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第7章

第397話 悪の集会

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「無精髭の旅人とかマッチョイケメンと同じような感じなんだけど‥‥。」
「マッチョイケメン?」
「あ、ちょっと話がそれちゃうかな。えーとね‥‥。色々思い浮かべていると出てくる人って言う意味。」
「ああ‥‥ふふ‥‥。」

叔父様がちょっと笑いを堪えたみたいにみえた。僕の妄想劇場のこと知ってたっけ?まあ、知っててもよいんだけど‥‥。

「それでね。なんだったかで、悪い人達のイメージが黒い服を来ていて,蛙魔獣を持ってる姿になったの。それが悪の集団。そのボスが悪の総帥なの。」
「ふふ。悪の集団は、どうして蛙魔獣を持ってるの?」

叔父様は面白そうに僕の話を聞いてくれていた。

「蛙魔獣を持ってたのは何となくだよ。悪い人達って感じがするでしょ。村の中に蛙魔獣を持ち込んで大混乱!とか。」
「‥‥そうだね。‥‥悪い人達はどうして、村に蛙魔獣を持ち込んで混乱させようとするのかな?」
「ええーー?」

どうして蛙魔獣を?理由を説明する場面とかなかったよ?僕は悪の集会を思い浮かべた。
黒いローブを着て顔には真っ赤なお面をつけている悪の総帥が、悪の集団の前で言うんだ。

『蛙魔獣で村を脅かせ!』
『イー!』
悪の集団が元気よくお返事する。

『村人は蛙魔獣にビックリして逃げ出すぞ!たっぷり脅かしてやれ!』
『イー!』
『村を支配するのだ!』
『イー!』
『温泉に行きたいかー!』
『イー!』
『ダンジョンに行きたいかー!』
『イー!』
『飲み放題!』
『イー!』
『食べ放題!』
『イー!』

悪の総帥のかけ声に合わせて悪の集団が腕を振り上げて雄叫びを上げる。最後は「イー!イー!イー!」って大合唱だ。

「悪の総帥は悪だからね!狙いは村の支配!温泉入り放題!飲み放題食べ放題!」

僕は悪の集団が腕を振り上げるのを真似して、腕を天井に向かって突き上げてみた。このポーズちょっと面白い!

「温泉ね‥‥。飲み放題食べ放題とは?何を飲んで食べるの?」
「うーん。飲むならダンレモネードかなぁ。さっぱりしててゴクゴク飲めるよね。食べるのは、角サーモン!美味しいよね!あと、ダンジョン行き放題!」
「なるほど。ダンジョンも狙いなのか。蛙魔獣でそれが可能になるのかな。」
「皆が、蛙魔獣が嫌だ~!って逃げ出したら、誰もいなくなるから‥‥。」

僕は、そう言っていたとき、ふと、ヤンティス君達が冬眠中の蛙魔獣を持って、ニコラちゃん達を追いかけ回していた光景を思い出した。
それと、オタマジャクシ魔獣の大量発生とか。ニコラちゃん達とか嫌がったよね。それに倉庫に居たオタマジャクシ魔獣が、飛び出していったら村中パニックになったかも。

「‥‥誰か、本当にこの村を狙ってるってこと? 蛙魔獣で?」

僕の呟きに叔父様は、顎に手をやり,思考を巡らせるように翠色の瞳を揺れ動かした。

「温泉とダンジョン狙いで、蛙魔獣で嫌がらせ。結果が得られるかはともかく、やろうとする事はあり得るかもね。」
「ええー?蛙魔獣もオタマジャクシ魔獣もあっと言う間に駆除されちゃったのに。」
「村の中ではね。それも、たまたま領主家の家族や親類が滞在していて騎士が多くいたから、早く駆除できたけど。普段の状況だったら、駆除も大変だったんじゃないかな。」

僕達が「温泉に行こう!」って話になって、母様も来たし、ラルフ君やロルフ君、ギルベルト君も誘ったから、辺境伯家とか侯爵家が集まって、護衛の騎士も沢山来たんだよね。
最近貴族の保養地になっていたから、僕達が来ていなくても貴族の人達はいたけど、護衛騎士の数とかはそこまで多くなかったと思う。

アタムスン村を観光地として発展させようとか考えたから、ゴリライケメンのガリオンさんとかも呼ばれたんだよね。
それまでは、冒険者ギルドの窓口しかなかったし、冒険者はほとんどがユガーラン村の方に集まってたから、村の中に魔獣が出たりしたらかなりパニックだったと思う。

「ええ~?悪の総帥みたいな人が本当にいるってことなの?」
「ソーマの妄想‥‥いや、想像と合っているかは判らないけどね。
ソーマの考える悪の総帥と、クラウス君のことは何か繋がりがあるの?」
「うーん‥‥。知っている人がどんどん疑われて行くから、ちょっと嫌だなって思ったんだ。疑われるならもっと悪そうな人なんじゃないのって思ったんだよ。
そこはね。根拠はないの。」
「そうか‥‥。」

叔父様は、蛙魔獣をばらまいているような人がいないか調査して見るって言っていた。
僕も探してみよう。
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