上 下
348 / 466
第7章

第348話 レイクサーペント討伐

しおりを挟む
父様とガリオンさんが何か話をしている様子も移っていた。少しして父様と騎士さん達、ガリオンさん、何人かの冒険者が湖畔に歩いていった。
騎士さん達はゴトゴトと装置を運んでいた。バリスタ?弩砲っていうのかな。それをいくつも湖の周りに配置している。
ガリオンさん達も荷車に何か乗せて来ていた。
水辺近くで荷車の上にかけていた布をはずした。

「うわっ」

布の下の積荷を見て思わず声を出しちゃった。角狼の死体が積み重なっている。何?どうするんだろう。
冒険者達が二人一組で、角狼の身体を持ち上げて、ポーンと湖に投げ込んだ。
ザブーン!大きな音がして水しぶきが散った。数秒後にザバーンと飛び出して来たのは魔魚。角サーモンだ。うわっ、角狼に喰い付いてる。

バシャーン!次々に角狼を放り込むと、角サーモンもバシャバシャと何匹も寄って来た。
ええー?角サーモンって角狼食べるの?
ビックリしてみていたら、水面に角サーモンよりずっと大きな影が浮かび上がって来た。

「来たぞ!」

ガリオンさんが大きな声で叫んだ。
次の瞬間、水面に大きな水しぶきが吹き上がって、レイクサーペントが姿を現した。でか!ぐわぁーっと大きな口を開けて角サーモンを呑み込んでいる。

「炎打て!」

父様が合図をすると三台の弩砲から一斉に炎の矢がレイクサーペントに打ち込まれた。

ギュォォォォ!!

「風打て!」
続いて、風魔法が付与された矢が発射された。

ギュォォォォ!!

レイクサーペントが唸るように声を上げ、身体をよじった。
立て続けに攻撃をされたレイクサーペントの喉付近に傷が出来ていた。と言っても傷が浅そうに見える。

ザシュ!!

レイクサーペントの喉付近が切り裂かれて血が吹き出た。うん?今のはどこから?
よく見えなかったので少し離れた位置からの映像に切り替えた。
父様が剣を持っているが見えた。父様が剣を振った瞬間に風がレイクサーペントの喉を切り裂いた。続いてさらに弩砲から追撃。
もう一度風の刃。

ギュォォォォ!ギュォ‥‥ッ。バシャーン!!
レイクサーペントの頭が水の中似た折れ込んだ。赤く色づいた水しぶきが高く跳ね上がった。
ガリオンさんが槍を持って飛び込んで行って、レイクサーペントの目につき立てた。
ギュォォ!
バシャン!!まだレイクサーペントがもがいて水しぶきを上げている。

そこに父様が突っ込んで行って、剣で直接斬りつけた。
バシャーン!
レイクサーペントの頭が水の中に落ちた。

「‥‥思ったより固かったな‥‥。」
父様が呟いたのが聞こえた。

「おおー父様凄い。」
「流石だねぇ。」

映像を見ていた叔父様が笑った。

「弩砲は火と風と二種類あったね。」
「よく見ていたね。レイクサーペントは魔法耐性が強いからね。特に水魔法耐性が強いので、火と風魔法を付与した物理的な矢で攻撃をしていたんだよ。」
叔父様が解説してくれた。

「組み合わせると強いの?でも父様の風の刃もかなり効いていたみたいだったよ。後、最後はスパッと剣で一撃じゃなかった?」
「弩砲で傷を作った所を狙っているから、余計に効いているんだと思うよ。‥‥兄上の攻撃は破壊力があるけどね。弩砲だけでももう少し時間をかければ討伐できるとは思うけど‥‥。うーん、魔獣の数が多いような場合はもっと弩砲の殺傷力を上げた方がいいね‥‥。」

叔父様は映像を見ながら呟いていた。弩砲は最近新しいのを作ったばかりだったので、お試しみたいな意味もあったんだって。もっと南の国境近い側のエリアは、レイクサーペント程大きいのはそう多くないけど、魔獣の数が多いらしい。それで、新しい弩砲を製作中なんだそうだ。

「こういった映像で確認できるのは凄く役に立つよ。すばらしいよソーマ。」
叔父様は僕の頭をグリグリと撫でてくれた。僕は叔父様を見上げて訊いてみた。

「殺傷力の強い武器を作ってみようか?」
僕がそう言うと、叔父様が僕の顔を覗き込んで翠の瞳で微笑んだ。

「ありがとう。でもね。武器は凝り出すと切りがないからね。ソーマは自由に物を作ってくれていいんだよ。その方がきっと面白い物ができるからね。これみたいに。」

そう言って叔父様は映像を映し出していたシーサーペントの革を指し示した。
画像の中ではレイクサーペントが首を切り落とされて動かなくなっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元おっさんは異世界を楽しむ

たまゆら
ファンタジー
不慮の事故によって死んだ須藤ナイト(45)は16歳に若返って新たな世界に転移する。 早々に人狼の幼女達と出会ったナイトは、とりあえず幼女の村で世話をしてもらうことになる。 と、思いきや、幼女の村に強大なモンスターが襲撃してきて……。 そんなドタバタな始まりを迎えるも、元おっさんの異世界生活は順調です!

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

幼馴染みが婚約者になった

名無しの夜
ファンタジー
 聖王なくして人類に勝利なし。魔族が驚異を振るう世界においてそう噂される最強の個人。そんな男が修める国の第三王子として生まれたアロスは王家の血筋が絶えないよう、王子であることを隠して過ごしていたが、そんなアロスにある日聖王妃より勅命が下る。その内容は幼馴染みの二人を妻にめとり子供を生ませろというもの。幼馴染みで親友の二人を妻にしろと言われ戸惑うアロス。一方、アロスが当の第三王子であることを知らない幼馴染みの二人は手柄を立てて聖王妃の命令を取り消してもらおうと、アロスを連れて旅に出る決心を固める。

【北の果てのキトゥルセン】 ~辺境の王子に転生したので、まったり暮らそうと思ったのに、どんどん国が大きくなっていく件について~

次元謄一
ファンタジー
タイトル変更しました→旧タイトル 「デッドエンドキングダム ~十五歳の魔剣使いは辺境から異世界統一を目指します~」 前世の記憶を持って生まれたオスカーは国王の落とし子だった。父の死によって十五歳で北の辺境王国の統治者になったオスカーは、炎を操る魔剣、現代日本の記憶、そしてなぜか生まれながらに持っていた【千里眼】の能力を駆使し、魔物の森や有翼人の国などを攻略していく。国内では水車を利用した温泉システム、再現可能な前世の料理、温室による農業、畜産業の発展、透視能力で地下鉱脈を探したりして文明改革を進めていく。 軍を使って周辺国を併合して、大臣たちと国内を豊かにし、夜はメイド達とムフフな毎日。 しかし、大陸中央では至る所で戦争が起こり、戦火は北までゆっくりと、確実に伸びてきていた。加えて感染するとグールになってしまう魔物も至る所で発生し……!? 雷を操るツンデレ娘魔人、氷を操るクール系女魔人、古代文明の殺戮機械人(女)など、可愛いけど危険な仲間と共に、戦乱の世を駆け抜ける! 登場人物が多いので結構サクサク進みます。気軽に読んで頂ければ幸いです。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

【完結】猫化の呪い持ちを隠して嫁がされたのに何故か溺愛されています!

長船凪
恋愛
ヴィルシュテッター帝国、ゼーネフェルダ子爵家の長女にとして生まれたエリアナ・ド・ゼーネフェルダ。 満月の晩に獣に変身する(猫耳に尻尾を持つ姿)呪い持ちの子爵令嬢。 旦那様は竜族の血を引子孫のゴードヘルフ・ラ・クリストロ小公爵。 そこに嫁ぎ、子を産むと早死にすると世間では恐れられていた。 今の公爵夫人は再婚で二人目。 呪い持ちを隠して輿入れさせられたのは、父が事業に失敗したあげく、カジノで起死回生を狙うも失敗し、借金が増えた為。 そんな中、不意に届けられた竜族の血を引く一族の末裔、クリストロフ公爵家からの子爵家への求婚状。 何故か子爵家の令嬢なら誰でも良いような書き方で、しかし結婚支度金が多く、金に目が眩んだ子爵は即、娘を売り飛ばすことにした。 しかし、満月の夜にケモ耳っ娘に変身する呪い持ちのエリアナだったが、実はある特殊な権能があった。その権能はデメリットつきではあるが、夢の中の図書館にて異世界の記録、物語、知識等を得られるものであった。 *カクヨム等で先行投稿しています。

召喚されたけど不要だと殺され、神様が転生さしてくれたのに女神様に呪われました

桜月雪兎
ファンタジー
召喚に巻き込まれてしまった沢口香織は不要な存在として殺されてしまった。 召喚された先で殺された為、元の世界にも戻れなく、さ迷う魂になってしまったのを不憫に思った神様によって召喚された世界に転生することになった。 転生するために必要な手続きをしていたら、偶然やって来て神様と楽しそうに話している香織を見て嫉妬した女神様に呪いをかけられてしまった。 それでも前向きに頑張り、楽しむ香織のお話。

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

処理中です...