自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第7章

第452話 謝罪

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僕もラルフ君に促されて足湯スペースを目指した。ぞろぞろと裏庭に向かって行く僕達をヤンティス君がチラチラと見ていた。
ヤンティス君とマイルズ君、それとサミュエル君だけを残して、皆裏庭に出たら、ロルフ君がちょっとだけ引き返してサミュエル君に声をかけた。

「サミュエル君、足湯やろうよ。領地帰っちゃったら暫くできないでしょ。」
「‥‥あ、‥‥うん。」

サミュエル君が返事をした声がしたけど、僕は裏庭に出ちゃったから表情は見えなかった。
少しだけ間を置いて、サミュエル君が裏庭に出て来た。と、思ったらヤンティス君とマイルズ君も出て来た。

ニコラちゃんとミリーちゃんは何か言いたげにお互いに顔を見合わせたけど特に何も言わなかった。
どういう流れか微妙に良くわからないんだけど、ロルフ君がヤンティス君達にも声掛けしたみたいだ。
ロルフ君がテーブルを囲んでいる足湯スペースのところにヤンティス君達用に席を空けて、座るように促していた。

ヤンティス君は仏頂面だしマイルズ君もちょっと気まずそうな微妙な顔をしている。サミュエル君も複雑そうだ。
ラルフ君とロルフ君はニコニコしていた。

「まあ、足湯を楽しもうよ。ここの足湯って多分凄く人気が出ると思うんだよね。」
「そう‥ですか‥。」

ヤンティス君がちょっとオドオドしながらラルフ君とロルフ君を見た。ラルフ君達の方が年上だから気を遣っているのかな。

「次にアタムスン村に来た時には、人気過ぎて簡単には入れなくなってるかもよ。予約とかが一杯かも。」
「‥‥へえ‥‥。」
「あ、信用してないね!村のあちこちで建設中の建物だとか見たでしょう?宿だって新しく増やしているらしいよ。
そうなると保養地に来る人がどんどん増えるわけだよ。だから、今楽しんでおこうよ。」
「‥‥うん‥‥。」

ラルフ君とロルフ君に言われて、ヤンティス君とマイルズ君がおずおずと靴と靴下を脱いで、足湯に足を浸けた。
「僕も足湯しよ~。」

ギルベルト君がバチャっとお湯の中に足を突っ込んだ。ニコラちゃんとミリーちゃんは、足湯しない席。
女性だけの時だったら足湯するけど、って言っていたので無理に勧めなかった。
足湯しなくても雰囲気だけでも楽しいっていうんだけどね。
僕もお湯に足を浸けてお湯の中で足をプラプラ。

ボソボソとマイルズくんとヤンティス君が何か相談していると思ったら、二人がニコラちゃんとミリーちゃんに向かって言った。

「‥‥蛙魔獣で脅したりして悪かったよ。」
「まさか、あんなヤバいのだなんて思わなかったんだ。」

ペコリと頭を下げて謝罪した。ニコラちゃんとミリーちゃんは意外そうに目を見開いた。

「どうしたの?急に?」
「蛙魔獣がヤバいって良くわかったからさ‥‥。」

ヤンティス君とマイルズ君が顔を顰めた。ニコラちゃんとミリーちゃんはちらりとお互い目線を合わせた。それから頷いた。

「わかった。謝罪は受け入るわ。」
「私も。」
ニコラちゃんとミリーちゃんが謝罪を受け入れると言ったら、ヤンティス君とマイルズ君がホッとした顔をした。

「え?僕には?」
サミュエル君が、不満げに言う。ヤンティス君が肩を竦めた。

「何かあったっけ?」
「何かあったじゃないよ。君達が蛙魔獣持って来たとき、僕だって居たじゃないか。」
「居ただけじゃん。」
「はああ?」
「追い回したりもしてないし。‥‥してないよな?」
「してないけど‥‥。」
「じゃあ、いいじゃん。」
「むぅ‥‥。」

サミュエル君が口をへの字に曲げた。ニコラちゃんとミリーちゃんがちょっと笑った。
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