自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第7章

第362話 宿での待機

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サミュエル君達は叔父様と一緒に来た騎士達が宿まで送ってくれることになったのでカフェの前で別れを告げた。
宿まで戻る途中、人通りがない場所を選んで、オタマジャクシ魔獣討伐の時の騎士達の真似をしてみる。
傘を盾の様にして水を押し出すってやつ。ザザザーっと大きな泥水の波みたいなのが出来て面白い。

「うわー、僕もやってみたい!」

ギルベルト君が僕の真似をして傘盾術を始めた。
水たまりにオタマジャクシ魔獣が潜んでいたときに、避けられそうだって理由をつけて皆でかわるがわる傘盾術をやりながら宿までの道のりで遊んでいた。

雪が降っているような寒い日だったら、たとえオタマジャクシ魔獣や蛙魔獣が居ても活動が鈍くなって冬眠状態になるから、温水の場所等を避ければ危険はかなり少なくなるらしい。

でも、ちょっと気温が高い日だったのと、雨でオタマジャクシ魔獣が移動しやすくなっているということでアタムスン村に警戒警報が発動されてしまった。
「外出は控えて」だって。
宿に戻って暫くしたら、そんな連絡がきた。
‥‥というか決定したのは母様だったみたいだけど。

角狼と違って、狭い水路からでも村に入って来てしまうから、水路に鉄柵を設置したりとか色々対策を練るそうだ。
オタマジャクシ魔獣の移動ルートを確認するために、山の中に冒険者も沢山調査に出るらしい。

「うへぇ~。雨だから別に無理に出かけなくてもいいけどさ。長引いたらやだね。あ、プティちゃんお願い!」

宿の部屋で、プティちゃん双六をやりながら、ロルフ君がブツブツと呟いた。
外出自粛令が出たので、宿の中で過ごす事にしたのだけど、カードゲームか双六かということになって、プティちゃん双六をすることになった。

プティちゃん双六だと、素早さがちょっと上がったりとかするので、オタマジャクシ魔獣が出たときにも有利になるんじゃないかっていうのが双六を選んだ理由だった。

「雨が止んで水が引けば大丈夫でしょ。プティちゃんお願い。」
「でも雨が降り続けたりしたらさ‥‥、もしかして水路以外からも来たりしない?プティちゃんお願い!」
「うわぁ。どうなんだろ。プティちゃんお願い!」

「にゃーん」
(宿には来ないにゃ。お魚に似てるけど食べられないにゃ。)

僕達が「プティちゃんお願い」を言い続けていたので、プティが宿の周囲に来ない様に何かしてくれたらしい。
プティは窓辺でご機嫌そうに毛繕いをしていた。

何回かプティちゃん双六を繰り返した後、ラルフ君とロルフ君が揃って、伸びをした。

「あー、素早さ上がったら試したくなってくるなぁ。」
「でも外に出られないよねぇ。じっとしてなきゃと思うと、逆に身体動かしたくなるよ。」

ラオウル君が、宿内の案内が書かれたボードに目を向けた。

「ダンスルームとかあるみたいだけど。」
「えー、ダンスゥ?」
「誰も使ってなきゃ、ちょっと走り回る位は出来るんじゃない?」

ラルフ君が、ダンスルームと聞いてちょっと唇を尖らしたら、ギルベルト君が提案してきた。

「おお、どうだろう。広いのかな。」
「宿の中、あまり見て回ってないね。行ってみようか。」

急に思い立って、宿内探検?ダンスルームという所に行ってみる事にした。
双六を片付けてから、皆で連れ立って部屋を出て、宿の受付の所に行きダンスルームの場所を聞いた。

「ダンスルームは、こちらの通路をまっすぐに行って突き当たりを右に曲がった所にございます。ご使用になられますか?」

ダンスルームは無料で使用できるけど、予約制でドアに鍵がかかっているらしい。

「使うかはダンスルームがどんな感じか見てから決めたいんだけど。」

ラルフ君がそう言うと、宿の人が鍵を持って案内してくれることになった。
宿の人と一緒に行ってみて、ダンスルームの中の様子を確認して、使うってなったら鍵を渡してくれるということらしい。
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