自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第7章

第428話 ダンジョン情報

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「ダンジョンの入り口近くが、囲いで覆われていて、ギルドの職員の人がギルド証をチェックしているんだって。正規登録前だけど、登録したら行きたいから見せて欲しいって頼めば、入り口が見えるところくらい迄は通してもらえるって言ってたよ。」
ラルフ君がニコニコして言った。

「混んでる時だと、入場する人の邪魔になっちゃうから、入場の列に並ばないでって言われたよ。」
ロルフ君が言う。

「ダンジョンに入る人が列になっちゃうくらい混んでいるの?」
「朝早くとかタイミングによっては混むらしいよ。」

ドロップ品っていうと、ダンレモとかダンミルかな。朝早くだとドロップしやすいとかあるのかな。今度プニョン君に聞いてみようかな。

情報を仕入れてくれたラルフ君達にお礼を言った。そして、ちょっと気になっていた事を訊いてみた。

「入り口のドアが変わったのって何でだか言ってた?」
「ドア?‥‥ああ、そういえば何か大きな字で書かれてたよ。『大きい素材を持って来たら無理に通らずに裏に回れ』って。誰か無理に通ろうとして壊したんじゃないの?」
「おお‥‥。あり得る‥‥。」

角サーモンくらいなら縦にすれば運び込めるだろうけど、レイクサーペントとかだったらアウトだよね。
僕は湖畔で見たレイクサーペントの頭を思い浮かべた。

「レイクサーペントの頭とかは無理だよね。」
「無理無理無理~。」
クスクスと皆で笑った。

ふと、インゴさんが立ち位置を移動したなと思ったら、誰かが近付いて来ていた。
冒険者なのかな。ちょっと神経質そうな感じの眼鏡の細マッチョな男性が、こちらを見ていた。
眼鏡マッチョな男性が僕達に話しかけてくる。

「君達、見習い冒険者かい?」

インゴさんがちょっと前に出て来て、警戒している感じになった。

「僕はそうですけど、正規冒険者も居ますよ?」
ラルフ君が、不審そうな表情をして答えた。

「そうか。装備がちょっと気になったからね。声をかけさせてもらった。正規冒険者も一緒だったら心配いらなそうだね。」

眼鏡マッチョがチラリと、手前のインゴさんに目線を走らせた。
どうやら、防具とかの装備が不十分な見習い冒険者っぽく見えたから声をかけてきたらしい。
見るからに大人のリヒャルトさんとインゴさんが一緒なのは気がついてたと思うんだけどな。

良くわからないままダンジョンの入り口を見に来たとか世間話っぽく話をして、その場を後にした。
冒険者ギルドの建物から離れた所まで来てから、ギルベルト君が口を開いた。

「さっきの人って冒険者ギルドの人っぽかったよね。僕らが何しに来たのか確認の為に声をかけてきたのかな。」
「ちゃんと正規冒険者が面倒みろって釘をさしてきたんじゃないかと思う。」

ラオウル君がチラリと後ろを振り返った。
そうなの?と思って、リヒャルトさんとインゴさんの顔を見たら、二人が頷いた。

「それと、情報を得るためでもあるのでしょう。トラブル防止の為かと。」
「トラブル?」

何のトラブル?って思ったら、正規冒険者じゃない貴族の子供がダンジョンに入らせろって言って来て揉めたり
ダンジョンじゃなくても、村の外で討伐しようとして無謀な行動にでて怪我をしたりするのを警戒しているのだろうって。

「貴族の子供って見てわかったのかな。」
「雰囲気で分かるんじゃ‥‥、でも滝の案内の時に、クラウスさん達は分かってなかったか‥‥。」

僕達は周囲に浮かないように冒険者っぽい格好はしているけど、戦う気満々って格好でないのは確かだ。
僕なんてナイフも身に付けてない。
ちょっと気になって、キョロキョロと周囲を見回した。もう少ししたら、ダンジョンに向かう道に出るところだけど、
手前にまだ防具屋さんとかがある。

「盾とか剣とか身に付けていた方が良い?」
「ちょうど良いのなんてパッと買えないよ。そもそも見るからに正規冒険者の年齢じゃないし、今更だと思うよ。」

貴族の子と見られていたら、ちょっと遠慮はされるだろうけど絡まれる事はあまりないだろうって話だ。
心配なのは、高価な物を持っていると思われてスリやひったくりにあったり、誘拐されたりというトラブルなので、そう言った事に気をつけていればよいんじゃないかっていうことになった。
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