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第3章

第103話 更に噂話

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「素敵!いいですわねぇ~。私も欲しいですぅ~」

マリエル嬢の甘い声が響く。
コホンとエルマーさんが小さく咳払いをした。

「うん。これは大事な物なんだ。」
「そんなに高価なんですのねぇ~」
「ご謙遜を、シュバルツ公爵家のお力でしたら、消耗品では。」

なんだ?この会話。持ち上げているようでいて隙あらばタカろうとかしてない?
エルマーさんの交遊関係、大丈夫かな。

ちょっと彼らの会話が気になってしまって、デザートをあまり堪能できなかった。
フローラ達淑女科メンバーも、同じクラスのマリエル嬢に気づかれて面倒な事になりたくないというので、最後はそぉっと目立たないようにレストランを後にした。
席を立って出口に移動する時には、彼らから発見されないように判らない程度に消音魔法とスモークを展開しておいた。

ああ、せっかくのフローラとの食事(但し集団で)だったのに!

少し微妙な気分になってしまったが買い物には問題ない。靴屋と衣料品の店を見て、テンションが戻って来た。買い物は気分転換になるね。
衣料品は既製品の店だったけど淑女科メンバーにも好評だった。
オーダーメイドの物が欲しい場合は、連絡を入れれば学園まで来て注文を受けてくれると言われて女子達は喜んでお店のショップカードを受け取っていた。

とても良いサービスだと思うけど‥‥。街に買い物に一緒に行くイベントの余地は残しておいて欲しいと思う。

衣料品は試着などかなり時間もかかったのでカフェで休憩することになった。

「ロセウスさんは、図書委員に選ばれてから、まるで高位貴族に縁付いたかのように振る舞うのですわ。」

カフェに入って席に着くと淑女科のティベルダ嬢がごくごくと果実水を飲み干す勢いで飲んだ。そしてカップをテーブルにおいてから言い放った。何か鬱憤が溜まっていたのかな。
図書委員って正直何をしているのか良くわからない。学園の図書室の司書は別にいるから図書の管理を任されているわけではない。学園の希少な蔵書の使い道なんかを議論するような仕事と聞いたことがあるけど。委員に選ばれるって凄いことなのか良くわからない。まあ、委員の中心人物が高位貴族だったら人脈を築くにはいいんだろうな。

「未来の公爵夫人っておっしゃっているのを聞きましてよ。」
「特進科のシュバルツ様ですわよね。本当なのかしら。」
リズベット嬢、ヴェリーナ嬢が口々に言う。

マリエル嬢は、やはりシュバルツ公爵令息の事を狙っているのか。
シュバルツ公爵令息が何を考えているのかよくわからないんだよな。身に付けている猫の目魔石のペンダントがクラーラさんが贈った物だとすると、クラーラさんとの仲は悪く無いのではという気もしている。

「お買い物の話をしましょうよ。騎士科の方達は、あまりご存知ない方の話題では退屈されてしまうわ。」

マリエル嬢やエルマーさんの話題で会話が盛り上がって来たところで、フローラがぽんと手を叩き柔らかな声で提案した。
コホンと、ティベルダ嬢が小さく咳払いをした。

「そう‥‥でしたわね。ごめんなさい。」

リズベット嬢とヴェリーナ嬢も謝った。

「‥‥次は帽子のお店でしたわよね。」

ナディア嬢が目の前で注がれた紅茶を目で追って確認してから、イリーが用意して配ったメモに目をやった。

「先程買ったコートに合った帽子が欲しいのですけれど、コートを配送に頼まずに持ち帰ればよかったかしら。」
「迷ったら取り置いていただいて、後日に買ったコートを着てもう一度帽子屋に行ってはどうかしら。」
「そうねぇ」

帽子屋に先に行った方がよかったんだろうか。いや、気に入ったコートがあったからコートに合わせた帽子も欲しくなったってことか。
コートを売る場合に、素材や色を確認できるように小さな端切れを渡すとかはありかな。
まあ、試着をするのを考えると一つのお店で全部そろうみたいな方がいい気がするなあ。
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