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第7章
第381話 倉庫
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僕達は何となく運営委員っぽい感じになっていた。
商会の人が中心になって運営しているのでそのお手伝い。
村の人達は試合で盛り上がっていたけど、練習して上手くなりたいって声も上がっているみたいなので、予約表を作成した。
時間単位で一組一台を予約。一日二コマまで予約できる、というようなルールを考えて行った。
この場所は、集会場なので他の用途でも使うから、テーブルボール場として利用出来る時間にだけ、予約ができるようにする。
大体は、早朝と日暮れ以降、それと週末だ。週末は練習用に解放する日と大会の日が交互に入るようにする。
「専用というか遊技場として使える所があるといいのにね。」
集会場で会議とかが行われないとはっきり判った日だけ、日中に予約が出来るとか、結構変則的になってしまうのを見て思う。
「温泉施設の所に遊戯室作るって聞いたけど。」
「それは有料になっちゃうよね。」
村の中に温泉施設の建設が始まっているのだけど、それは村の人や旅人がリーズナブルに温泉設備を利用出来るようにする為の場所で入場が有料になる。そんなに高いわけじゃないけど、村の子供が気軽に使える施設ではなくなっちゃう。
「うーん。村の予算に余裕ができてからだねぇ。」
傍で聞いていたビルさんが腕組みをしながら言った。
村の道の舗装は安全確保のために領主家が費用をだしたけど、村側も柵の補修だとかをしていているらしい。
村の費用で集会場を増設するのはまだ先になりそうだとのことだ。
天井に目をやったりしながら考えていた様子のビルさんが、ふと何か思いついたように顔を上げた。
「テーブルボール一台か二台分だったら、空き倉庫とかを使えないかな。」
ビルさんが思いついたのは、古い倉庫だそうだ。麦を保管していた場所だけど、雨漏りするようになって、別の倉庫を建てたのでそのまま使わなくなっていたらしい。
ビルさん的には、テーブルボールをやるだけなら、雨の日を避ければよいでしょうという考えのようだ。
「いやいや、雨漏り直した方が‥‥。」
雨漏りしないときに使うって言っても、置いてあるテーブルボール台がダメになっちゃっても困るよね。
「倉庫は思いつきだけどさ。空き家とか使えればそれでも良いけど‥‥。」
空き家や在ったとしても村が管理している所じゃなければ自由には使えないそうだ。直ぐに思いついたのが雨漏り倉庫だったようだ。
「ずっと雨漏りしてたんなら、中はかなり痛んでるんじゃないかな。‥‥見に行ってみようか‥‥。」
ちょうど決勝が終わったところだった。優勝は、お年寄り組の人。お年寄り組といっても白髪だけど筋肉隆々のオジサンだった。準優勝はなんとエマソン君だ。
メチャクチャ悔しそう。あ、準優勝は賞品ないんだったなぁ。
参加者にダンレモネードが配られ始めたら、皆笑顔。打ち上げみたいになった。
大会の後片付けとかは手伝わなくても大丈夫と言われたので、ビルさんと一緒に雨漏り倉庫を見に行くことにした。
「新しい倉庫を建てたんだから、壊しても良かったんだけどね。屋根を直して使おうだとか、色々意見もあってそのままになっていてね。」
一度村長宅に戻って鍵を取って来たビルさんが案内してくれることになった。
倉庫があるのは村長宅よりちょっと奥に入った所。倉庫の裏手は村の壁があってその先は森というような場所だ。
「テーブルボールやりたいっていう人達で、屋根を直すのとかどうだろう。」
「それはありだね。」
雨漏りしていてずっとほったらかされていた倉庫だから、中はカビとか生えてたりするかもしれない。
テーブルボールをする為に村の人が修繕に協力してくれたりすると良いよね。
そんな話をしながら歩いて行って、倉庫前に到着した。石造りで鍵のついた重たそうな扉がついている。
「扉がちょっと重いんですけどね。練習場として使うなら何とかした方がよいかもしれません。」
ビルさんはそう言いながら鍵を開けて、両手で扉を引っぱった。
ギギ‥‥。シュッ!
扉が少し開いたとき、扉の隙間から何かが飛び出して来た。
グイーン!リヒャルトさんが、僕を抱えて倉庫から離れた。目の端にインゴさんが,倉庫前で剣を振り下ろすのが見えた。
「早く閉めて!」
インゴさんの言葉を聞いて、ビルさんが慌てて倉庫の扉を閉めた。
倉庫の前にはあっという間に退治された数匹のオタマジャクシ魔獣が転がっていた。
商会の人が中心になって運営しているのでそのお手伝い。
村の人達は試合で盛り上がっていたけど、練習して上手くなりたいって声も上がっているみたいなので、予約表を作成した。
時間単位で一組一台を予約。一日二コマまで予約できる、というようなルールを考えて行った。
この場所は、集会場なので他の用途でも使うから、テーブルボール場として利用出来る時間にだけ、予約ができるようにする。
大体は、早朝と日暮れ以降、それと週末だ。週末は練習用に解放する日と大会の日が交互に入るようにする。
「専用というか遊技場として使える所があるといいのにね。」
集会場で会議とかが行われないとはっきり判った日だけ、日中に予約が出来るとか、結構変則的になってしまうのを見て思う。
「温泉施設の所に遊戯室作るって聞いたけど。」
「それは有料になっちゃうよね。」
村の中に温泉施設の建設が始まっているのだけど、それは村の人や旅人がリーズナブルに温泉設備を利用出来るようにする為の場所で入場が有料になる。そんなに高いわけじゃないけど、村の子供が気軽に使える施設ではなくなっちゃう。
「うーん。村の予算に余裕ができてからだねぇ。」
傍で聞いていたビルさんが腕組みをしながら言った。
村の道の舗装は安全確保のために領主家が費用をだしたけど、村側も柵の補修だとかをしていているらしい。
村の費用で集会場を増設するのはまだ先になりそうだとのことだ。
天井に目をやったりしながら考えていた様子のビルさんが、ふと何か思いついたように顔を上げた。
「テーブルボール一台か二台分だったら、空き倉庫とかを使えないかな。」
ビルさんが思いついたのは、古い倉庫だそうだ。麦を保管していた場所だけど、雨漏りするようになって、別の倉庫を建てたのでそのまま使わなくなっていたらしい。
ビルさん的には、テーブルボールをやるだけなら、雨の日を避ければよいでしょうという考えのようだ。
「いやいや、雨漏り直した方が‥‥。」
雨漏りしないときに使うって言っても、置いてあるテーブルボール台がダメになっちゃっても困るよね。
「倉庫は思いつきだけどさ。空き家とか使えればそれでも良いけど‥‥。」
空き家や在ったとしても村が管理している所じゃなければ自由には使えないそうだ。直ぐに思いついたのが雨漏り倉庫だったようだ。
「ずっと雨漏りしてたんなら、中はかなり痛んでるんじゃないかな。‥‥見に行ってみようか‥‥。」
ちょうど決勝が終わったところだった。優勝は、お年寄り組の人。お年寄り組といっても白髪だけど筋肉隆々のオジサンだった。準優勝はなんとエマソン君だ。
メチャクチャ悔しそう。あ、準優勝は賞品ないんだったなぁ。
参加者にダンレモネードが配られ始めたら、皆笑顔。打ち上げみたいになった。
大会の後片付けとかは手伝わなくても大丈夫と言われたので、ビルさんと一緒に雨漏り倉庫を見に行くことにした。
「新しい倉庫を建てたんだから、壊しても良かったんだけどね。屋根を直して使おうだとか、色々意見もあってそのままになっていてね。」
一度村長宅に戻って鍵を取って来たビルさんが案内してくれることになった。
倉庫があるのは村長宅よりちょっと奥に入った所。倉庫の裏手は村の壁があってその先は森というような場所だ。
「テーブルボールやりたいっていう人達で、屋根を直すのとかどうだろう。」
「それはありだね。」
雨漏りしていてずっとほったらかされていた倉庫だから、中はカビとか生えてたりするかもしれない。
テーブルボールをする為に村の人が修繕に協力してくれたりすると良いよね。
そんな話をしながら歩いて行って、倉庫前に到着した。石造りで鍵のついた重たそうな扉がついている。
「扉がちょっと重いんですけどね。練習場として使うなら何とかした方がよいかもしれません。」
ビルさんはそう言いながら鍵を開けて、両手で扉を引っぱった。
ギギ‥‥。シュッ!
扉が少し開いたとき、扉の隙間から何かが飛び出して来た。
グイーン!リヒャルトさんが、僕を抱えて倉庫から離れた。目の端にインゴさんが,倉庫前で剣を振り下ろすのが見えた。
「早く閉めて!」
インゴさんの言葉を聞いて、ビルさんが慌てて倉庫の扉を閉めた。
倉庫の前にはあっという間に退治された数匹のオタマジャクシ魔獣が転がっていた。
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