自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第7章

第352話 角サーモン祭り

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お昼を食べた後は午後に何をするかの相談をした。
ユガーラン村はレイクサーペントが出たから早めに帰って来てしまったので、もう一度見に行っても良いかもなんて話をしていた。

「でも、レイクサーペントが討伐されたばかりなんでしょう?まだ騒がしいんじゃない?」
「そうだね‥‥。でもさ、もしかして今行けば討伐されたレイクサーペントが見れたりするかな。」
「えー?どうだろう。一晩経ってるし片付けてるんじゃない?」
「だって、メチャメチャ大きかったよね。」
「あーー‥‥。」

ふと、ゴリライケメン‥‥、ゴリオン‥‥ガリオンさんが猪魔獣の解体場所に困っていた時の事を思い出した。
ユガーラン村の冒険者ギルドも窓口しかなかったんだったよね。大きな魔獣の解体とかって出来るんだろうか。

「まだ片付けられていないならちょっと見てみたい‥‥。」
「見に行こうか。」

ユガーラン村の様子を見て野次馬が迷惑そうだったら引き返す事にして、行くだけ行ってみることにした。

今回は叔父様とジョスさんも一緒だ。ユガーラン村はレイクサーペントが出て混乱しているかもしれないから念の為だって。
ユガーラン村についてみたら、なんと祭りをしてた。
混乱というより大騒ぎだった。

湖の岸辺に、大きなレイクサーペントの頭がドーン!と転がっていて、その周りで、ワイワイと冒険者らしい人達が騒いでいる。
屋台がいくつも出ていて角サーモンの切り身を焼いたものなんかを売り出していた。

レイクサーペントの頭の周りは柵で囲まれていた。柵の周りに人が一杯いて資金距離だとあまり良く見えない。


「見ろよ!この切断面を!領主様がスパン!と真っ二つにしちまったんだぜ。」
「いくら魔法を放っても、びくともしない魔獣がねぇ。」
「流石辺境伯様だけのことはあるな。」

何人かの冒険者達がレイクサーペントの頭の周辺で、あれこれと父様の事を言っている。一応褒められているのかな?
皆、ジョッキを手にしていてちょっと酔っぱらっているっぽい。テンションが凄く高い。

「はー、しかし胴体は領主様に持って行かれちまったかぁ。ギルマスだって活躍したんだろう?ほら、目に槍が刺さった跡があるし。」
「そりゃ当然だろう。討伐した者が、獲物を持って行くのは当たり前の事だ。大物の魔獣なら、討伐した上で領主様に献上したりするんだぞ。
領主様が討伐したんなら、当然領主様が持って行くだろう。」

どうやら、レイクサーペントの胴体部分は父様が持って行ったらしい。多分大容量のマジックバッグを使ったんだろうな。

それでも、一番目立つ頭部分を置いていったんだね。お祭りを盛り上げるためかなぁ。

ジューっと角サーモンの切り身が焼ける音がする。香ばしい匂い。
塩を少しだけ振った角サーモンのロースト。それにダンレモという表面に弾力があって妙に柔らかい柑橘の果物の果汁を少しかける。
うん。レモン汁だね。美味しい!
ダンレモはダンジョンのドロップ品なんだって。プニョン君のダンジョンのドロップ品だからプニョプニョしてるのかな。

前回ピクニックしたときと違って、湖の岸辺は、人が一杯だった。人が少ない済みの方に移動したら叔父様が簡易ベンチを出してくれた。
さらに、折りたたみ式のテーブルも出してくれた。お皿持ったままだと飲み物持ちにくいし、テーブルが有ると便利だよね。
飲み物も、ダンレモを使ったダンレモネードが村の名物みたいだった。冬場はホットダンレモネードにして飲むらしい。

「ピクニックも楽しいけど、こういうのも良いね。」
「ね。二日続けてお祭りだけど違ってて楽しい。」

ラルフ君とロルフ君が角サーモンのローストを楽しみながら微笑んだ。
湖と岸辺に鎮座するレイクサーペントの頭。賑やかな湖畔を眺めながら、角サーモンを頬張る。うん。確かに良い感じ。
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