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第2章

第49話 危機回避?

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翌朝早朝、トリー殿下と、薔薇園の奥の訓練室で待ち合わせる。

訓練室に向かう途中でジョセフィンは昨日のアインホルン侯爵令息の話をした。
アインホルン侯爵令息は、知った顔を見かけたから思わず追ってしまったと言っただけで
それ以上は何も言わなかったそうだ。

路地裏に入るのを止めた時の様子からして、会って嬉しい相手を追いかけたという雰囲気ではなかった。
マキシミリアン先生も、そう感じたのか、その場では追求しなかったようだ。

訓練室にやってきたトリー殿下が、笑顔で手を振って来た。
昨日の事で心配していたので、笑顔を見るとほっとする。
事件の事で危機感を感じたのか、自室で召還魔法を練習してきたという。

少し寝不足なのか、それとも昨日の出来事を引き摺っているのか、あまり顔色がよくない。
それでも12回目で召還魔法に成功した。

ほーっと、安堵の息を漏らしたトリー殿下は、やっと笑顔を見せた。

「よかった。これで僕も、昨日みたいな事が有った時なんとかできそう。」

やはりショックだったようだ。
王城では緊急の会議が開かれ、エステラ王国への対応が話し合われたという。

今回はトリー殿下に危害は加わえられてはいない。
エステラ側は、エステラ王国の騎士が剣を抜いたのは、虫を追い払う為で、攻撃の意思はなかったと、主張している。
エステラ王国と戦争をした場合、メリットとデメリットはどうなのか。

宰相を中心に話がまとめられつつあって、エステラ王国に賠償を請求することで落ち着きそうだとのことだ。

相手側の姫君が、トリー殿下に直接会って謝罪がしたいといってきているらしいけど、トリー殿下は会いたくないと拒否しているといいう。
そうだよな。

なんにせよ、戦争が回避できそうなら、良かったのかな。

昨日の事を考えるとトリー殿下はストレスを感じるようなので、新たな魔蜂のテイミングの練習に集中することにした。
エルストベルクの屋敷の使用人達が、魔蜂を獲ってきてくれていたのだ。
魔蜂はテイミング完了していない状態で掌に乗せると可能性があるので、氷魔法で周囲を氷で囲い、ある程度元気のない状態にしてからテイミングを試したら
うまくいった。

*******

騎士科のクラスに行くと、前日の課外授業の話題で持ち切りとなっていた。
半数程の班が荷物持ちをさせられていたという。

引率の先生は、騎士班がすんなり荷物持ちをした場合は、その場では何も言わず、後で注意するらしい。
身分差で断れない場合も多いから、減点等はないようだが、手が塞がっていていざという時対応できるのか、考える事が大事なんだと。

トリー殿下のいた班も同様だったようだ。
特進科の人達が買い物をした荷物を抱えていて、あのエステラ王国の姫君が近づいて来た時、荷物を放り出して対応していいかどいうか迷って
即座に反応ができなかったという。結局、正規で護衛をしていた騎士達が対応をしていた。騎士科クラスの班が実行したのは、
護衛騎士に指示されて、特進科の人達を馬車に促すことだけだったようだ。

荷物持ち自体を頼まれなかった班もいたけど、断ったのは、俺のいた班だけだったようだ。

「怖い物知らずだよね。」

周りからは少し呆れたように言われたけど、トリー殿下のところにいた班が、荷物のせいで、対応が出来なかったという事実があって、
どうやって断るのがいいか、なんて話に発展していた。

ヴォルフガング先生曰く、気構えとして意識していればいいという。
王宮所属の騎士になった場合は、まず、荷物持ちなど命じられる事はないそうだ。
地方領の騎士となった場合、昨日のように荷物持ちを命じられるケースも、あるだろうけれど、他に緊急時に対応できる騎士もいるなら、大事にはならない、と。

「だけど、護衛対象が怪我でもした場合、剣が抜けなかったと、責任を負わせられる場合もあるからな。気をつけろよー。」

ヴォルフガング先生が軽い口調でいうけど、そんな事態になったら最悪じゃないかと思う。
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