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第2章
第54話 直感少年
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エドワードが走って行く後ろ姿を眺めながら、小さく溜め息をついた。
「風紀委員と知り合いだったから、なんとかしてくれるかもしれないって思ったのかな。むちゃくちゃだな。」
「でも‥‥、ちょっといい勘してますよね‥‥。」
ジョセフィンが肩を竦めた。
確かに、ピンク巻き毛が何かやってるとかも、感づいていたみたいだったし、意外と直感が働くタイプなのかもしれない。
午前中の授業では、久々にダンスの授業でフローラと踊れたので、気分が上がった。
少し機嫌良い状態で、エドワードと約束をしたカフェテリアに向かう。
学科毎に食堂はあるけれど、中央棟のカフェテリアは、どの学科の生徒も使用できるようになっている。
昼の鐘が鳴ってすぐにカフェテリアに向かったので、まだ、そんなに混んではいなかった。
窓の近くのテーブルに、エドワードが座っているのが見えた。
キョロキョロ周囲を見回していて、俺達と目が合うと、はっとして立ち上がる。
俺は軽く手を振った。
「待った?」
「ううん。今来たとこ。」
エドワードは、そう答えると、俯いてもじもじとしている。とりあえず座るように促して、給仕を呼んだ。
騎士科の食堂は、セルフサービスなのに、共有エリアのカフェテリアは、レストランのように給仕を呼んで、注文をするシステムだ。
貴族の子息子女なら、こちらの方が慣れたシステムだと思う。
本職の騎士になった場合に、色々な食事の提供方法に慣れていないと困るかららしいんだけど、メニューもカフェテリアの方が豪華な気がする。
「あ、あの‥‥。」
エドワードが、俯きながら少し頬を赤らめて言った。
「何でしょうか‥‥。」
「な、名前を教えてもらってもいいかな‥‥。」
「‥‥‥。」
名乗った事無かったっけ?いや、護衛実習の顔合わせの時に一応名乗ったよな。ジョセフィンと視線で会話をする。
多分、顔合わせの時は興味なかったんだろうな。まあ、いいか、ともう一度自己紹介をすることにした。
「俺は、マーカス・プリメレモン。こっちは、ジョセフィン・サリエット。」
俺が言うとジョセフィンがぺこりとお辞儀をした。
ついでに名前呼びも許可を出しておく。
食事が運ばれて来た。やっぱり、騎士科のメニューより豪華だ。メインディッシュに添えられた野菜が多いし、パンも温められている。
「と、突然教室に行ってすまなかった。それと‥‥課外実習の時も失礼した。」
エドワードは、食べ始める前に、思い切ったように頭を下げた。
「‥‥謝罪は受け取るけど‥‥。どうして急に?」
「君達に‥‥力を貸して貰いたいんだ。兄の事で‥‥。」
「力を貸すって‥‥俺達風紀委員と知り合いってだけでしょ。それなら風紀委員の人に直接相談した方がいいんじゃないの?」
「風紀の人にどう頼んだらいいかもわからない‥‥。」
「‥‥。頼み方の相談からしたいってこと?」
聞くと、エドワードはコクンと頷いた。
「どうして俺達に? クラスメートに相談したらいいんじゃないの?」
あの、怒りっぱなしだった伯爵令息とか。
「課外実習で何となくわかった。特進科の人達は僕も含めてだけど買い物したことないし、鞄も他人に持たせるのが当たり前だった。
その点だけでも、騎士科の君達の方が、社会に慣れている気がする。それと‥‥、あの時は現場にいたから知られてしまったけど、
あまり、兄の問題について、他の人に知られたくはなくて‥‥。」
「成る程ね。でもお兄さんの事は、あの調子だと、学園中に広まっちゃうんじゃないかな。」
「だから!そうなる前に何とかしたいんだよ!あのままだと、多分、まずいと思う。トリシア姉様に婚約破棄をされるかもしれないし。」
鬼のような形相のトリシア嬢を思い出した。
「あの‥‥トリシア嬢がお兄さんと結婚するのは大丈夫なの? ちょっと苛烈な人だったよね。」
俺がそう言うと、びくっとエドワードは肩を揺らした。ぎゅっと唇を噛み締め、ぼそぼそと小さな声で言う。
「家同士の事だから‥‥。」
「‥‥あまり好きではない? 」
「それは‥‥。仕方ないし‥‥。ブランシュ侯爵家から、婚約破棄を言い渡されるのは、まずいんだよ。慰謝料とか請求されたら‥‥。」
エドワードは、俯いてぷるぷると震えた。
「風紀委員と知り合いだったから、なんとかしてくれるかもしれないって思ったのかな。むちゃくちゃだな。」
「でも‥‥、ちょっといい勘してますよね‥‥。」
ジョセフィンが肩を竦めた。
確かに、ピンク巻き毛が何かやってるとかも、感づいていたみたいだったし、意外と直感が働くタイプなのかもしれない。
午前中の授業では、久々にダンスの授業でフローラと踊れたので、気分が上がった。
少し機嫌良い状態で、エドワードと約束をしたカフェテリアに向かう。
学科毎に食堂はあるけれど、中央棟のカフェテリアは、どの学科の生徒も使用できるようになっている。
昼の鐘が鳴ってすぐにカフェテリアに向かったので、まだ、そんなに混んではいなかった。
窓の近くのテーブルに、エドワードが座っているのが見えた。
キョロキョロ周囲を見回していて、俺達と目が合うと、はっとして立ち上がる。
俺は軽く手を振った。
「待った?」
「ううん。今来たとこ。」
エドワードは、そう答えると、俯いてもじもじとしている。とりあえず座るように促して、給仕を呼んだ。
騎士科の食堂は、セルフサービスなのに、共有エリアのカフェテリアは、レストランのように給仕を呼んで、注文をするシステムだ。
貴族の子息子女なら、こちらの方が慣れたシステムだと思う。
本職の騎士になった場合に、色々な食事の提供方法に慣れていないと困るかららしいんだけど、メニューもカフェテリアの方が豪華な気がする。
「あ、あの‥‥。」
エドワードが、俯きながら少し頬を赤らめて言った。
「何でしょうか‥‥。」
「な、名前を教えてもらってもいいかな‥‥。」
「‥‥‥。」
名乗った事無かったっけ?いや、護衛実習の顔合わせの時に一応名乗ったよな。ジョセフィンと視線で会話をする。
多分、顔合わせの時は興味なかったんだろうな。まあ、いいか、ともう一度自己紹介をすることにした。
「俺は、マーカス・プリメレモン。こっちは、ジョセフィン・サリエット。」
俺が言うとジョセフィンがぺこりとお辞儀をした。
ついでに名前呼びも許可を出しておく。
食事が運ばれて来た。やっぱり、騎士科のメニューより豪華だ。メインディッシュに添えられた野菜が多いし、パンも温められている。
「と、突然教室に行ってすまなかった。それと‥‥課外実習の時も失礼した。」
エドワードは、食べ始める前に、思い切ったように頭を下げた。
「‥‥謝罪は受け取るけど‥‥。どうして急に?」
「君達に‥‥力を貸して貰いたいんだ。兄の事で‥‥。」
「力を貸すって‥‥俺達風紀委員と知り合いってだけでしょ。それなら風紀委員の人に直接相談した方がいいんじゃないの?」
「風紀の人にどう頼んだらいいかもわからない‥‥。」
「‥‥。頼み方の相談からしたいってこと?」
聞くと、エドワードはコクンと頷いた。
「どうして俺達に? クラスメートに相談したらいいんじゃないの?」
あの、怒りっぱなしだった伯爵令息とか。
「課外実習で何となくわかった。特進科の人達は僕も含めてだけど買い物したことないし、鞄も他人に持たせるのが当たり前だった。
その点だけでも、騎士科の君達の方が、社会に慣れている気がする。それと‥‥、あの時は現場にいたから知られてしまったけど、
あまり、兄の問題について、他の人に知られたくはなくて‥‥。」
「成る程ね。でもお兄さんの事は、あの調子だと、学園中に広まっちゃうんじゃないかな。」
「だから!そうなる前に何とかしたいんだよ!あのままだと、多分、まずいと思う。トリシア姉様に婚約破棄をされるかもしれないし。」
鬼のような形相のトリシア嬢を思い出した。
「あの‥‥トリシア嬢がお兄さんと結婚するのは大丈夫なの? ちょっと苛烈な人だったよね。」
俺がそう言うと、びくっとエドワードは肩を揺らした。ぎゅっと唇を噛み締め、ぼそぼそと小さな声で言う。
「家同士の事だから‥‥。」
「‥‥あまり好きではない? 」
「それは‥‥。仕方ないし‥‥。ブランシュ侯爵家から、婚約破棄を言い渡されるのは、まずいんだよ。慰謝料とか請求されたら‥‥。」
エドワードは、俯いてぷるぷると震えた。
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