自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第7章

第384話 薬草

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レイクサーペントの件で父様を連絡する事になって、ダンジョン鉄道で来てもらおうと思って臨時の到着駅を作ったんだった。
あ、臨時駅のままだったかな。正式な駅としても大丈夫かな。
ピン君のピン列車とプニョン君のワープ池を試して‥‥。

ふと、プニョン君のワープ池を使って、到着駅の外に出たときの事を思い出した。
クラウスさんとピンクサーモン令嬢を見かけたんだったよね。
あの時はまだ日の明るい時間帯だった。クラウスさんは夜に出かけたって言ってたから、ピンクサーモン令嬢と出かけた後に宿に戻っているはずだし関係ないかなと思ってたんだけど。

何となくその時の場面を思い出したんだ。

この付近に希少な薬草がある、みたいな事を言っていたのが、ちょっとだけ気になってたんだよね。

「なんの薬草だったかなぁ。」
「薬草?」

薬草に思いを馳せていたら、叔父様に聞き返された。思わず、口に出してしまってたみたいだ。
あ、だいぶ脱線しちゃってたかも。

「あ、お祭りの話じゃないよ。この辺に希少な薬草があるって、クラウスさんが言ってた気がして。」
「クラウス君が?」

叔父様が翠の瞳を見開いて、僕の顔を覗き込んだ。

「クラウス君が、薬草の事を言っていたの?」
「え、あ、お祭りの時じゃないよ。でも宿に薬草の絵があるとか話してたのを聞いたんだ。希少って言ってたから、何て言う薬草だったっけかなと思ったんだよ。
えーと、全然関係ない話題になっちゃってるよね。」

ダンジョン鉄道の事は、ナディアさんとかがいる前では出来ないし、僕がどうして薬草の事を考えていたかをこの場で説明できないよね。
ダンジョン鉄道の事はラルフ君達にもまだ言っていないんだった。ラオウル君は、ダンジョン列車に一緒に乗ったけど。

ラルフ君達にはそのうち言いたいなって思うけど、基本的にはダンジョン鉄道は「我が家の極秘事項」って事になっているんだ。

あ、ナディアさんが、興味深そうに僕の事を見てる。重要な事を言ったみたいな雰囲気になっちゃった。
どうしよう‥‥。

僕が戸惑っていると、叔父様が僕の頭をグリグリと撫でながら言った。

「クラウス君が薬草を採りに出た可能性があるかもね。もし、夜に宿を出たのが薬草を採りに行く為だったとしたら、夜に採取しやすい薬草かな。光るような‥‥。」
「‥‥あ、光る‥‥ヒカリなんとか‥‥。」

ヒカリなんとか?‥‥自分で言っていてなんだか引っかかったぞ。ヒカリ何とかって‥‥。他で聞いた気がする。

「‥‥。」

僕はごそごそと、マジック財布に手を突っ込んだ。ふと思い浮かんだのは、商店街で賞品用のミニダンレモを買ったときに一緒にかった薬草茶だ。
薬草茶の瓶をマジック財布から取り出して見た。じっと瓶を見る。

ーーーー薬草茶、にゃ。ヒカリネジマナ草入りニャ。飲むと魔力の回復が早くなるにゃ。ダンミルの方が美味しいニャ。

「ダンミルの方が美味しい!」
「ダンミル?」
「違った。ヒカリネジマナ草だった。」

鑑定さんが、ダンミルをアピールしているけど、気になったのは薬草の名前の方だったんだ。

「そうだった。多分、ヒカリネジマナ草だと思う。これって夜光ったりするの?」
「乾燥しているものは光らないけど、生えている時には日中に光りを蓄えていて、夜に花が光るんだったんじゃないかな。」

薬草の名前が判ってちょっとスッキリしていたら、ギルベルト君が僕の袖をちょっと引っぱった。

「ねえ、これ買ったときってさ、採取したばかりってお店の人が言ってなかった?」

それを聞いて、ラオウル君が「あ」と声を上げた。

「採取したのはクラウスさんだったりとか?」
「えー?この辺に生えている薬草なんだよね?採取してたとしても、手がかりになるかな? 他の人だって採取してるでしょ。」

ロルフ君がそう言った。
ラルフ君が腕組みをして、「ふーむ」と首をひねった。

「もし、祭りの日の夜にクラウスさんが薬草を採りに行ってたとして、採ってきた薬草を売りに行く先って、冒険者ギルドでしょう?
クラウスさんが売りに来ていたんだったら、ギルドの人だって証言するでしょ。これだけ捜索してるんだし。」
「だよねぇ。」

気になる所は確認をしておくということになって、叔父様が冒険者ギルドに訊いてくれることになった。
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