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第1章
第24話 作戦
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「な、なんだよ!お前ら!」
「提案にきたんですよ。オスカー・グリース子爵令息?」
話をしてみると、最初は一言言う度に怒鳴り散らして反発していたけど、オスカーの姉、イレーネの話を始めたら、顔色が変わっておとなしくなった。
姉を助けたいという気持ちが強かったようで、結婚を取りやめさせられるなら何でもする、とまで言いだした。
「お姉さんは、逃げた場合、仕事をする事は出来そう?」
「問題ない。姉はもともと文官になって家を出るつもりで頑張っていたんだ。それが、あの親父‥‥。」
「お姉さんに計画を伝えることはできる? 直接会ってでも、手紙でも。」
「俺が実家に帰った時に会うことはできる‥‥、手紙は、義母に読まれちまうから無理だ。」
「ちょくちょくは帰れないよね。何か手段を考えたいな。」
俺が、イレーネとの連絡方法を考えていると、それまで俯いていたオスカーが、勢い良く顔を上げた。
「なあ!本当にできるのかよ!ボック男爵家と、うちの子爵家両方に、経済的圧力を掛けるとか。何者だよ。」
「ああ、守秘の誓約書に署名してもらわないといけなかったんだ。」
俺がそういうと、ジョセフィンがさっと、書類を出した。署名をすると誓約魔法が発動する魔法陣入りの誓約書だ。俺の家と、ジョセフィンの家に関する事をしゃべれなくなる。
誓約魔法の魔法陣入りの書類を前にして、オスカーは一瞬、硬直した。だが、すぐに、さらさらと署名をした。
「署名したぞ。これで姉上を助けられるんだろうな。」
「両家に経済的圧力はかけるし、婚約解消するように話は持ちかける。でも、本当にグリース子爵がそれに応じるかは、子爵次第だよ。
あと、お姉さんが、計画通り逃げ出してくれるかどうかもお姉さん次第だし。」
「親父は‥‥、計画通りのことが起きたら、間違いなく応じる。姉上は‥‥、変に責任感強いところがあるからな‥‥、俺が説得する。」
「オッケー」
「軽いな。本当に大丈夫かよ。」
「あ、一個条件がある。」
「なんだよ。」
「鞄で殴った事、ジョスに謝って」
むかつく上級生でしかなかったオスカーが、素直にジョセフィンに頭を下げて謝罪をした。ジョセフィンは面と向かって頭を下げられるとちょっとくすぐったそうだった。
その後、俺の家について、告げると、なんだか呆れられた。
「いや、何で騎士科に入ってんの?御前。王子様じゃないか。」
「王子じゃないよ。」
「王弟殿下の子息だろう。」
「父は王族を離脱してるよ。」
「王位継承権はあるだろ。セロ殿下は第二王子だったから、継承権で言えばトリー殿下より上だろうが。」
「なんか、俺怒られてる?」
「お、怒ってはいないけどさぁ~」
はーっと溜め息をつくオスカー。
驚かれるかとは思っていたけど、こんなに呆れられるとは思わなかったよ。
「プリメレモン家って名乗ってんのは、面倒事を避けるためか。」
「うん、母方の実家。ミドルネームだから偽名じゃないよ。」
プリメレモン家は、母の実家の伯爵家だ。エルストベルクに隣接した領で、王都からかなり遠いので、どんなところか把握している人が少ないので、目立たないようにするにはちょうどいいのだ。
父と結婚したのが、父が辺境伯となってからだから、貴族の間でもあまり知られていないんだ。
オスカーは、俺の実家が、権力を持っていると知っても、呆れるだけで態度を変えたりしないようだ。
むしろ、ツッコミが激しくなっている。
ちゃんと話せばいいやつなのかもしれない。まあ第一印象は最悪だったけど。
おかげで話が非常にスムーズにすすんだ。
姉のイレーネを逃げ出しやすくさせるために、メイドを一人、グリース子爵家に送り込むことにし、その手引きをオスカーがしてくれることになった。
「給与は最安でいいんだろ。なら簡単さ。」
給与が払えなくて、使用人の数が極端に減っているから、寝食が確保できれば少しのお金でいいらしい、といって連れて行けば、すぐ雇われるだろうとのこと。
ちょっと心配になる。
オスカーの謹慎中に実家に戻ることも検討したが、謹慎中は反省文を毎日提出するなど制約もあるので、動きにくいからと、
謹慎明けに実家に戻り、姉に会い、計画を説明して説得するということになった。それ迄に、潜り込ませるメイドを手配するとしよう。
そうして謹慎が明け、一度実家に戻るといって、オスカーは帰省届けを出して、帰って行ったのだが、送り出したフリードリヒ先輩は、妙な顔をしていた。
「‥‥なんだろう。謹慎でオスカーの心境に何か変化が?妙にスッキリした顔をして‥‥。」
「心境に変化があったんなら、よかったんじゃないですか?」
「ああ、入学当初みたいになってくれるといいんだけどな」
フリードリヒ先輩は、オスカーが入学した当初から知っていたから、ずっと気にかけていたらしい。
「提案にきたんですよ。オスカー・グリース子爵令息?」
話をしてみると、最初は一言言う度に怒鳴り散らして反発していたけど、オスカーの姉、イレーネの話を始めたら、顔色が変わっておとなしくなった。
姉を助けたいという気持ちが強かったようで、結婚を取りやめさせられるなら何でもする、とまで言いだした。
「お姉さんは、逃げた場合、仕事をする事は出来そう?」
「問題ない。姉はもともと文官になって家を出るつもりで頑張っていたんだ。それが、あの親父‥‥。」
「お姉さんに計画を伝えることはできる? 直接会ってでも、手紙でも。」
「俺が実家に帰った時に会うことはできる‥‥、手紙は、義母に読まれちまうから無理だ。」
「ちょくちょくは帰れないよね。何か手段を考えたいな。」
俺が、イレーネとの連絡方法を考えていると、それまで俯いていたオスカーが、勢い良く顔を上げた。
「なあ!本当にできるのかよ!ボック男爵家と、うちの子爵家両方に、経済的圧力を掛けるとか。何者だよ。」
「ああ、守秘の誓約書に署名してもらわないといけなかったんだ。」
俺がそういうと、ジョセフィンがさっと、書類を出した。署名をすると誓約魔法が発動する魔法陣入りの誓約書だ。俺の家と、ジョセフィンの家に関する事をしゃべれなくなる。
誓約魔法の魔法陣入りの書類を前にして、オスカーは一瞬、硬直した。だが、すぐに、さらさらと署名をした。
「署名したぞ。これで姉上を助けられるんだろうな。」
「両家に経済的圧力はかけるし、婚約解消するように話は持ちかける。でも、本当にグリース子爵がそれに応じるかは、子爵次第だよ。
あと、お姉さんが、計画通り逃げ出してくれるかどうかもお姉さん次第だし。」
「親父は‥‥、計画通りのことが起きたら、間違いなく応じる。姉上は‥‥、変に責任感強いところがあるからな‥‥、俺が説得する。」
「オッケー」
「軽いな。本当に大丈夫かよ。」
「あ、一個条件がある。」
「なんだよ。」
「鞄で殴った事、ジョスに謝って」
むかつく上級生でしかなかったオスカーが、素直にジョセフィンに頭を下げて謝罪をした。ジョセフィンは面と向かって頭を下げられるとちょっとくすぐったそうだった。
その後、俺の家について、告げると、なんだか呆れられた。
「いや、何で騎士科に入ってんの?御前。王子様じゃないか。」
「王子じゃないよ。」
「王弟殿下の子息だろう。」
「父は王族を離脱してるよ。」
「王位継承権はあるだろ。セロ殿下は第二王子だったから、継承権で言えばトリー殿下より上だろうが。」
「なんか、俺怒られてる?」
「お、怒ってはいないけどさぁ~」
はーっと溜め息をつくオスカー。
驚かれるかとは思っていたけど、こんなに呆れられるとは思わなかったよ。
「プリメレモン家って名乗ってんのは、面倒事を避けるためか。」
「うん、母方の実家。ミドルネームだから偽名じゃないよ。」
プリメレモン家は、母の実家の伯爵家だ。エルストベルクに隣接した領で、王都からかなり遠いので、どんなところか把握している人が少ないので、目立たないようにするにはちょうどいいのだ。
父と結婚したのが、父が辺境伯となってからだから、貴族の間でもあまり知られていないんだ。
オスカーは、俺の実家が、権力を持っていると知っても、呆れるだけで態度を変えたりしないようだ。
むしろ、ツッコミが激しくなっている。
ちゃんと話せばいいやつなのかもしれない。まあ第一印象は最悪だったけど。
おかげで話が非常にスムーズにすすんだ。
姉のイレーネを逃げ出しやすくさせるために、メイドを一人、グリース子爵家に送り込むことにし、その手引きをオスカーがしてくれることになった。
「給与は最安でいいんだろ。なら簡単さ。」
給与が払えなくて、使用人の数が極端に減っているから、寝食が確保できれば少しのお金でいいらしい、といって連れて行けば、すぐ雇われるだろうとのこと。
ちょっと心配になる。
オスカーの謹慎中に実家に戻ることも検討したが、謹慎中は反省文を毎日提出するなど制約もあるので、動きにくいからと、
謹慎明けに実家に戻り、姉に会い、計画を説明して説得するということになった。それ迄に、潜り込ませるメイドを手配するとしよう。
そうして謹慎が明け、一度実家に戻るといって、オスカーは帰省届けを出して、帰って行ったのだが、送り出したフリードリヒ先輩は、妙な顔をしていた。
「‥‥なんだろう。謹慎でオスカーの心境に何か変化が?妙にスッキリした顔をして‥‥。」
「心境に変化があったんなら、よかったんじゃないですか?」
「ああ、入学当初みたいになってくれるといいんだけどな」
フリードリヒ先輩は、オスカーが入学した当初から知っていたから、ずっと気にかけていたらしい。
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