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第7章
第356話 雨の日のお出かけ
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「ピンクサーモン令嬢は一緒じゃなかったのかな。」
「ピンクサーモン令嬢?‥‥ああ、髪の色かぁ。どうなんだろう。真っ先に訊きに行ってるんじゃないかな。」
「それもそうか。」
ギルベルト君と一緒にロビーまで様子を見に行ってみたら、もうレナードさん達は引き上げた後だった。母様に早く寝なさいって言われちゃったよ。
仕方ない、というか特にすることもないので部屋に戻ると、プティが駆けて来た。
「にゃにゃにゃにゃーーん」
(おかえりー)
「プティー。」
走るときに喉から錫がなるみたいにちょっと声がでちゃうの可愛い。トトトトって足音も可愛い。
「プティ可愛い。」
「にゃーん。」
(颯真にゃん。大好きにゃ。)
「えへへ。」
プティとゴロゴロしてたら、そのまま眠ってしまった。
翌朝、シトシトと雨の音と共に目が覚めた。思ったより薄暗い室内。窓の外を見ると、どんよりとした雲が敷き詰められた空。
「雨かぁ。」
雨だと、何処に行くのがいいのかな。後で皆と相談だなぁ。
そんな事を考えながら朝食の場に向かうと、皆同じような事を考えていたみたいだ。
「山道は雨だとぬかるむところもあるからね。遠出より近場の方がいいんじゃない?」
「近場って、村の中うろうろ?」
「うーん。」
ラルフ君達と、本日の予定に頭を捻る。
「雨の中の村の様子を見る、でもいいんじゃない?」
「そっか。何か発見が有るかもね。グルリと巡ってみようか」
「さんせー。」
雨の中出かけるので、雨具の準備。傘はエルスト商会謹製の魔道具。水耐性とか風魔法とか付与されていて「超撥水」のやつ。
傘も濡れないんだよ。それと、雨靴。こっちも水耐性付き。
準備万端え出かけようとしたら、母様に呼び止められた。
「あら、レインジャケットは着ていかないの?」
「傘があればいいかなって。そんなに激しい雨じゃないし。」
「傘は片手が塞がってしまうわよ。」
そう言われて、ふとリヒャルトさん達を見ると、黒いレインジャケットを羽織っていた。うわっ、格好良い!
傘で片手が塞がると何か有ったときに咄嗟に動きにくいから、基本は傘なしらしい。レインジャケットも魔法が付与されていて「超撥水」だ。
「‥‥僕もレインジャケット着ようかな。」
僕がそう言うと母様がニコリとした。僕のレインジャケットは水色でポンチョみたいになっているやつ。フード付きで羽織るとてるてる坊主みたいな感じがするんだけど
母様は、僕のレインジャケット姿が気に入っているみたいなんだ。
ちょっと子供っぽく見えるかなーって思うんだけどね。
襟元のボタンを外したままにしていたら、母様が襟元を直してくれた。
「ありがとう、母様。」
「ふふ。気をつけて行ってくるのよ。」
「はぁい。」
母様に挨拶してからロビーに向かった。
ロビーには、ギルベルト君とラオウル君が既に居た。ギルベルト君が僕を見て一言。
「あ、水の妖精ピチュリンの格好?」
「水の妖精?」
首を傾げると、王都のお芝居で、そういうキャラクターが出てくる舞台があるんだって。全身水色で、てるてる坊主風な感じの妖精らしい。
そうか、母様、そのお芝居知ってるんだな。
「ピンクサーモン令嬢?‥‥ああ、髪の色かぁ。どうなんだろう。真っ先に訊きに行ってるんじゃないかな。」
「それもそうか。」
ギルベルト君と一緒にロビーまで様子を見に行ってみたら、もうレナードさん達は引き上げた後だった。母様に早く寝なさいって言われちゃったよ。
仕方ない、というか特にすることもないので部屋に戻ると、プティが駆けて来た。
「にゃにゃにゃにゃーーん」
(おかえりー)
「プティー。」
走るときに喉から錫がなるみたいにちょっと声がでちゃうの可愛い。トトトトって足音も可愛い。
「プティ可愛い。」
「にゃーん。」
(颯真にゃん。大好きにゃ。)
「えへへ。」
プティとゴロゴロしてたら、そのまま眠ってしまった。
翌朝、シトシトと雨の音と共に目が覚めた。思ったより薄暗い室内。窓の外を見ると、どんよりとした雲が敷き詰められた空。
「雨かぁ。」
雨だと、何処に行くのがいいのかな。後で皆と相談だなぁ。
そんな事を考えながら朝食の場に向かうと、皆同じような事を考えていたみたいだ。
「山道は雨だとぬかるむところもあるからね。遠出より近場の方がいいんじゃない?」
「近場って、村の中うろうろ?」
「うーん。」
ラルフ君達と、本日の予定に頭を捻る。
「雨の中の村の様子を見る、でもいいんじゃない?」
「そっか。何か発見が有るかもね。グルリと巡ってみようか」
「さんせー。」
雨の中出かけるので、雨具の準備。傘はエルスト商会謹製の魔道具。水耐性とか風魔法とか付与されていて「超撥水」のやつ。
傘も濡れないんだよ。それと、雨靴。こっちも水耐性付き。
準備万端え出かけようとしたら、母様に呼び止められた。
「あら、レインジャケットは着ていかないの?」
「傘があればいいかなって。そんなに激しい雨じゃないし。」
「傘は片手が塞がってしまうわよ。」
そう言われて、ふとリヒャルトさん達を見ると、黒いレインジャケットを羽織っていた。うわっ、格好良い!
傘で片手が塞がると何か有ったときに咄嗟に動きにくいから、基本は傘なしらしい。レインジャケットも魔法が付与されていて「超撥水」だ。
「‥‥僕もレインジャケット着ようかな。」
僕がそう言うと母様がニコリとした。僕のレインジャケットは水色でポンチョみたいになっているやつ。フード付きで羽織るとてるてる坊主みたいな感じがするんだけど
母様は、僕のレインジャケット姿が気に入っているみたいなんだ。
ちょっと子供っぽく見えるかなーって思うんだけどね。
襟元のボタンを外したままにしていたら、母様が襟元を直してくれた。
「ありがとう、母様。」
「ふふ。気をつけて行ってくるのよ。」
「はぁい。」
母様に挨拶してからロビーに向かった。
ロビーには、ギルベルト君とラオウル君が既に居た。ギルベルト君が僕を見て一言。
「あ、水の妖精ピチュリンの格好?」
「水の妖精?」
首を傾げると、王都のお芝居で、そういうキャラクターが出てくる舞台があるんだって。全身水色で、てるてる坊主風な感じの妖精らしい。
そうか、母様、そのお芝居知ってるんだな。
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