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第1章
第21話 家庭事情
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「‥‥あの人、どうにかなるんですか?」
「あの人? オスカーか‥‥。」
俺は家の力を使うとかは嫌だと思っていた。基本的には、だ。奴がこれ以上ジョセフィンに危害を加えようとするなら、話は別だと思っている。
「オスカーが水をかけた女生徒の家は、王宮の騎士の中でも権力がある。今迄問題を起こした事も含めて、父親に報告する、と彼女は言っていた。」
「それって、将来の就職先とかの事ですか。」
「そうだね。これ以上問題を起こすと、就職先はなくなるだろうね。今でももう、厳しいだろうけど。」
就職先をちらつかすことで、どうにかなるんだろうか。
全く希望がなくなっても、何するかわからなそうではあるけれど。
「それとは別に、また謹慎になると思うよ。」
「そうですか‥‥。」
ここで様子見としても、様子見は最後になるだろうな。
どうするのがよいか考えながら、俺は風紀室を後にした。
「あのオスカーって3年生。あまり家庭環境が良くないようです。」
「家庭環境?」
学園からの帰り、2番街の店舗兼住居に帰宅しようとしたら、ジョセフィンからエルストベルク邸に行きましょうといわれて、エルストベルクの屋敷に帰宅し、夕食を終えて、一息ついていると、ジョセフィンが、書類を持って来て言った。
「2年前に、後継者が異母弟に変更されています。」
ジョセフィンは既に色々調べさせていたらしい。それで屋敷の方に結果を受け取りに来たのか。
オスカー・グリースの父親、グリース子爵は、5年前に先妻を病で亡くし、再婚。相手の女性は子連れだったが、その子供はグリース子爵に顔がそっくりだったという。
どうやら、もともとグリース子爵の愛人だったらしいその女性との再婚後、オスカーとオスカーの一つ上の姉は冷遇されていたようだ。
2年前、連れ子の少年が、グリース子爵と同じ水属性で魔力が平均よりかなり高い事が判明すると、グリース子爵は、自分の子だった事が判明したと申請し、
魔力が多い事を理由に、後継者もオスカーから、その少年に変更してしまった。
更に姉は40歳年上の男性と婚約し、もうじき4人目の後妻となることになっている。もちろん、政略結婚だ。
オスカーは、入学当初はとても真面目な好青年だったそうだ。だが、入学して数ヶ月程立った頃、後継者入れ替えがあった頃に変わってしまったという。
何かと絡む相手は、「ちょっと育ちが良さそうに見えるお坊ちゃんタイプ」らしい。どうやら異母弟がそんなタイプのようだ。
「‥‥やめてくれよ。ボコれなくなるだろうが。」
さっきまで、どんな手を使ってボコッってやろうとか考えていたのに。
「家を潰して退学させてやろうかと思ってたけど、可哀想に思えてきた。」
「お人好しそうでいて、さらっと、えげつない事言いますね。」
「ジョスに危害を加えようとするからだ。」
「それは照れますな。」
オスカー・グリース自体を許した、とかではないが、彼を取り巻く環境への怒りを強く感じる。
「‥‥オスカーの姉の結婚はまだ?姉は実家に居るのか?」
「ええ、どうやら軟禁状態のようですね。元々は卒業と同時に結婚の予定だったようですが、延期になっているようです。」
「姉の人柄は?」
「え?そこですか?‥‥えーと‥‥、あまり交友関係は多くなく、情報が少ないですね。おとなしい人柄とはかかれています。」
「オスカーと姉の仲は?」
「それはちょっと‥‥今は情報がないです。集めますか?」
「うーん‥‥。」
俺は腕組みをして天井を仰いだ。
「何か悩んでます?」
ジョセフィンが不思議そうな声を出す。
「‥‥なんとかしてやりたい気持ちがあるんだけどさ。なんかやって人生変えちゃって責任持てるかなって。」
「いや、さっき、家潰して退学させるって言ってましたけど?」
「‥‥言ったけどさぁ‥‥。お姉さんとかも関わってくるじゃん。」
うーん、と考え込んでいると、ジョセフィンがお茶を入れかえてくれた。 熱い紅茶を一口飲み、深呼吸する。
「まずは出来る事を確認しよう。その上で、オスカーに提案する。」
「提案?」
「姉を助けてやるからおとなしくしろって。」
「ちょっ‥‥! 色々すっ飛ばして言わないでくださいよ!不穏ですよ!」
「あの人? オスカーか‥‥。」
俺は家の力を使うとかは嫌だと思っていた。基本的には、だ。奴がこれ以上ジョセフィンに危害を加えようとするなら、話は別だと思っている。
「オスカーが水をかけた女生徒の家は、王宮の騎士の中でも権力がある。今迄問題を起こした事も含めて、父親に報告する、と彼女は言っていた。」
「それって、将来の就職先とかの事ですか。」
「そうだね。これ以上問題を起こすと、就職先はなくなるだろうね。今でももう、厳しいだろうけど。」
就職先をちらつかすことで、どうにかなるんだろうか。
全く希望がなくなっても、何するかわからなそうではあるけれど。
「それとは別に、また謹慎になると思うよ。」
「そうですか‥‥。」
ここで様子見としても、様子見は最後になるだろうな。
どうするのがよいか考えながら、俺は風紀室を後にした。
「あのオスカーって3年生。あまり家庭環境が良くないようです。」
「家庭環境?」
学園からの帰り、2番街の店舗兼住居に帰宅しようとしたら、ジョセフィンからエルストベルク邸に行きましょうといわれて、エルストベルクの屋敷に帰宅し、夕食を終えて、一息ついていると、ジョセフィンが、書類を持って来て言った。
「2年前に、後継者が異母弟に変更されています。」
ジョセフィンは既に色々調べさせていたらしい。それで屋敷の方に結果を受け取りに来たのか。
オスカー・グリースの父親、グリース子爵は、5年前に先妻を病で亡くし、再婚。相手の女性は子連れだったが、その子供はグリース子爵に顔がそっくりだったという。
どうやら、もともとグリース子爵の愛人だったらしいその女性との再婚後、オスカーとオスカーの一つ上の姉は冷遇されていたようだ。
2年前、連れ子の少年が、グリース子爵と同じ水属性で魔力が平均よりかなり高い事が判明すると、グリース子爵は、自分の子だった事が判明したと申請し、
魔力が多い事を理由に、後継者もオスカーから、その少年に変更してしまった。
更に姉は40歳年上の男性と婚約し、もうじき4人目の後妻となることになっている。もちろん、政略結婚だ。
オスカーは、入学当初はとても真面目な好青年だったそうだ。だが、入学して数ヶ月程立った頃、後継者入れ替えがあった頃に変わってしまったという。
何かと絡む相手は、「ちょっと育ちが良さそうに見えるお坊ちゃんタイプ」らしい。どうやら異母弟がそんなタイプのようだ。
「‥‥やめてくれよ。ボコれなくなるだろうが。」
さっきまで、どんな手を使ってボコッってやろうとか考えていたのに。
「家を潰して退学させてやろうかと思ってたけど、可哀想に思えてきた。」
「お人好しそうでいて、さらっと、えげつない事言いますね。」
「ジョスに危害を加えようとするからだ。」
「それは照れますな。」
オスカー・グリース自体を許した、とかではないが、彼を取り巻く環境への怒りを強く感じる。
「‥‥オスカーの姉の結婚はまだ?姉は実家に居るのか?」
「ええ、どうやら軟禁状態のようですね。元々は卒業と同時に結婚の予定だったようですが、延期になっているようです。」
「姉の人柄は?」
「え?そこですか?‥‥えーと‥‥、あまり交友関係は多くなく、情報が少ないですね。おとなしい人柄とはかかれています。」
「オスカーと姉の仲は?」
「それはちょっと‥‥今は情報がないです。集めますか?」
「うーん‥‥。」
俺は腕組みをして天井を仰いだ。
「何か悩んでます?」
ジョセフィンが不思議そうな声を出す。
「‥‥なんとかしてやりたい気持ちがあるんだけどさ。なんかやって人生変えちゃって責任持てるかなって。」
「いや、さっき、家潰して退学させるって言ってましたけど?」
「‥‥言ったけどさぁ‥‥。お姉さんとかも関わってくるじゃん。」
うーん、と考え込んでいると、ジョセフィンがお茶を入れかえてくれた。 熱い紅茶を一口飲み、深呼吸する。
「まずは出来る事を確認しよう。その上で、オスカーに提案する。」
「提案?」
「姉を助けてやるからおとなしくしろって。」
「ちょっ‥‥! 色々すっ飛ばして言わないでくださいよ!不穏ですよ!」
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