上 下
132 / 324
第3章

第131話 目的?

しおりを挟む
「彼らが猫の目魔石のペンダントを盗んだ犯人だとして、何の為にやったと思う?」
「誰かに罪を着せて、宝石を自分達の物にする為じゃない? 宝石みつかっちゃったら返さないといけないから、見つけないで無駄な捜査をしてるんだよ。」
「そうかもね。それなら猫の目魔石は彼らが持っていそうだよな。」
「衛兵に調査させたら?」

俺の言葉にエドワードが頷いて提案をする。確かに盗難事件ならちゃんと衛兵が調べるべきだよな。

「ちょっと待って。」

ジークヴァルドさんが制止するように手を差し出した。

「誰かに罪をきせようとしてたとしたら、衛兵が調べた時に誰かの持ち物の中で発見されるかもしれないよね。
そうしたらその人が犯人として逮捕されちゃうんじゃないか?」
「他の人の持ち物に入れていたら,売ったりできないよ。」
「売るか、誰かを陥れるか、目的はどっちだろう。」

「‥‥陥れるなら持ち物検査したときに、いかにもこの人が持ってました!って騒ぎそうだけどな。」

俺が言うと、エドワードもジークヴァルドさんも神妙な顔になった。

「まだ調べてない人を、犯人にしようとしてるのかな?  僕も‥‥まだ調べられてないけど‥‥。」

エドワードが不安そうな顔をする。
そもそも公爵令息とほぼ接点がないから心配はないと思うけど。

「‥‥宰相子息はどう関わってるか、だよな。」

少し目線を変えて考えてみようと思い、言ってみた。
「あいつ!」とエドワードの眉がぴくりと上がった。相当嫌っていそうだ。

「宰相子息がはシュバルツ公爵令息の従者と繋がりがある、だろうと思う。
公爵令息と仲良くなっているからなのか、それとも‥‥従者だけ取り込んでるか‥‥。」
「ベーレンドルフ家とシュバルツ家の関係が良好になったなんて聞いた事ないよ。
寧ろ、次の宰相の座を争ってる最中だろ。」

ジークヴァルドさんが言うと、エドワードが首を傾げた。

「宰相が変わるの?」
「今じゃないよ。任期が満了する時、継続か、交代かが議会で話し合われるんだよ。まあ、国王陛下の一声で大体決まるからね。
一応形式的に議論はされるけど、よっぽどの理由がないと宰相交代って話にはならないと思うよ。既に一度問題なく続投しているしね。」
「だから、宰相交代って話は聞かないのかぁ。」

「公爵家の方が家格が上なのにさ。今の代は軍の役職に就いている人があまりいないから、軍からの支持が弱いらしいんだよね。」
「えー?宰相になるのに軍の支持もいるの?」
「そりぁ、国を動かそうとするときに、軍人が言う事を聞いてくれないと、まずいだろう。」
「そっかー。」

ジークヴァルドさんとエドワードの話を聞きながら考えていた。
エルマーさんは、貴族的ではあったけどなんだか頼りない雰囲気だった。まあ、エルマーさんが軍を動かさなくてもいいわけだけど。
親戚とかに軍で顔が利く人がいれば言いわけで‥‥。
だから、一族に軍人が多いアイヴリンガー家のクラーラさんと婚約をしたのか。
将軍とか総司令官とかがいる家柄だよな。

‥‥‥それ、ベーレンドルフにとっては邪魔な婚約では?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。

夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。 陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。 「お父様!助けてください! 私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません! お父様ッ!!!!!」 ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。 ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。 しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…? 娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました

上野佐栁
ファンタジー
 前世では、愛されることなく死を迎える主人公。実の父親、皇帝陛下を殺害未遂の濡れ衣を着せられ死んでしまう。死を迎え、これで人生が終わりかと思ったら公爵家に転生をしてしまった主人公。前世で愛を知らずに育ったために人を信頼する事が出来なくなってしまい。しばらくは距離を置くが、だんだんと愛を受け入れるお話。

あ、出ていって差し上げましょうか?許可してくださるなら喜んで出ていきますわ!

リーゼロッタ
ファンタジー
生まれてすぐ、国からの命令で神殿へ取られ十二年間。 聖女として真面目に働いてきたけれど、ある日婚約者でありこの国の王子は爆弾発言をする。 「お前は本当の聖女ではなかった!笑わないお前など、聖女足り得ない!本来の聖女は、このマルセリナだ。」 裏方の聖女としてそこから三年間働いたけれど、また王子はこう言う。 「この度の大火、それから天変地異は、お前がマルセリナの祈りを邪魔したせいだ!出ていけ!二度と帰ってくるな!」 あ、そうですか?許可が降りましたわ!やった! 、、、ただし責任は取っていただきますわよ? ◆◇◆◇◆◇ 誤字・脱字等のご指摘・感想・お気に入り・しおり等をくださると、作者が喜びます。 100話以内で終わらせる予定ですが、分かりません。あくまで予定です。 更新は、夕方から夜、もしくは朝七時ごろが多いと思います。割と忙しいので。 また、更新は亀ではなくカタツムリレベルのトロさですので、ご承知おきください。 更新停止なども長期の期間に渡ってあることもありますが、お許しください。

断罪される1か月前に前世の記憶が蘇りました。

みちこ
ファンタジー
両親が亡くなり、家の存続と弟を立派に育てることを決意するけど、ストレスとプレッシャーが原因で高熱が出たことが切っ掛けで、自分が前世で好きだった小説の悪役令嬢に転生したと気が付くけど、小説とは色々と違うことに混乱する。 主人公は断罪から逃れることは出来るのか?

恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜

k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」 そう婚約者のグレイに言われたエミリア。 はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。 「恋より友情よね!」 そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。 本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

処理中です...