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第7章
第451話 会うと喧嘩?
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「ああ!お前達は!」
窓に近い日当りの良さそうな席でジュースを飲んでいたらしいヤンティス君とマイルズ君は、僕達がカフェに入ると、ハッとしてこちらを見た。
そしてヤンティス君が椅子から飛び降りて、仰々しく僕達を指差して来た。
「こんにちは。」
いきなり他人の事を指差すのはちょっとお行儀悪いんじゃないかなぁと思う。僕はちゃんとお行儀良くご挨拶しておこう。
「こ、こんにちは‥‥。」
反射的なのか、ヤンティス君が挨拶を返してくれた。目はキョロキョロと揺れていて挙動不審だ。
「ヤンティス‥‥。」
サミュエル君がボソリとヤンティス君の名前を呼んだ。ヤンティス君がギョロリと目を見開いた。
「‥‥サミュエル‥‥。」
「君の兄上と僕の姉上の婚約、解消になっちゃったね。」
「‥‥ああ‥‥。」
サミュエル君が言うと、ヤンティス君はちょっと機嫌悪そうに応えた。そうか、エッダさんとクラウスさんがもしも結婚していたら、二人は親戚同士になっていたんだね。
「‥‥兄上が見つかってないし、仕方ないだろ‥‥。」
「そう、だね‥‥。」
サミュエル君も、ちょっと気まずそうな表情だ。単に、婚約解消したっていうだけじゃなくて、クラウスさんがまだ行方不明なんだものね。
崖から落ちたって言う説もあるし、生死がはっきりしない状況で婚約解消って複雑だろうな。
「‥‥そっちにとっては良かっただろう? 兄上は帰ってくるかわからないんだし。」
ヤンティス君が口を尖らせながらいう。
「‥‥姉上は、ちゃんと話し合いたかったみたいだったんだけどね‥‥。」
「帰って来ないんだからしょうがないじゃないか!」
「うん‥‥。」
ヤンティス君がちょっと涙目になってる。
「ヤンティスぅ。もう止めようよぉ。」
ヤンティス君の背中に、マイルズ君が声をかけた。ヤンティス君がキッと,マイルズ君を振り返って睨みつけた。
「マイルズ。何で暢気にホットレモネード飲んでるだよ。」
「え‥‥。‥‥冷めちゃうから?」
「はぁ~~。」
ヤンティス君が深く溜め息をついた。マイルズ君がカップを置いて言った。
「ねえ、ヤンティス、明日帰るんだから、喧嘩しない方が良いんじゃない?」
「‥‥。」
マイルズ君の言葉に、ヤンティス君が苛立ったように顔を歪めた。サミュエル君が、少し首を傾げた。
「ヤンティスも、‥‥明日領地に帰るの?」
「ああ、‥‥サミュエルもか?」
「うん‥‥。なんだ‥‥。」
「なんだ、って、なんだ?」
「ヴァルガー家の人達と顔会わせるの気まずいから、帰るみたいなところあるのに。」
「それは、こっちの台詞だよ!」
サミュエル君とヤンティス君が言い合っている間に、誰かが店員さんに頼んだのか、裏手の足湯スペースに続くドアを店員のお姉さんが開いてくれた。
ラルフ君達が小さい声でお礼を言った。
サミュエル君を心配そうに見ているニコラちゃんとミリーちゃんの背中にロルフ君が手を添えて、裏庭へ行こうと促していた。
窓に近い日当りの良さそうな席でジュースを飲んでいたらしいヤンティス君とマイルズ君は、僕達がカフェに入ると、ハッとしてこちらを見た。
そしてヤンティス君が椅子から飛び降りて、仰々しく僕達を指差して来た。
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いきなり他人の事を指差すのはちょっとお行儀悪いんじゃないかなぁと思う。僕はちゃんとお行儀良くご挨拶しておこう。
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「ヤンティス‥‥。」
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「‥‥サミュエル‥‥。」
「君の兄上と僕の姉上の婚約、解消になっちゃったね。」
「‥‥ああ‥‥。」
サミュエル君が言うと、ヤンティス君はちょっと機嫌悪そうに応えた。そうか、エッダさんとクラウスさんがもしも結婚していたら、二人は親戚同士になっていたんだね。
「‥‥兄上が見つかってないし、仕方ないだろ‥‥。」
「そう、だね‥‥。」
サミュエル君も、ちょっと気まずそうな表情だ。単に、婚約解消したっていうだけじゃなくて、クラウスさんがまだ行方不明なんだものね。
崖から落ちたって言う説もあるし、生死がはっきりしない状況で婚約解消って複雑だろうな。
「‥‥そっちにとっては良かっただろう? 兄上は帰ってくるかわからないんだし。」
ヤンティス君が口を尖らせながらいう。
「‥‥姉上は、ちゃんと話し合いたかったみたいだったんだけどね‥‥。」
「帰って来ないんだからしょうがないじゃないか!」
「うん‥‥。」
ヤンティス君がちょっと涙目になってる。
「ヤンティスぅ。もう止めようよぉ。」
ヤンティス君の背中に、マイルズ君が声をかけた。ヤンティス君がキッと,マイルズ君を振り返って睨みつけた。
「マイルズ。何で暢気にホットレモネード飲んでるだよ。」
「え‥‥。‥‥冷めちゃうから?」
「はぁ~~。」
ヤンティス君が深く溜め息をついた。マイルズ君がカップを置いて言った。
「ねえ、ヤンティス、明日帰るんだから、喧嘩しない方が良いんじゃない?」
「‥‥。」
マイルズ君の言葉に、ヤンティス君が苛立ったように顔を歪めた。サミュエル君が、少し首を傾げた。
「ヤンティスも、‥‥明日領地に帰るの?」
「ああ、‥‥サミュエルもか?」
「うん‥‥。なんだ‥‥。」
「なんだ、って、なんだ?」
「ヴァルガー家の人達と顔会わせるの気まずいから、帰るみたいなところあるのに。」
「それは、こっちの台詞だよ!」
サミュエル君とヤンティス君が言い合っている間に、誰かが店員さんに頼んだのか、裏手の足湯スペースに続くドアを店員のお姉さんが開いてくれた。
ラルフ君達が小さい声でお礼を言った。
サミュエル君を心配そうに見ているニコラちゃんとミリーちゃんの背中にロルフ君が手を添えて、裏庭へ行こうと促していた。
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