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第7章
第399話 ゾンビダンサー
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「‥‥崖の下もみてみよう。」
崖の下に偵察君を飛ばした。崖の下は波が打ち付ける岩場になっていた。じわっと緊張してきた。胸がちょっとドキドキしてプティをぎゅっと抱きしめた。
ザサーン!ザザーン!
夜の海。暗くて不気味。この岩場に腐乱死体とかが‥‥。
脳内で、ズズズズズズと、岩場の隙間をこじ開けて這い出てくる黒ずんで骨張った手が思い浮かんだ。
ガッと、岩を掴むと、ズイズイズイズイと這い出てくる。岩場の陰から月光に照らされて、べっとりと濡れた髪が張り付いた頭が浮かび上がる。
ズズッ、ズズッ。ガッ!
ゾンビが顔を上げてこっちを見た!
「ヒャ!」
ゾンビは、岩の上によじ上るとグルリグルリと首をゆっくりと回した。所々骨が見えている、赤黒い腕を持ち上げると月光を浴びながら、タップダンスみたいなのを踊り始めた。
プティを抱えたまま、ソファーの上で後ろに倒れ込んだ。背もたれに凭れて膝を抱える。
「ゾンビダンサー~‥‥。」
「にゃーん。」
(颯真にゃん。何も映ってないにゃ。)
「うん‥‥。」
ストレージルームの壁に映し出された崖下の映像では、ただただ岩場に波が打ち付けられて、水しぶきが飛んでいるだけだった。
ふぅーっと大きく息を吐いて、ごろんとソファーの上で横になった。
「クラウスさん‥‥。ゾンビとかになっちゃったり‥‥。」
「にゃーん」
(ゾンビが怖いにゃ?)
「ゾンビっていうかね‥‥。人の死体とか見つけちゃうの怖いでしょ。それが知っている人だったら辛いし。誰かが誰かを殺すとかも‥‥。」
クラウスさんが崖から落ちたらしいって聞いたとき、会った事がある人が急に死んだとか信じたくなくて、あんまり考えない様にしてた。
どこかで生きていてひょっこり戻ってくるって思いたかった。
それが、「殺人事件」とかって話になって、知っている人がどんどん疑われていくなんて。
知っている人が、クラウスさんを殺したの?殺したい程嫌ってたの?‥‥怖いよね。そういう感情。
ズズズ
ストレージルームの壁に映し出されていた岩場の映像の中に何か動く影が見えた気がしてギョッとした。
「ゾンビダンサー?」
『ポヨン!』
プニョン君が岩場から顔を覗かせた。
脱力!
「プニョンくーん!海で何してるの?」
『お魚ポヨン。海ポヨン。』
プニョン君の姿が見えたので、念話で話しかけてみた。
海のお魚もダンジョンに引き入れてみたいんだって。ダンジョンのドロップでアジフライとか出て来たりするようになるかな。
「そこでお魚獲れそう?」
『罠ポヨン。釣りポヨン。』
岩場にワープ池を出して、魚が飛び込んでくるのを待ってみて、駄目そうなら釣り糸を垂らしてみるつもりらしい。
なんだか楽しんでいそう。
「その辺りは昼間とかは人が調査に来たりするかもよ。見つからないようにね。」
『ポヨン』
大丈夫みたいだ。あ、一応聞いてみよう。
「プニョン君、その辺にゾンビはいないよね?」
『ないポヨン。』
いないみたいだ。良かった!
プニョン君が、映像の中で触手のような物を出して、ひらひらと振った。
「現場からは以上です。」って言っているみたいで、面白くて,僕も映像に向かって手を振りかえした。
崖の下に偵察君を飛ばした。崖の下は波が打ち付ける岩場になっていた。じわっと緊張してきた。胸がちょっとドキドキしてプティをぎゅっと抱きしめた。
ザサーン!ザザーン!
夜の海。暗くて不気味。この岩場に腐乱死体とかが‥‥。
脳内で、ズズズズズズと、岩場の隙間をこじ開けて這い出てくる黒ずんで骨張った手が思い浮かんだ。
ガッと、岩を掴むと、ズイズイズイズイと這い出てくる。岩場の陰から月光に照らされて、べっとりと濡れた髪が張り付いた頭が浮かび上がる。
ズズッ、ズズッ。ガッ!
ゾンビが顔を上げてこっちを見た!
「ヒャ!」
ゾンビは、岩の上によじ上るとグルリグルリと首をゆっくりと回した。所々骨が見えている、赤黒い腕を持ち上げると月光を浴びながら、タップダンスみたいなのを踊り始めた。
プティを抱えたまま、ソファーの上で後ろに倒れ込んだ。背もたれに凭れて膝を抱える。
「ゾンビダンサー~‥‥。」
「にゃーん。」
(颯真にゃん。何も映ってないにゃ。)
「うん‥‥。」
ストレージルームの壁に映し出された崖下の映像では、ただただ岩場に波が打ち付けられて、水しぶきが飛んでいるだけだった。
ふぅーっと大きく息を吐いて、ごろんとソファーの上で横になった。
「クラウスさん‥‥。ゾンビとかになっちゃったり‥‥。」
「にゃーん」
(ゾンビが怖いにゃ?)
「ゾンビっていうかね‥‥。人の死体とか見つけちゃうの怖いでしょ。それが知っている人だったら辛いし。誰かが誰かを殺すとかも‥‥。」
クラウスさんが崖から落ちたらしいって聞いたとき、会った事がある人が急に死んだとか信じたくなくて、あんまり考えない様にしてた。
どこかで生きていてひょっこり戻ってくるって思いたかった。
それが、「殺人事件」とかって話になって、知っている人がどんどん疑われていくなんて。
知っている人が、クラウスさんを殺したの?殺したい程嫌ってたの?‥‥怖いよね。そういう感情。
ズズズ
ストレージルームの壁に映し出されていた岩場の映像の中に何か動く影が見えた気がしてギョッとした。
「ゾンビダンサー?」
『ポヨン!』
プニョン君が岩場から顔を覗かせた。
脱力!
「プニョンくーん!海で何してるの?」
『お魚ポヨン。海ポヨン。』
プニョン君の姿が見えたので、念話で話しかけてみた。
海のお魚もダンジョンに引き入れてみたいんだって。ダンジョンのドロップでアジフライとか出て来たりするようになるかな。
「そこでお魚獲れそう?」
『罠ポヨン。釣りポヨン。』
岩場にワープ池を出して、魚が飛び込んでくるのを待ってみて、駄目そうなら釣り糸を垂らしてみるつもりらしい。
なんだか楽しんでいそう。
「その辺りは昼間とかは人が調査に来たりするかもよ。見つからないようにね。」
『ポヨン』
大丈夫みたいだ。あ、一応聞いてみよう。
「プニョン君、その辺にゾンビはいないよね?」
『ないポヨン。』
いないみたいだ。良かった!
プニョン君が、映像の中で触手のような物を出して、ひらひらと振った。
「現場からは以上です。」って言っているみたいで、面白くて,僕も映像に向かって手を振りかえした。
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