3 / 324
第1章
第3話 入学説明会
しおりを挟む
そして、やってきた王都ドラン貴族学園の入学前説明会。
学園の門の前には馬車の列が延々と続いている。豪華な馬車。そこそこ年季が入っているけど立派な馬車。まあまあ豪華な馬車など色々。
王国の各地の貴族達が、馬車でやってきている。
門の所では、門番が馬車を止め、証明となるものの提示を求め、家柄を確認してから中に案内をしている。
スムーズに進めばいいが、待たされていた人が門番に文句を言って、余計に時間がかかったりしている。
徒歩で来た俺達。どうやって入ったらいいか分からなくて、馬車が門を通ったタイミングを見計らって、門番に話しかけた。
「徒歩で来ました。通っていいですか?」
「は?徒歩?」
次の馬車の確認をしようとした門番が、驚いたように振り向き、俺達を見ると、門の奥に声をかけた。
別の人が顔を出し、俺達を見て、ああって顔をする。
「お近くにお住まいなのですか?」
ジョセフィンが示した入学案内書を確認しながら、係員が言った。
「ええ。馬車で来ると混むとも聞いたし。」
「確かに混むんですけどね‥‥。」
係員の人が苦笑する。
「あ、徒歩で来てはまずかったですか。」
「いいえ。もちろん徒歩でいらっしゃっても構いません。ただ、ご覧の通り、馬車の往来が激しくなっていますので、お気をつけ下さい。
10年位前にもね、徒歩でいらした方がいましたよ。後で聞いたら、辺境伯のご令息だったとかで。高位貴族の方だったので驚きました。」
徒歩で来る人が、10年居なかったってこと?
しかも10年前の辺境伯令息って、兄上じゃね?
ちょっと微妙な顔になりながら、案内に続いて門をくぐり抜けた。
説明会が開催される講堂までたどり着くと、受付が有った。
受付に座っていたのは、緑の髪と髭をした大柄な男性だった。腕や胸の筋肉がもの凄い。袖口から見える腕の毛も緑でモサモサしている。
一瞬、緑の熊を思い浮かべてしまった。
「ようこそ。王都ドラン貴族学園へ。私は、ヴォルフガング・ヴェルデ。どうぞよろしく。入学案内書はお持ちですか?」
やや棒読み気味にいい、日焼けした肌に白い歯を覗かせて、ニッと笑う。
ヴェルデ伯爵家は、代々騎士団長を排出している家系だよな。この人も騎士なのかな。
「マーカス・プリメレモンです。」
俺は挨拶をして、入学案内書を出した。ジョセフィンも俺に続く。
「ジョセフィン・サリエットです。」
「プリメレモン家‥‥。サリエット家‥‥。どの辺かなぁ。ここから遠い?」
ヴォルフガングさんが家名に聞き覚えがないのか、首を捻る。
「ええ、ここからかなり南です。」
俺は母方の実家、プリメレモン伯爵家を名乗っている。面倒事が多いのでそうするようにと、父と兄に言われたのだ。
「そうかぁ。説明会の為にはるばる来たのかな。大変だったね。」
確かに大変だったので軽く頷いておいた。
学園の門の前には馬車の列が延々と続いている。豪華な馬車。そこそこ年季が入っているけど立派な馬車。まあまあ豪華な馬車など色々。
王国の各地の貴族達が、馬車でやってきている。
門の所では、門番が馬車を止め、証明となるものの提示を求め、家柄を確認してから中に案内をしている。
スムーズに進めばいいが、待たされていた人が門番に文句を言って、余計に時間がかかったりしている。
徒歩で来た俺達。どうやって入ったらいいか分からなくて、馬車が門を通ったタイミングを見計らって、門番に話しかけた。
「徒歩で来ました。通っていいですか?」
「は?徒歩?」
次の馬車の確認をしようとした門番が、驚いたように振り向き、俺達を見ると、門の奥に声をかけた。
別の人が顔を出し、俺達を見て、ああって顔をする。
「お近くにお住まいなのですか?」
ジョセフィンが示した入学案内書を確認しながら、係員が言った。
「ええ。馬車で来ると混むとも聞いたし。」
「確かに混むんですけどね‥‥。」
係員の人が苦笑する。
「あ、徒歩で来てはまずかったですか。」
「いいえ。もちろん徒歩でいらっしゃっても構いません。ただ、ご覧の通り、馬車の往来が激しくなっていますので、お気をつけ下さい。
10年位前にもね、徒歩でいらした方がいましたよ。後で聞いたら、辺境伯のご令息だったとかで。高位貴族の方だったので驚きました。」
徒歩で来る人が、10年居なかったってこと?
しかも10年前の辺境伯令息って、兄上じゃね?
ちょっと微妙な顔になりながら、案内に続いて門をくぐり抜けた。
説明会が開催される講堂までたどり着くと、受付が有った。
受付に座っていたのは、緑の髪と髭をした大柄な男性だった。腕や胸の筋肉がもの凄い。袖口から見える腕の毛も緑でモサモサしている。
一瞬、緑の熊を思い浮かべてしまった。
「ようこそ。王都ドラン貴族学園へ。私は、ヴォルフガング・ヴェルデ。どうぞよろしく。入学案内書はお持ちですか?」
やや棒読み気味にいい、日焼けした肌に白い歯を覗かせて、ニッと笑う。
ヴェルデ伯爵家は、代々騎士団長を排出している家系だよな。この人も騎士なのかな。
「マーカス・プリメレモンです。」
俺は挨拶をして、入学案内書を出した。ジョセフィンも俺に続く。
「ジョセフィン・サリエットです。」
「プリメレモン家‥‥。サリエット家‥‥。どの辺かなぁ。ここから遠い?」
ヴォルフガングさんが家名に聞き覚えがないのか、首を捻る。
「ええ、ここからかなり南です。」
俺は母方の実家、プリメレモン伯爵家を名乗っている。面倒事が多いのでそうするようにと、父と兄に言われたのだ。
「そうかぁ。説明会の為にはるばる来たのかな。大変だったね。」
確かに大変だったので軽く頷いておいた。
10
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説
死んだと思ったら異世界に
トワイライト
ファンタジー
18歳の時、世界初のVRMMOゲーム『ユグドラシルオンライン』を始めた事がきっかけで二つの世界を救った主人公、五十嵐祐也は一緒にゲームをプレイした仲間達と幸せな日々を過ごし…そして死んだ。
祐也は家族や親戚に看取られ、走馬灯の様に流れる人生を振り替える。
だが、死んだはず祐也は草原で目を覚ました。
そして自分の姿を確認するとソコにはユグドラシルオンラインでの装備をつけている自分の姿があった。
その後、なんと体は若返り、ゲーム時代のステータス、装備、アイテム等を引き継いだ状態で異世界に来たことが判明する。
20年間プレイし続けたゲームのステータスや道具などを持った状態で異世界に来てしまった祐也は異世界で何をするのか。
「取り敢えず、この世界を楽しもうか」
この作品は自分が以前に書いたユグドラシルオンラインの続編です。
異世界ハニィ
ももくり
ファンタジー
ある日突然、異世界へ召喚されてしまった女子高生のモモ。「えっ、魔王退治はしなくていいんですか?!」あうあう言っているうちになぜか国境まで追いやられ、隙あらば迫ってくるイケメンどもをバッサバッサとなぎ倒す日々。なんか思ってたのと違う異世界でのスローライフが、いま始まる。※表紙は花岡かおろさんのイラストをお借りしています。※申し訳ありません、今更ですがジャンルを恋愛からファンタジーに変更しました。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
大好きな母と縁を切りました。
むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。
領地争いで父が戦死。
それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。
けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。
毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。
けれどこの婚約はとても酷いものだった。
そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。
そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活
mio
ファンタジー
なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。
こうなったら仕方ない。とにかく、平和に楽しく暮らしていこう。
なぜ、少女は異世界へと連れてこられたのか。
自分の中に眠る力とは何なのか。
その答えを知った時少女は、ある決断をする。
長い間更新をさぼってしまってすいませんでした!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる