自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

第7章

第422話 お出かけと食事会計画

護衛を沢山付けてもらったりしたら、出かけられない事もないけれど、どうしてもって用事でもないのに、それはちょっとね。
考えてみたら、オタマジャクシ魔獣が出没してから、ユガーランに出かけてないので、ちょっと久しぶりだ。

思い出したら角サーモンが食べたくなって来た。
「ユガーラン、行きたいね。角サーモン食べたい。」
「角サーモンは、アタムスンまで運ばれて来ているじゃん。」
「ユガーランだと屋台で焼いたのが食べられるでしょ。」
「ああ、あれ！美味しいよね！」

ギルベルト君の言う通り、ユガーラン村の角サーモンはアタムスンでも出回るようになって来た。朝食にも角サーモンのマリネが出て来ていたし。
でも、アタムスンには角サーモンの屋台は出ていないんだよね。そもそも屋台は冒険者向きという考えなのか、アタムスン村では屋台が出ているのはお祭りの時くらいだ。

屋台で焼いた熱々の角サーモンにダンレモを絞って食べるのが美味しいんだ。それも外で食べると、余計に美味しく感じる。

「うわぁ。屋台の角サーモン、食べたくなっちゃったじゃないか。」
ラルフ君が苦笑いした。
「外出許可、何時出るか聞いてみよう。」
ロルフ君がクスクス笑いながら言う。

早速宿に戻って、何時頃、村の外への外出ができそうか聞いて来ようということになった。
宿に向かって歩いていると、ニコラちゃん達の姿を見かけた。カイルさんとイーサンさんも一緒だった。

「あ！良いところに！」
籠のようなものを抱えていたニコラちゃんが笑顔を向けて来た。
カイルさんとイーサンさんも、麻袋のような物を抱えている。

「こんにちは。」
「こんにちは。」

一旦、キチンとご挨拶をする。ニコラちゃんの抱えていた籠の中がちらりと見えた。
「ダンレモ？」
「そうよ。お土産。」
「ああ‥‥。」

特産品の土産を買うということは、そろそろ領地に戻るということなんだろう。サミュエル君一家が近いうちに領地に戻るという話だったけど、
ニコラちゃん達ももう帰る準備をしているようだ。

「あのね。サミュエルが領地に帰る前に、お食事会をしようかって話なの。」
「そうなんだ。」
「あの、足湯ができるカフェのところが良いかなって、お母様が話してたから、多分カフェのところで開くと思うの。
ご招待したら皆来てくれるかしら。」
「え。僕達も呼んでくれるの？」
「うん。だけどね。すごーく手軽な感じなの。」

サミュエル君が帰ってしまうので、ニコラちゃんとミリーちゃんは、楽しいお食事会を開きたいらしいのだけど、
今はまだクラウスさんが見つかっていないから、エッダさん一家がパーティなどに出席をすると顰蹙を買ってしまう可能性ががある。
だから、ランチにカフェで少しだけ特別な料理を出してもらうというようなことをしたいらしい。

ニコラちゃん達が持っている「お土産」も、サミュエル君達に持たせて上げる目的で買って来たのだそうだ。
とはいえ、ニコラちゃん達も、あまり間を空けず帰る予定だそうだ。
カイルさん達は，春には学園に戻る予定だし。

寂しくなるなぁと思ったけど、考えてみたら僕達もずっとここに居るわけでもないんだよね。