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第7章
第434話 出禁ポヨン
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遊歩道を引き返しているとき、ラオウル君が周囲を見回して首を傾げた。
「来た時より静かな気がする。」
「そういえば、そうかも‥‥?」
ラルフ君とロルフ君が茂みの方に少し近付いてじっと覗き込んだ。
「行きの時はオタマジャクシ魔獣がチラッチラッと見えたけど、今は居ないかな。まあ、道まで出て来ないのならどっちでも良いんだろうけど。」
「誰か退治した後なのかねぇ。」
遊歩道の周辺の茂みにオタマジャクシ魔獣はいなくなったみたいだ。回収君を発動させておいたから効いたのかな。
良かった!
湖畔への分岐点まで戻って来た頃にはそろそろ日が傾き始めていた。
「まだ少し時間があるね。」
もう少ししたら帰らないと日が暮れそうだけど、湖畔まで行ってからすぐ戻ってくるくらいの時間はありそうだったのでちょっと見に行ってみることにした。
傾きかけた日の光を反射して、湖面がキラキラしている。前に来た時はお祭りみたいになっていたから、かなり落ち着いた雰囲気だ。
角サーモンが飛び跳ねたりもしていない。
でも、湖岸から釣りをしている冒険者が何人か居るので、釣れることは釣れるのかもしれない。
今日は気温も暖かめだし風もおだやかだし、のどかな雰囲気だなと思っていたら突然、バシャン!と大きな水音がした。
「なんだこりゃー!」
湖岸から湖の中にちょっと入ったところに冒険者が立っていて叫んでいる。いつのまに湖に入ったんだろう。
「おい!お前達なにやってんだよ!」
「早く湖から出ろ!」
釣りをしていた人達も驚いて怒鳴っている。
バシャーン!
湖面から急に角サーモンが飛び上がって角を冒険者に向かって突き出してきた。
「うわあ!」
とっさに背負っていた荷物で、防御しながら岸に向かって逃げ出した。途中で一人転んだ。
「ぎゃああ!」
「馬鹿早く逃げろ!」
転んだ冒険者のお尻を角サーモンの角がかすめたらしい。他の冒険者が釣り竿を振り回して角サーモンに打ち付けているうちに
這うようにして岸に上がってゴロゴロと転がりながら岸から離れた。
お尻を両手で押さえているけど、血が飛び散ったりしてはいないみたいだ。
「あれ?あの人達‥‥、さっきの?」
岸辺に転がっている冒険者達をじっとみてラルフ君が呟いた。
「あ、ヒョロ眼鏡?」
よく見ると、湖から出て来た冒険者達は、さっきダンジョンのトラップで出て来た後に僕達に絡んで来た人達みたいだった。
お尻を抑えている人は眼鏡がないけど、ヒョロ眼鏡の人っぽい。
「それと浅黒細マッチョと、デカ坊主‥‥。」
「ソーマ君‥‥。その呼び名、聞こえたらまた絡まれそうだよ。」
さっきまでダンジョンにいたはずの人達が、急に湖に出て来て一体何が起きたのか気にはなる。でも僕達が見ているのに気がついたらまた絡まれそうだったので、気付かれないうちにその場を後にすることにした。
『出禁ポヨン、罠ポヨン。』
去り際にプニョン君の念話が聞こえて来た。
どうやら、再入場した彼らをすぐにトラップに嵌めて、もう一度外に追い出したらしい。それでもまたダンジョンに入って来たので、ワープ池で湖に飛ばしたんだって。
『出禁ポヨン、出禁ポヨン!』
プニョン君としては、彼らはもう出入り禁止で、次に入って来てもすぐ追い出すつもりらしい。
『任せろコン!』
『出禁だぞぉ~!』
『ペン!』
『出すキュル!』
他のダンジョンマスターの張り切る声が聞こえて来た。面白がっているみたいだ。
僕が知っているダンジョンマスターのダンジョンだと、どこも同じように入ってすぐに追い出しちゃうようにするつもりらしい。
そこまでするかなぁと、ちょっと思ったりもするけど、トラップでダンジョン外に出ただけで怪我もしていないのに他の人に当たるのは、ダメってことかな。ダンジョンマスター的にアウトだったらしい。
「来た時より静かな気がする。」
「そういえば、そうかも‥‥?」
ラルフ君とロルフ君が茂みの方に少し近付いてじっと覗き込んだ。
「行きの時はオタマジャクシ魔獣がチラッチラッと見えたけど、今は居ないかな。まあ、道まで出て来ないのならどっちでも良いんだろうけど。」
「誰か退治した後なのかねぇ。」
遊歩道の周辺の茂みにオタマジャクシ魔獣はいなくなったみたいだ。回収君を発動させておいたから効いたのかな。
良かった!
湖畔への分岐点まで戻って来た頃にはそろそろ日が傾き始めていた。
「まだ少し時間があるね。」
もう少ししたら帰らないと日が暮れそうだけど、湖畔まで行ってからすぐ戻ってくるくらいの時間はありそうだったのでちょっと見に行ってみることにした。
傾きかけた日の光を反射して、湖面がキラキラしている。前に来た時はお祭りみたいになっていたから、かなり落ち着いた雰囲気だ。
角サーモンが飛び跳ねたりもしていない。
でも、湖岸から釣りをしている冒険者が何人か居るので、釣れることは釣れるのかもしれない。
今日は気温も暖かめだし風もおだやかだし、のどかな雰囲気だなと思っていたら突然、バシャン!と大きな水音がした。
「なんだこりゃー!」
湖岸から湖の中にちょっと入ったところに冒険者が立っていて叫んでいる。いつのまに湖に入ったんだろう。
「おい!お前達なにやってんだよ!」
「早く湖から出ろ!」
釣りをしていた人達も驚いて怒鳴っている。
バシャーン!
湖面から急に角サーモンが飛び上がって角を冒険者に向かって突き出してきた。
「うわあ!」
とっさに背負っていた荷物で、防御しながら岸に向かって逃げ出した。途中で一人転んだ。
「ぎゃああ!」
「馬鹿早く逃げろ!」
転んだ冒険者のお尻を角サーモンの角がかすめたらしい。他の冒険者が釣り竿を振り回して角サーモンに打ち付けているうちに
這うようにして岸に上がってゴロゴロと転がりながら岸から離れた。
お尻を両手で押さえているけど、血が飛び散ったりしてはいないみたいだ。
「あれ?あの人達‥‥、さっきの?」
岸辺に転がっている冒険者達をじっとみてラルフ君が呟いた。
「あ、ヒョロ眼鏡?」
よく見ると、湖から出て来た冒険者達は、さっきダンジョンのトラップで出て来た後に僕達に絡んで来た人達みたいだった。
お尻を抑えている人は眼鏡がないけど、ヒョロ眼鏡の人っぽい。
「それと浅黒細マッチョと、デカ坊主‥‥。」
「ソーマ君‥‥。その呼び名、聞こえたらまた絡まれそうだよ。」
さっきまでダンジョンにいたはずの人達が、急に湖に出て来て一体何が起きたのか気にはなる。でも僕達が見ているのに気がついたらまた絡まれそうだったので、気付かれないうちにその場を後にすることにした。
『出禁ポヨン、罠ポヨン。』
去り際にプニョン君の念話が聞こえて来た。
どうやら、再入場した彼らをすぐにトラップに嵌めて、もう一度外に追い出したらしい。それでもまたダンジョンに入って来たので、ワープ池で湖に飛ばしたんだって。
『出禁ポヨン、出禁ポヨン!』
プニョン君としては、彼らはもう出入り禁止で、次に入って来てもすぐ追い出すつもりらしい。
『任せろコン!』
『出禁だぞぉ~!』
『ペン!』
『出すキュル!』
他のダンジョンマスターの張り切る声が聞こえて来た。面白がっているみたいだ。
僕が知っているダンジョンマスターのダンジョンだと、どこも同じように入ってすぐに追い出しちゃうようにするつもりらしい。
そこまでするかなぁと、ちょっと思ったりもするけど、トラップでダンジョン外に出ただけで怪我もしていないのに他の人に当たるのは、ダメってことかな。ダンジョンマスター的にアウトだったらしい。
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