自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

第7章

第429話 ダンジョンへの道のり

「ユガーランは、アタムスンと比べて冒険者が多いところだよね。」
通りを歩いている人の大半は冒険者らしい格好をしている。普通に背中に斧とか背負って歩いていたりする。
そして、薄着だ。

まだ気温は低いのに、マッチョな胸板とか見せてたり、ノースリーブだったりっていう人が多い。
立ち飲みの店みたいなところがいくつかあって、昼間っからガハハって笑いながら呑んでいる人とかも多い。


「冒険者の人達は昼間は皆ダンジョンに行くのかと思ってた。」
「毎日行く訳じゃないと思うよ。身体を休めたり武器のメンテナンスをしたりもするでしょ。
人に寄ってペースは違うだろうけど、２日ダンジョンに行ったら1日休むとかさ。」
「それもそうか‥‥。」

皆が朝からダンジョンに行って夕方戻ってくるとかだと、ダンジョンに行列が出来ちゃうよね。
冒険者が通勤電車みたいに集団でダンジョンに向かっていく光景とかちょっと面白そうだけど

路地を抜けていって、ダンジョンに行く道と湖畔に向かう道の分岐点迄やって来た。
湖畔に向かう道より幅は広いけど、デコボコしている道が続いている。


店が建ち並ぶ通りに比べて、人通りが少ない。
「この時間にダンジョンに向かう人って少ないのかな。」
「ちょっと中途半端な時間なのかもね。昼食食べてからダンジョンっていう人ももう向かった後だろうし。」
「混んでいるより良いんじゃない？」
「それもそうか。」

少し歩いていくと、小さい門があって、門番が立っていた。
「ここから先は、厳密には村の外だよ。魔獣も出るかもしれないよ。」
「え？村の外なの？」
門の先には浅い森の中を切り開いたような道が続いていた。
聞いて見ると一応柵はあって大きな魔獣は出ないらしいけど、最近オタマジャクシ魔獣とかは時々出るらしい。
回収君の範囲の外だったのかな。それともまた増えちゃったんだろうか。もっと回収君を出動させないと！

道の脇の茂みからオタマジャクシ魔獣が飛び出してくる事が在るらしいと聞いて、
僕達は道の真ん中を歩いている。僕の両隣はリヒャルトさんとインゴさんがしっかりガードしてくれている。
でも、念の為偵察君も道に沿って沢山飛ばしておく。道にオタマジャクシ魔獣が飛び出して来たら、物理耐性ではね飛ばしちゃうようにしておこう。

バン！

ババン！

道を歩いていくと時々何かがぶつかるような音がした。

「あ、今、茂みのところにオタマジャクシ魔獣が見えた！」
「え？どこ？」
「飛んでったみたい。」

ラオウル君が、注意深く森の奥の方を見渡した。

「道にあまり出て来ないだけで、結構オタマジャクシ魔獣がいるのかな。」
パンッと音がした方を振り返って、ギルベルト君が訝しげな顔をした。
「ね。気をつけよう。‥‥多分、ダンジョンに行く冒険者の人達は、蹴散らしていくくらいなのかもね。」

ラルフ君とロルフ君はいつの間にか先頭と後方を守る様に歩いている。
ラオウル君は短剣の柄を握りしめている。