中少しだけ街道を迂回することになるけど、実際王都との往復の時は大抵ツヴァイトベックに寄っているんだ。商会の店だってあるし宿の伝手もある。
「ツヴァイトベックの領都のは知り合いが多いし、宿の手配くらいできるよ。」
「本当か!?」
ガタッと椅子を弾くように勢い良くトマソンが立ち上がった。
その勢いに俺は思わず一歩後ずさった。ジョセフィンがそっと俺の前に立つ。
「‥‥ああ、驚かしてすまない。もし手頃な宿を紹介してもらえるならありがたいのだが。」
トマソンはちらりとジョセフィンを見て、スッと椅子に座り直した。
「うん。もし一緒に行くタイミングでなくても、ツヴァイトベックに行くんだったら紹介状書くよ。」
「ありがとう。それならツヴァイトベック経由で検討する。」
「え、確定? 皆それで納得しそう? 足止め率は高くても宿泊数は増えるでしょ?」
「兄は多分、問題ない。ユリウス達は‥‥。」
バタバタと足音が聞こえて来てユリウスが教室に飛び込んで来た。後ろからヘンリーもやってきている。
「補講になったでござる!帰るのは早くても週末以降になるでござる!」
「僕も補講~。」
ユリウスは補講になったというのに妙にテンションが高い。ヘンリーが眉をハの字にして、がっくり肩を落としていた。
「ヘンリーは帰省は大丈夫なのか?」
「うん。カサンドラの家の馬車に乗せてもらうんだ。来週の予定だったから大丈夫。」
カサンドラの実家であるヴィオレータ伯爵家は王国の西の端にある。イリーの実家も西方面だから多分一緒に帰るんだろう。
「一緒に帰省はよいでござるなぁ。」
そう言ってニコリと笑ったユリウスにトマソンが手招きをして、ノートを見せながら説明をし始めた。
「南経由でござるか~。雪の山道はスリリングで楽しそうでござるが、確かに足止めになると困るでござるなぁ。‥‥え?マーカス氏とジョス氏も一緒?」
ユリウスがバッと俺達の方を振り向いた。一瞬突進してくるかと思ったが、ちょっと身体を撥ねさせただけだった。
「良いでござるな!6人部屋に泊まれるでござる!」
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