自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第7章

第391話 片足飛び競争

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目の前の建設予定地の周りをグルリと一周してきたギルベルト君が僕とラオウル君に話しかけて来た。

「どうしたのー?」
「あ、うん‥‥。」

もう一度二人組に目を向けると、建設予定地前から立ち去って行くところだった。

「あっちの建設予定地を見ている人達がいるなって思って‥‥けど、もう行っちゃった。」
「そっか。‥‥あ、あの人達?黒い服着てるね。ふふ、ソーマ君の事だから『悪の総帥が』って考えたんでしょ。」
「え?ええっ?そ、そこまで考えないよ。悪の集団のことはちょっと思い出したけど。」
「やっぱり。フフフ。」

ギルベルト君が笑い出し、僕とラオウル君も笑った。

それから、建設予定地の周りを僕も一周してみて、どんな施設になるかの予想を語り合った。僕は、スカッシュコートで沢山のボールが飛んでくるのを避ける遊びをする設備が欲しいといったら、ラルフ君達も興味を持ってくれた。もし、出来たら是非やってみたいって。叔父様に頼んでみよう。
もう、設計は終わってるんだろうけど、使えそうな部屋とかあるかもしれないし。

二つの建設予定地を見て回った後、特に目的地もきめずぶらりと歩いてみることにした。ラルフ君とロルフ君はまた側溝の脇の線の上を歩いていて、僕とギルベルト君とラオウル君は、片足飛びで誰が早く進めるか競争してた。
何回かやってみたけど、ラオウル君が一番早いみたいだ。

「けんけん飛びだと歩幅関係ないはずなのになぁ。」

ラオウル君は僕やギルベルト君に比べて背が高い。だから歩幅が広いんだよね。
でも片足飛びだと歩幅の問題じゃないよね。

「脚力じゃない?」

側溝の傍の線の上を歩いていたラルフ君が線の上を片足飛びしはじめた。着地でぐらっとしてバランスをとってる。

「おお!難易度が上がったよ!」
「僕もやってみよ。」

ロルフ君も片足飛びをはじめた。
線の上からはみ出さないで片足飛びをするのは結構難しいみたいだ。
試しにラオウル君も線の上を片足飛びして、僕とギルベルト君は線のない場所で片足飛び。これだと割と良い勝負かな。

「あれ?何やってるの?」

暫く片足飛びをしたり後ろ向きで歩いてみたりして遊んでいたら、声がかかった。
サミュエル君、ニコラちゃん、ミリーちゃん達だった。

「あ、こんにちは。」
「こんにちは。ねえ。どうして皆片足で飛んでいるの?足を怪我でもしたの?」

サミュエル君が不思議そうな顔をして聞いて来た。ニコラちゃんとミリーちゃんも頷いている。

「片足飛びで競争してただけだよ。」
「どういうこと?」

言葉で説明をしてもよくわからないみたいだったので、実演してみた。
僕とギルベルト君で、五メートルくらいは鳴れた木が生えているところまで、片足飛びで競争してみせた。実際に見てみたら納得したみたい。

「早さ比べなんだね!へえ!」
「面白そうだけど、皆速そう。」
「ね。」

サミュエル君は興味を持ったみたいだったけど、ニコラちゃんとミリーちゃんは顔を見合わせてちょっと引き気味で苦笑いっぽい感じ。体力勝負みたいなのは苦手みたいだ。

ニコラちゃんとミリーちゃんは一番年下だし女の子だからね。身体も小さいし、ヒラヒラした服を着ているから競争とかをするのは不利だよね。
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