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第2章
第51話 問題色々
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トリシア嬢は魔黄金虫を避けるように、こちらの方に歩いて来た。
フリードリヒ先輩の近くを通った時、キッと、先輩の事を睨んだ。
「もっとちゃんと仲裁してよ!」
捨て台詞のように言って、ふん!そっぽ向いて、ずんずんと廊下の方に歩いて行った。そこでピタリと立ち止まる。
「エドワード!貴方見てたのね!」
トリシア嬢が、柱の陰にいたエドワード・アインホルン侯爵令息を見つけて、睨みつけた。
「ト、トリシア姉様‥‥。」
「見ていたなら、なんであの女をそのままにしているのよ!」
トリシア嬢はずんずんと、アインホルン侯爵令息に近づくと、扇子を振り上げた。
ブーン‥‥
「うっ‥‥。」
目の前を魔黄金虫が通過して、バランスを崩すトリシア嬢。その間に、フーゴ先輩と、ライマ先輩が割って入った。
ライマ先輩は、トリシア嬢の振り上げた扇子を掴んでいる。
「暴力はいけません。」
「な、なによ!」
ライマ先輩は、トリシア嬢から扇子を取りあげると、フリードリヒ先輩に手渡した。
「トリシア・ブランシュ侯爵令嬢。今の行為は傷害未遂と見なします。学則違反行為です。」
「しょ、傷害未遂ですって?まだ、叩いていないじゃない!」
「ですから未遂と言いました。」
「叩く気はなかったわ!エドワードが役に立たないから、ちょっと脅してやろうと思っただけよ!」
「脅迫も学則違反行為です。尚、どちらも学則違反でもあり、法律でも違反ですよ。」
フリードリヒ先輩が、冷たく言い放った。
トリシア嬢は、信じられないという顔をしている。
「わ、私を誰だと思っているのよ。トリシア・ブランシュよ!侯爵家次女よ!」
「存じていますが、学則ですので。」
フリードリヒ先輩は表情を変えず、フーゴ先輩と、ライマ先輩に、指示して、トリシア嬢をどこかへ、連行して行った。
後に残ったエドワード・アインホルン侯爵令息は、はっとして、後ずさりを始めた。そんな彼にフリードリヒ先輩が声をかけた。
「エドワード・アインホルン侯爵令息。少し話しを聞いてもいいかな。」
「ぼ、僕‥‥。何もしていないだろ?」
「ええ、君は何もしていないことはわかっているけど君の兄上と、ブランシュ侯爵令嬢の状況を確認したい。最近、似たような騒ぎを何回か起こしているんだ。」
さっきのジークヴァルドという人がアインホルン侯爵令息の兄なのか。ということはアインホルン侯爵令息? 面倒だからジークヴァルドとエドワードでいいや。
エドワードは、ちらりと俺とジョセフィンの方を見た。きっと、睨みつけた後に、フリードリヒ先輩の方に向き直った。
「兄上は最近おかしい、けど悪くない!あのニーナ・バーデンという女に騙されているんだ。」
バーデン男爵家は、昨年昇爵した新興の貴族だ。
エドワードは堰を切ったように、話し始めた。
ニーナ・バーデン男爵令嬢は、淑女科2年に所属していて今年に入ってから、エドワードの兄ジークヴァルドと親しくなった。
一目をはばからず、一緒にいて距離が近い。
先程のトリシア・ブランシュ侯爵令嬢は、ジークヴァルドの婚約者だが、トリシア嬢が何度も注意をしているという。
トリシア嬢は、感情の起伏が激しい女性で、すぐにあのような状態になるのだという。
「確かに、トリシア姉‥‥嬢は、怒ると怖いから、兄上もちょっと引いているところがあるけど、今の兄上は、一目も気にしなくなっていて変なんだ。
あのニーナって女が何かしたに違いない。」
エドワードは涙目になりながら訴えた。
「そうか‥‥。中々複雑だね。」
フリードリヒ先輩は、難しそうに眉を顰めた。
あのピンクの巻き毛‥‥。ファシナの媚石‥‥。まさか学園内でも使っているのか?
俺はちらりとジョセフィンの方を見た。ジョセフィンも同じように考えていたのか、俺の方に目線を送ってくる。
エドワードの興奮状態を見ると、この場でファシナの媚石の可能性を言うのは、まずいよな。
フリードリヒ先輩の近くを通った時、キッと、先輩の事を睨んだ。
「もっとちゃんと仲裁してよ!」
捨て台詞のように言って、ふん!そっぽ向いて、ずんずんと廊下の方に歩いて行った。そこでピタリと立ち止まる。
「エドワード!貴方見てたのね!」
トリシア嬢が、柱の陰にいたエドワード・アインホルン侯爵令息を見つけて、睨みつけた。
「ト、トリシア姉様‥‥。」
「見ていたなら、なんであの女をそのままにしているのよ!」
トリシア嬢はずんずんと、アインホルン侯爵令息に近づくと、扇子を振り上げた。
ブーン‥‥
「うっ‥‥。」
目の前を魔黄金虫が通過して、バランスを崩すトリシア嬢。その間に、フーゴ先輩と、ライマ先輩が割って入った。
ライマ先輩は、トリシア嬢の振り上げた扇子を掴んでいる。
「暴力はいけません。」
「な、なによ!」
ライマ先輩は、トリシア嬢から扇子を取りあげると、フリードリヒ先輩に手渡した。
「トリシア・ブランシュ侯爵令嬢。今の行為は傷害未遂と見なします。学則違反行為です。」
「しょ、傷害未遂ですって?まだ、叩いていないじゃない!」
「ですから未遂と言いました。」
「叩く気はなかったわ!エドワードが役に立たないから、ちょっと脅してやろうと思っただけよ!」
「脅迫も学則違反行為です。尚、どちらも学則違反でもあり、法律でも違反ですよ。」
フリードリヒ先輩が、冷たく言い放った。
トリシア嬢は、信じられないという顔をしている。
「わ、私を誰だと思っているのよ。トリシア・ブランシュよ!侯爵家次女よ!」
「存じていますが、学則ですので。」
フリードリヒ先輩は表情を変えず、フーゴ先輩と、ライマ先輩に、指示して、トリシア嬢をどこかへ、連行して行った。
後に残ったエドワード・アインホルン侯爵令息は、はっとして、後ずさりを始めた。そんな彼にフリードリヒ先輩が声をかけた。
「エドワード・アインホルン侯爵令息。少し話しを聞いてもいいかな。」
「ぼ、僕‥‥。何もしていないだろ?」
「ええ、君は何もしていないことはわかっているけど君の兄上と、ブランシュ侯爵令嬢の状況を確認したい。最近、似たような騒ぎを何回か起こしているんだ。」
さっきのジークヴァルドという人がアインホルン侯爵令息の兄なのか。ということはアインホルン侯爵令息? 面倒だからジークヴァルドとエドワードでいいや。
エドワードは、ちらりと俺とジョセフィンの方を見た。きっと、睨みつけた後に、フリードリヒ先輩の方に向き直った。
「兄上は最近おかしい、けど悪くない!あのニーナ・バーデンという女に騙されているんだ。」
バーデン男爵家は、昨年昇爵した新興の貴族だ。
エドワードは堰を切ったように、話し始めた。
ニーナ・バーデン男爵令嬢は、淑女科2年に所属していて今年に入ってから、エドワードの兄ジークヴァルドと親しくなった。
一目をはばからず、一緒にいて距離が近い。
先程のトリシア・ブランシュ侯爵令嬢は、ジークヴァルドの婚約者だが、トリシア嬢が何度も注意をしているという。
トリシア嬢は、感情の起伏が激しい女性で、すぐにあのような状態になるのだという。
「確かに、トリシア姉‥‥嬢は、怒ると怖いから、兄上もちょっと引いているところがあるけど、今の兄上は、一目も気にしなくなっていて変なんだ。
あのニーナって女が何かしたに違いない。」
エドワードは涙目になりながら訴えた。
「そうか‥‥。中々複雑だね。」
フリードリヒ先輩は、難しそうに眉を顰めた。
あのピンクの巻き毛‥‥。ファシナの媚石‥‥。まさか学園内でも使っているのか?
俺はちらりとジョセフィンの方を見た。ジョセフィンも同じように考えていたのか、俺の方に目線を送ってくる。
エドワードの興奮状態を見ると、この場でファシナの媚石の可能性を言うのは、まずいよな。
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