自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第7章

第455話 黒尽くめの痕跡

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宿に戻ってから、叔父様に悪の集団について報告をしに行った。
既にヤンティス君達からの証言を聞いていたのか叔父様は特に驚いた様子ではなかった。

「ヤンティス君達を救出した時に周辺を捜索したけれど、誰も見つからなかったんだ。
集会場に蛙魔獣を持ち込んだ奴らの仲間は何人か捕まえたけれど、
いずれも二人を追い回した覚えはないと言っているようだよ。」
「一味が嘘をついているってこと?」
「どうだろうね。追い回したのが貴族の子供だと気がついて黙っているかもしれないけれど、他にまだ仲間がいるかもしれないし。」
「そっかぁ‥‥。」
「村の警備は続けているからね。不審者を怖がらなくても大丈夫だよ。」
「うん。ありがとう。ヤンティス君達にも言っておくよ。‥‥あ、領地に帰るって言ってたんだった。」

ヤンティス君もマイルズ君も逃げるのに必死で、自分達を追い回した人物の顔は見ていないらしいし、既に捕まった悪の集団の一味の中に含まれているかは、顔を見てもわからないようだ。

そうだよね。黒尽くめで「イー!」って言っている人達の区別は付きにくいよね。

ちょっと気になったけど、悪の集団の親玉の悪の総帥も捕まっているんだし、もう心配はいらないのかな。あれこれ考えながら宿の部屋に戻った。

「プティ、ただいま。」
「にゃーん!」
(颯真にゃん。おかえりにゃん。)

部屋に入ると、プティがソファからトンと降りて、駆け寄ってきた。可愛い!
抱っこしたらゴロゴロと喉を鳴らしている。柔らかい毛並みに頬を埋める。日向ぼっこしてたみたいな匂いがした。

「プティ、今日の温泉蒸し料理は熱々で、プティ向きじゃなかったから、生の角サーモンをもらってきたよ。」
「にゃーん。」
(颯真にゃん。大好きにゃん。)

温泉蒸し料理のお店で密かに分けてもらった角サーモンをプティにあげる。
プティは嬉しそうに食べていた。

プティが角サーモンを食べ終わったら一緒にストレージルームに入る。

「黒尽くめの男達が映像に残ってないか、念の為見てみようか。」
「にゃ?」

プティと一緒にソファーに座った。偵察君で撮った映像を検索する。
場所は森で、日時はヤンティス君達が森に入っていた日。人を条件に入れてみようかな。

あの日は蛙魔獣を駆除する目的だったから、映像に映っているのは蛙魔獣ばっかりだ。
その中で人が映っている映像を検索してみたら、画面の端っこの方に黒っぽい人影が歩いている場面が出てきた。

「あれかな?悪の集団!」

森の中は暗いので、あまりはっきり映ってはいないけど、二人組の大人のようだった。
顔とかはぜんぜん見えない。蛙魔獣を持っているかはわからないけれど、大きな荷物を背負っているようだった。

「あ、ヤンティス君とマイルズ君だ。」

検索条件を「人」にしているからヤンティス君達が歩いている姿も表示された。それから叫びながら駆けていく場面。
ヤンティス君達があちこち逃げ回っている映像がしばらく続いた。
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