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第3章
第83話 魔王軍て
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「は? も、もしかして‥‥‥。こ、これを、く、くれるということでござるか? ‥‥拙者に?」
「拙者なんだ‥‥。うん。デザインと着心地の感想を聞かせて欲しいんだ。受け取ってくれる?」
「そ、それは‥‥いただけるなら、いただくでござるが‥‥。よいのでござるか?」
「もちろん。デザイナーの人が色々感想を聞きたいんだって。」
「おおお!感謝するでござる!」
ユリウスはそういうと、両手でジャケットを受け取って、掲げるように広げて眺めた。そして早速袖を通す。
「ククク‥‥。すばらしい。まるで魔王軍の一員のようでござる。ククク‥‥。」
着心地を確認するように、くるっと動きながら、妙な笑い方をする。
「‥‥さっきから気になってたけど、魔王軍ってなに?」
「魔王様の家臣のことでござるよ!」
「魔王様?」
「知らないでござるか」
ユリウスがずいっと顔をつきつけてきた。ジョセフィンの腕が阻む。押し返されているけどユリウスはあまり気にしていない様子だ。
「幻の王弟のことでござるよ!第二王子として生まれながらも軍を率いて王城を飛び出し、迫り来る隣国の敵を殲滅しまくったのでござる。
勢力を拡大した後は、魔王国の独立宣言をされたのでござる。泣く子は黙り、寝てる子は気を失う。国内でも敵対するものは徹底的に叩き潰す。とてもとても恐ろしい魔王様でござる。」
ユリウスが興奮気味に捲し立てた。俺はちょっと引き気味だ。
「‥‥寝てる子は気を失ったかわかんないだろ。‥って、なんで恐ろしいと言いながら、魔王軍に入りたいの?」
「格好いいでござる!魔王様の元でなら、この封印されし左手も解放できる気がするでござる!」
ユリウスは黒い手袋をつけた左手を意味ありげに顔の近くに持って行きポーズをとった。
「封印されし左手‥‥。」
「そうでござる。ククク‥‥。」
やばい‥‥。一定の年代がかかる熱病とか言われているやつなんだろうか。それとも本当にあの左手に何かが封印されているんだろうか。
そもそも、ユリウスがいう魔王様ってもしかして父上のことじゃないのか?王弟とか言っていたよな?もし父上の事だったとして、俺が父上の息子だってばれたら、魔王子と呼ばれそうだよ‥‥。
色々考えながらも落ち着いている振りをして俺は口元に笑みを浮かべた。
「と、とりあえず、デザインだけでなく後で着心地の感想とかも聞かせてね。暖かさとかも。」
「わかったでござる。感謝でござる!」
ユリウスが騒いでいる間、トマソンは両手にセーターを手にして見つめていた。この場で着ようとはしないようだ。
「トマソンも、着心地の感想きかせてくれよ。」
「う、うん。ありがとう。‥‥暖かそうだね。」
トマソンがぎゅっと両手で抱きしめるようにセーターを抱え込んだ。
トマソンの眉間の皺が薄くなっている。良かった。セーターを気に入ってくれてはいるようだ。
「拙者なんだ‥‥。うん。デザインと着心地の感想を聞かせて欲しいんだ。受け取ってくれる?」
「そ、それは‥‥いただけるなら、いただくでござるが‥‥。よいのでござるか?」
「もちろん。デザイナーの人が色々感想を聞きたいんだって。」
「おおお!感謝するでござる!」
ユリウスはそういうと、両手でジャケットを受け取って、掲げるように広げて眺めた。そして早速袖を通す。
「ククク‥‥。すばらしい。まるで魔王軍の一員のようでござる。ククク‥‥。」
着心地を確認するように、くるっと動きながら、妙な笑い方をする。
「‥‥さっきから気になってたけど、魔王軍ってなに?」
「魔王様の家臣のことでござるよ!」
「魔王様?」
「知らないでござるか」
ユリウスがずいっと顔をつきつけてきた。ジョセフィンの腕が阻む。押し返されているけどユリウスはあまり気にしていない様子だ。
「幻の王弟のことでござるよ!第二王子として生まれながらも軍を率いて王城を飛び出し、迫り来る隣国の敵を殲滅しまくったのでござる。
勢力を拡大した後は、魔王国の独立宣言をされたのでござる。泣く子は黙り、寝てる子は気を失う。国内でも敵対するものは徹底的に叩き潰す。とてもとても恐ろしい魔王様でござる。」
ユリウスが興奮気味に捲し立てた。俺はちょっと引き気味だ。
「‥‥寝てる子は気を失ったかわかんないだろ。‥って、なんで恐ろしいと言いながら、魔王軍に入りたいの?」
「格好いいでござる!魔王様の元でなら、この封印されし左手も解放できる気がするでござる!」
ユリウスは黒い手袋をつけた左手を意味ありげに顔の近くに持って行きポーズをとった。
「封印されし左手‥‥。」
「そうでござる。ククク‥‥。」
やばい‥‥。一定の年代がかかる熱病とか言われているやつなんだろうか。それとも本当にあの左手に何かが封印されているんだろうか。
そもそも、ユリウスがいう魔王様ってもしかして父上のことじゃないのか?王弟とか言っていたよな?もし父上の事だったとして、俺が父上の息子だってばれたら、魔王子と呼ばれそうだよ‥‥。
色々考えながらも落ち着いている振りをして俺は口元に笑みを浮かべた。
「と、とりあえず、デザインだけでなく後で着心地の感想とかも聞かせてね。暖かさとかも。」
「わかったでござる。感謝でござる!」
ユリウスが騒いでいる間、トマソンは両手にセーターを手にして見つめていた。この場で着ようとはしないようだ。
「トマソンも、着心地の感想きかせてくれよ。」
「う、うん。ありがとう。‥‥暖かそうだね。」
トマソンがぎゅっと両手で抱きしめるようにセーターを抱え込んだ。
トマソンの眉間の皺が薄くなっている。良かった。セーターを気に入ってくれてはいるようだ。
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