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第3章

第70話 ダンジョンで昼食

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ヴィルヘルムさんも茶と菓子を味わって、「ふむ」と頷いた。

「茶も菓子も上手いな。魔力も回復するようだ。結界の設置の手際も良かったが、学園ではここまで教えないだろう。君ら、何処の出身だ?」

ジロリとヴィルヘルムさんの灰色の瞳が,俺とジョセフィンに向けられた。睨まれた訳じゃないと思うけど目つきが鋭いんだよな。

「俺もジョスも辺境出身です。エルストベルク地方です。」
「辺境か。あちらは、魔獣が多いらしいな。成る程、経験豊富ということか。」
「経験豊富という程のことはないですけど、ちょっとした魔獣狩りには、子供の頃から連れて行かれますね。野営の手伝いはよくしてましたよ。」
「なるほど。‥‥長期休暇でもあれば修行に行きたいが‥‥。」
「休暇で修行ですか‥‥。」

ヴィルヘルムさんは真面目な顔をして言っているけど、それってどうなんだ?

ジョセフィンは、ポケットから懐中時計を取り出して、ちらりと時間を確認し、俺の方を見た。俺もジョセフィンの手の中の懐中時計を覗き込む。

「昼、少し前ですけど、どうします?」

ヴィルヘルムさんの方を向いて言う。
そういうとヴィルヘルムさんも胸元か懐中時計を取り出した。

「少し遅めになるかもしれないが、第四階層の安全地帯は、湧き水が湧いているから、そこまで行ってからにするか。」
「おお、湧き水あるのいいですね。」

他のメンバーも反対しなかったので、第四階層で昼食をとってから第五階層で、猫の目魔石を目指す予定できまった。
事前に調べて来たメモで、第四階層と第五階層の魔獣やら、トラップの有無を確認している間に、クラーラ嬢とヘンリーも回復してきたようだ。

第四階層はドロップもあまり期待できないので、最短のルートで安全地帯を目指した。
ヘンリーは猫型魔獣と戦うのに慣れてきたし、クラーラ嬢は、相変わらずオーバーキルだけど、イリーとカサンドラがフォローして、大きな問題なく進んだ。

第四階層の安全地帯は、ヴィルヘルムさんが言った通り、隅の方に湧き水が湧いていた。
昼食のスープ用の水を汲んだ後は、各自の水筒への補充もできた。
昼食は干し野菜のスープと、干し肉とチーズを挟んだパン。パンは、ダンジョンに入る前に、ダンジョン近くの村の店で買ったので、各自同じ物を持っていた。
ヴィルヘルムさんとクラーラ嬢も同じだった。
冷たいまま食べるパンだけど、スープが出来上がって、ジョセフィンが鍋を火から下ろしたので、フライパンを火にかけてその上にパンを乗せたら、皆真似して
フライパンに放射状にパンを乗せて焼く事になった。

「はぁ~。授業だと、ダンジョンでの食事は干し肉とパンと水って教わったけど、暖かいスープあるのいいわね。」
「パンも焼きなおして食べたほうが絶対上手いよなぁ」
「賛成。」

イリー、アレクシス、フェリクスが嬉しそうに言ってパンとスープを頬張っている。
ヘンリーは冷えたのか両手でスープカップをもってじっとしている。
ヴィルヘルムさんも、スープを褒めてくれたけど、少しだけ忠告され
た。
「凄く美味いし、ありがたい‥が、もしも、王宮騎士になって遠征にいったら、冷えきった干し肉とパンばかりだぞ。がっかりするなよ。」
「ええ~?寧ろ、そっちを改善してほしいですよ~。」

ヴィルヘルムさんは学園の先輩だし、高位貴族だけど、気さくなので、今日会ったばかりなのに、つい軽口をきいてしまう。
王宮騎士の話題がでたので、卒業後に王宮騎士になった時の話等を聞きながら、穏やかに昼食をとった。
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