54 / 324
第2章
第53話 相談事
しおりを挟む
ジョセフィンの父、ルドルフの話だと、ファシスの媚石を使われると、一時的に催淫作用が働いているときに、恋愛感情と思い込む。それを繰り返されるうちに、媚石なしでも、効果が持続しているような状況になっている可能性があるということだった。
媚石の効果が切れても、気持ちが思い込んでいる状態だから、解毒剤のようなものは通用しない。
それって、かなり危険なものじゃないの?
もっとちゃんと規制して欲しいよ。
朝になったら、父から返事が来ていた。
規制を強化するように動くと書いてあった。
アインホルン侯爵にも手紙を書いてくれるという。
それと、バーデン男爵家について調査をしてくれるそうだ。
早朝の訓練室で、トリー殿下と、召還の練習をする。
トリー殿下は、魔黄金虫の召還時に使用する魔力量が安定して来て、ほぼ失敗なく召還と送還ができるようになった。
「マーカス見てみて、イチコガネとニコガネ、同時に召還できたよ!」
手に、魔黄金虫を乗せてニコニコしているトリー殿下。
あー、癒される。
頭なでなでしたくなるよ!
「トリー殿下、次、魔蜂を獲ってくるね。魔ネズミと魔鳥はもう少し待ってて。」
「うん! ありがとう!」
ぱあぁと、花開くように笑うトリー殿下。
無邪気な笑顔は護りたいと思う。
魔鳥は、王都内でも卵を入手できた。それを、魔力溜まりで孵せば、魔鳥の小鳥が生まれるはず。
魔ネズミは、普通のハツカネズミを魔力溜まりで、飼って、子ネズミが魔ネズミとして生まれないか実験中だ。
俺がテイムしている魔ネズミは、トリー殿下の周囲をうろつかせて、警備させている。
学園内の警備騎士も、父経由で増やしてもらっている。いずれ、トリー殿下の護衛騎士を父が手配した騎士に入れ替える計画だ。
何かね、ちょっと心配なんだよね。
早朝のお茶会を終えた後、風紀委員の先輩達が槍の訓練をしていたので参加させてもらった。
騎士科の別のクラスの1年が何人か訓練に参加していた。風紀委員に勧誘されているようだ。俺達も未だに軽く勧誘はされているけど、しつこくはない。
訓練の後、水浴びをしてから、教室に向かうと、教室の手前に見覚えがある姿があった。
「エドワード? なんでここに?」
「呼び捨てか!」
カッと素早く反応するエドワード。
「ああ、ごめん、心の中でそう呼んでいたから。どうしてここに? アインホルン侯爵令息。」
「エ、エドワードでいい。」
「いいのかい。」
特進科のエドワードが、騎士科の教室の前にいるのは、かなり目立つ。そもそも特進科とは建物も違うのだ。
「で、誰かに用事ですか?」
「君達だ!」
「はぁ?」
仲良くなった覚えは無いんだけど。俺はジョセフィンと顔を見合わせた。
「君達、風紀委員と親しいみたいだったから。何か‥‥。何か‥‥。」
エドワードは落ち着き無さげに口をパクパクと動かした。
予鈴の鐘が鳴る。特進科の教室にはもう向かわないと遅刻だろう。
「授業だろ。行かないの?」
「で、でも‥‥。」
エドワードは何か不安げで、すがるような目で見てくる。何なんだ、一体?
ジョセフィンがすっと前に出た。
「僕達これから授業だから。話なら後にしてくれないですか?‥‥昼休みとか‥‥。」
きっぱり追い返す口調だったけど、エドワードが泣きそうな顔をしたので最後少し妥協したようだ。
俺もちょっと妥協案を出しておこう。
「昼、カフェテリアでどう?」
ぱっと目を見開いたエドワードは、うんうんと頷いた。納得したみたいなので、トンと背中を押して特進科の教室に向かわせた。
媚石の効果が切れても、気持ちが思い込んでいる状態だから、解毒剤のようなものは通用しない。
それって、かなり危険なものじゃないの?
もっとちゃんと規制して欲しいよ。
朝になったら、父から返事が来ていた。
規制を強化するように動くと書いてあった。
アインホルン侯爵にも手紙を書いてくれるという。
それと、バーデン男爵家について調査をしてくれるそうだ。
早朝の訓練室で、トリー殿下と、召還の練習をする。
トリー殿下は、魔黄金虫の召還時に使用する魔力量が安定して来て、ほぼ失敗なく召還と送還ができるようになった。
「マーカス見てみて、イチコガネとニコガネ、同時に召還できたよ!」
手に、魔黄金虫を乗せてニコニコしているトリー殿下。
あー、癒される。
頭なでなでしたくなるよ!
「トリー殿下、次、魔蜂を獲ってくるね。魔ネズミと魔鳥はもう少し待ってて。」
「うん! ありがとう!」
ぱあぁと、花開くように笑うトリー殿下。
無邪気な笑顔は護りたいと思う。
魔鳥は、王都内でも卵を入手できた。それを、魔力溜まりで孵せば、魔鳥の小鳥が生まれるはず。
魔ネズミは、普通のハツカネズミを魔力溜まりで、飼って、子ネズミが魔ネズミとして生まれないか実験中だ。
俺がテイムしている魔ネズミは、トリー殿下の周囲をうろつかせて、警備させている。
学園内の警備騎士も、父経由で増やしてもらっている。いずれ、トリー殿下の護衛騎士を父が手配した騎士に入れ替える計画だ。
何かね、ちょっと心配なんだよね。
早朝のお茶会を終えた後、風紀委員の先輩達が槍の訓練をしていたので参加させてもらった。
騎士科の別のクラスの1年が何人か訓練に参加していた。風紀委員に勧誘されているようだ。俺達も未だに軽く勧誘はされているけど、しつこくはない。
訓練の後、水浴びをしてから、教室に向かうと、教室の手前に見覚えがある姿があった。
「エドワード? なんでここに?」
「呼び捨てか!」
カッと素早く反応するエドワード。
「ああ、ごめん、心の中でそう呼んでいたから。どうしてここに? アインホルン侯爵令息。」
「エ、エドワードでいい。」
「いいのかい。」
特進科のエドワードが、騎士科の教室の前にいるのは、かなり目立つ。そもそも特進科とは建物も違うのだ。
「で、誰かに用事ですか?」
「君達だ!」
「はぁ?」
仲良くなった覚えは無いんだけど。俺はジョセフィンと顔を見合わせた。
「君達、風紀委員と親しいみたいだったから。何か‥‥。何か‥‥。」
エドワードは落ち着き無さげに口をパクパクと動かした。
予鈴の鐘が鳴る。特進科の教室にはもう向かわないと遅刻だろう。
「授業だろ。行かないの?」
「で、でも‥‥。」
エドワードは何か不安げで、すがるような目で見てくる。何なんだ、一体?
ジョセフィンがすっと前に出た。
「僕達これから授業だから。話なら後にしてくれないですか?‥‥昼休みとか‥‥。」
きっぱり追い返す口調だったけど、エドワードが泣きそうな顔をしたので最後少し妥協したようだ。
俺もちょっと妥協案を出しておこう。
「昼、カフェテリアでどう?」
ぱっと目を見開いたエドワードは、うんうんと頷いた。納得したみたいなので、トンと背中を押して特進科の教室に向かわせた。
0
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説
異世界ハニィ
ももくり
ファンタジー
ある日突然、異世界へ召喚されてしまった女子高生のモモ。「えっ、魔王退治はしなくていいんですか?!」あうあう言っているうちになぜか国境まで追いやられ、隙あらば迫ってくるイケメンどもをバッサバッサとなぎ倒す日々。なんか思ってたのと違う異世界でのスローライフが、いま始まる。※表紙は花岡かおろさんのイラストをお借りしています。※申し訳ありません、今更ですがジャンルを恋愛からファンタジーに変更しました。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
大好きな母と縁を切りました。
むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。
領地争いで父が戦死。
それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。
けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。
毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。
けれどこの婚約はとても酷いものだった。
そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。
そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活
mio
ファンタジー
なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。
こうなったら仕方ない。とにかく、平和に楽しく暮らしていこう。
なぜ、少女は異世界へと連れてこられたのか。
自分の中に眠る力とは何なのか。
その答えを知った時少女は、ある決断をする。
長い間更新をさぼってしまってすいませんでした!
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる