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第1章
第29話 早朝ピクニック
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約束‥‥約束はしたんだっけ。約束から一週間後の早朝、訓練室にやってきたトリー殿下はニコニコして、ジョセフィンが煎れたお茶を飲んでいた。
早朝の訓練室に、ついて来たジョセフィンは、お茶を入れる道具だとか、ちょっと摘むのものなんかを持参していた。
テーブルは、他の場所から借りて来たらしい。
温かいミルクティーと小さなパン。チーズの入ったものと、サラミを刻んだものが入ったもの。
ティーセット、重かったろうにと思うような、きちんとしたカップアンドソーサーで、きちんとした紅茶を入れる。
野営用の簡易湯沸かし道具まで持って来ていて、徹底している。実は楽しんでいるのかもしれない。
「美味しい!楽しい!ピクニックみたい!」
トリー殿下は、イレギュラーな場所でのお茶会を大変お気に召したようだ。
うん、全然、訓練しない流れだけど。
「お友達増えたのも嬉しい! ジョス!お茶煎れるの凄く上手!」
「光栄です。」
ジョセフィンも、お友達に成って攻撃を受けて、すんなり受け入れた。笑顔が柔らかいから、俺につきあって仕方なく、ではない、と、思う。
ジョセフィンに調べてもらったところ、寮の殿下の部屋の前に一応の騎士はいるものの、一階だし、テラスからは出入りしようと思えばできてしまうようだ。
日中、ぎっしりと護衛騎士に囲まれているのに、なんとも雑な感じ。
でも、指摘して、警備が厳しくなると、トリー殿下の息抜きをする余地がなくなるかもしれないので微妙なところ。
‥‥外部から、攻撃を受けたりしないように、何人か手配しておこう。
先日、休憩室の前の廊下で、遭遇した時のように、普段のトリー殿下は、数人のクラスメートと護衛騎士に囲まれて過ごしているんだそうだ。
「なんかねぇ。一応皆気を遣ってくれているんだと思うんだけどね‥‥。」
まだ早朝は冷える。ホカホカしたカップを両手で包むようにもって、ミルクティを一口二口飲んでトリー殿下はふぅーと溜め息をついた。
「寮に入ったら何か楽しい事が待っているような気がしたんだ‥‥。」
トリー殿下の眉がきゅっと下がる。
「楽しくないの?」
「うーん‥‥、あ!今楽しいよ!」
ぱっと顔を上げて、笑顔を見せた。笑顔を見せてくれたけど、先ほどの沈んだ様子が気になる。
「寮では普段はどんな感じなの?」
「王宮とあまり変わらないかな。侍女がいないだけで。あ!湯浴みは自分でできるようになったよ。お湯は持ってきてもらうんだけど。」
寮での食事は、特別室で用意された食事を、日によってご学友と一緒だったりすることもあるが、基本的に一人で食事をし、部屋に戻る。それだけ、だそうだ。
今朝も朝食の時間になると誰かが呼びにくるけれど、それまでは、抜け出しても誰も気がつかないらしい。
学園の手配がずさんなのか、でも王宮でも変わらないのか。
たわいない会話で、トリー殿下は楽しそうに笑う。
ヘンリーがダンスが苦手で、俺とジョセフィンが練習相手で女性パートをやったという話をしただけで大受けだった。
「楽しそう!僕のその練習に加わりたい!」
「あの周りの人達が反対しない?」
「絶対反対する!」
ぷうっとほっぺたを膨らませた。
「特進科のダンスの授業はどんな感じ?」
「決まった令嬢達と踊るけど、皆上手だから。男性が女性パートを踊るとかも全然なくて。」
「まあ、特進科だったら、入学前にしっかりダンスレッスン受けてる人達ばっかりだよね。」
「そうなんだよね。いつも舞踏会みたい。」
「授業なんだし、ダンスが皆上手なのは悪くはないんだろうけどね。」
早朝の訓練室に、ついて来たジョセフィンは、お茶を入れる道具だとか、ちょっと摘むのものなんかを持参していた。
テーブルは、他の場所から借りて来たらしい。
温かいミルクティーと小さなパン。チーズの入ったものと、サラミを刻んだものが入ったもの。
ティーセット、重かったろうにと思うような、きちんとしたカップアンドソーサーで、きちんとした紅茶を入れる。
野営用の簡易湯沸かし道具まで持って来ていて、徹底している。実は楽しんでいるのかもしれない。
「美味しい!楽しい!ピクニックみたい!」
トリー殿下は、イレギュラーな場所でのお茶会を大変お気に召したようだ。
うん、全然、訓練しない流れだけど。
「お友達増えたのも嬉しい! ジョス!お茶煎れるの凄く上手!」
「光栄です。」
ジョセフィンも、お友達に成って攻撃を受けて、すんなり受け入れた。笑顔が柔らかいから、俺につきあって仕方なく、ではない、と、思う。
ジョセフィンに調べてもらったところ、寮の殿下の部屋の前に一応の騎士はいるものの、一階だし、テラスからは出入りしようと思えばできてしまうようだ。
日中、ぎっしりと護衛騎士に囲まれているのに、なんとも雑な感じ。
でも、指摘して、警備が厳しくなると、トリー殿下の息抜きをする余地がなくなるかもしれないので微妙なところ。
‥‥外部から、攻撃を受けたりしないように、何人か手配しておこう。
先日、休憩室の前の廊下で、遭遇した時のように、普段のトリー殿下は、数人のクラスメートと護衛騎士に囲まれて過ごしているんだそうだ。
「なんかねぇ。一応皆気を遣ってくれているんだと思うんだけどね‥‥。」
まだ早朝は冷える。ホカホカしたカップを両手で包むようにもって、ミルクティを一口二口飲んでトリー殿下はふぅーと溜め息をついた。
「寮に入ったら何か楽しい事が待っているような気がしたんだ‥‥。」
トリー殿下の眉がきゅっと下がる。
「楽しくないの?」
「うーん‥‥、あ!今楽しいよ!」
ぱっと顔を上げて、笑顔を見せた。笑顔を見せてくれたけど、先ほどの沈んだ様子が気になる。
「寮では普段はどんな感じなの?」
「王宮とあまり変わらないかな。侍女がいないだけで。あ!湯浴みは自分でできるようになったよ。お湯は持ってきてもらうんだけど。」
寮での食事は、特別室で用意された食事を、日によってご学友と一緒だったりすることもあるが、基本的に一人で食事をし、部屋に戻る。それだけ、だそうだ。
今朝も朝食の時間になると誰かが呼びにくるけれど、それまでは、抜け出しても誰も気がつかないらしい。
学園の手配がずさんなのか、でも王宮でも変わらないのか。
たわいない会話で、トリー殿下は楽しそうに笑う。
ヘンリーがダンスが苦手で、俺とジョセフィンが練習相手で女性パートをやったという話をしただけで大受けだった。
「楽しそう!僕のその練習に加わりたい!」
「あの周りの人達が反対しない?」
「絶対反対する!」
ぷうっとほっぺたを膨らませた。
「特進科のダンスの授業はどんな感じ?」
「決まった令嬢達と踊るけど、皆上手だから。男性が女性パートを踊るとかも全然なくて。」
「まあ、特進科だったら、入学前にしっかりダンスレッスン受けてる人達ばっかりだよね。」
「そうなんだよね。いつも舞踏会みたい。」
「授業なんだし、ダンスが皆上手なのは悪くはないんだろうけどね。」
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