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第7章
第341話 肉祭り
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少し早めにもどったアタムスン村では、村の中心部の広場の辺りに人が集まってきていて賑やかになっていた。
広場の中心で火が焚かれていて、周辺に屋台みたいな物が出ている。
「あれ?何かお祭り?」
「あ、あれじゃない?肉!」
ギルベルト君が指差した先を見ると、大きな肉がつり下げられているのが見えた。
「あ、猪魔獣の肉かぁ。」
ガリオンさんから提供された猪魔獣の肉が、振る舞われるようだ。ついでに飲み物だとか他の食べ物を売る屋台とかも出ている。
「あ!昨日の!」
「こんにちは!」
声をかけられて振り向くと、サミュエル君とニコラちゃん、ミリーちゃんが居た
「こんにちは。お祭りが開かれるみたいだね。」
「そうなの!楽しみ!あ、お兄様達!」
ニコラちゃん達が広場の入り口の方を見て手を振った。見るとイーサンさんとカイルさんが手を振り返してこちらの方に向かって歩いて来た。
イーサンさん達は僕達がいる事に気がついて、挨拶をした。
「やあ、こんにちは。君達もお祭りに?」
「何か賑やかだなと思って来てみました。」
「そうか。昨日のギルドマスターが狩った猪魔獣の肉が振る舞われるらしいよ。急遽祭りにしたらしい。」
「お肉以外にも屋台が出てますね。」
「ああ、領主夫人から振る舞い酒も出るそうだよ。酒以外にも花茶もあるそうだ。花茶は飲んだ事あるかな。」
「ないと思います。どんなのですか?」
「俺も飲んだ事ないんだが、春先に咲く花を塩漬けにして湯を注いだものらしい。この地域で咲く花なんだとさ。」
「へぇ~。」
領主夫人からのお酒ってことは、母様が「お祭りしなさい」ってお酒を提供したのかな。今朝そんな事言ってなかったのになぁ。
急に思いついたのかなぁ。母様ならあり得る。
花茶というものを配り始めたというので、試しに貰って飲んでみた。
カップの中にうっすらとピンク色をした花が浮いている。そして独特の少し甘めな香り。この香り知ってる!
桜茶だ。お湯の中に浮いている花は桜みたい。違うかもしれないけどきっと似たお花だと思う。うわぁどんな花なんだろう。春先に来たらお花見できるかな。
ホカホカの花茶を広場の様子を眺める。まだ準備中の屋台もある。広場の奥のちょっと高い壇になっているところにひょろりとした男性が登った。
村長さんらしき人がお祭り開催の挨拶をしている。
「え~、この村についに冒険者ギルドの支部が出来る事になりました。そして、ギルドマスターに就任予定である、エヴァンス・ガリオン様が猪魔獣を狩り、そのお肉を村の皆さんのために提供してくださいました。」
わぁっと広場に歓声が上がった。村長さんらしき人は、きょろりきょろりと視線を動かしている。
あれ?もしかしてガリオンさんは、この場にいる予定だったのかな。
レイクサーペントが出現しなかったら、アタムスン村に戻っていた頃だったのかもしれない。
「‥‥えー、ガリオン様が戻られましたら、改めて盛大な拍手で迎えましょう。」
村長さんがそう言うと、パチパチと拍手が鳴り響いた。
「そっか。冒険者ギルドとギルドマスターが村に受け入れられる様にする為のお祭りなんだね。」
ラルフ君が顎に手を当てて言った。同じ姿勢でロルフ君が頷いた。
「そうだね。ギルド支部が出来たら、村に来る冒険者も多くなるだろうし、印象良くしておきたかったのかも。」
「ガリオンさん、戻って来てないけどねぇ。」
大きな串に刺された肉が焼かれ始めて美味しそうな匂いが漂って来た。
壇上には若い男性達が上がって来て楽器を奏で始めた。軽快な音色が響いてよい雰囲気。
ダンスを踊り始めている人達もいる。
広場の中心で火が焚かれていて、周辺に屋台みたいな物が出ている。
「あれ?何かお祭り?」
「あ、あれじゃない?肉!」
ギルベルト君が指差した先を見ると、大きな肉がつり下げられているのが見えた。
「あ、猪魔獣の肉かぁ。」
ガリオンさんから提供された猪魔獣の肉が、振る舞われるようだ。ついでに飲み物だとか他の食べ物を売る屋台とかも出ている。
「あ!昨日の!」
「こんにちは!」
声をかけられて振り向くと、サミュエル君とニコラちゃん、ミリーちゃんが居た
「こんにちは。お祭りが開かれるみたいだね。」
「そうなの!楽しみ!あ、お兄様達!」
ニコラちゃん達が広場の入り口の方を見て手を振った。見るとイーサンさんとカイルさんが手を振り返してこちらの方に向かって歩いて来た。
イーサンさん達は僕達がいる事に気がついて、挨拶をした。
「やあ、こんにちは。君達もお祭りに?」
「何か賑やかだなと思って来てみました。」
「そうか。昨日のギルドマスターが狩った猪魔獣の肉が振る舞われるらしいよ。急遽祭りにしたらしい。」
「お肉以外にも屋台が出てますね。」
「ああ、領主夫人から振る舞い酒も出るそうだよ。酒以外にも花茶もあるそうだ。花茶は飲んだ事あるかな。」
「ないと思います。どんなのですか?」
「俺も飲んだ事ないんだが、春先に咲く花を塩漬けにして湯を注いだものらしい。この地域で咲く花なんだとさ。」
「へぇ~。」
領主夫人からのお酒ってことは、母様が「お祭りしなさい」ってお酒を提供したのかな。今朝そんな事言ってなかったのになぁ。
急に思いついたのかなぁ。母様ならあり得る。
花茶というものを配り始めたというので、試しに貰って飲んでみた。
カップの中にうっすらとピンク色をした花が浮いている。そして独特の少し甘めな香り。この香り知ってる!
桜茶だ。お湯の中に浮いている花は桜みたい。違うかもしれないけどきっと似たお花だと思う。うわぁどんな花なんだろう。春先に来たらお花見できるかな。
ホカホカの花茶を広場の様子を眺める。まだ準備中の屋台もある。広場の奥のちょっと高い壇になっているところにひょろりとした男性が登った。
村長さんらしき人がお祭り開催の挨拶をしている。
「え~、この村についに冒険者ギルドの支部が出来る事になりました。そして、ギルドマスターに就任予定である、エヴァンス・ガリオン様が猪魔獣を狩り、そのお肉を村の皆さんのために提供してくださいました。」
わぁっと広場に歓声が上がった。村長さんらしき人は、きょろりきょろりと視線を動かしている。
あれ?もしかしてガリオンさんは、この場にいる予定だったのかな。
レイクサーペントが出現しなかったら、アタムスン村に戻っていた頃だったのかもしれない。
「‥‥えー、ガリオン様が戻られましたら、改めて盛大な拍手で迎えましょう。」
村長さんがそう言うと、パチパチと拍手が鳴り響いた。
「そっか。冒険者ギルドとギルドマスターが村に受け入れられる様にする為のお祭りなんだね。」
ラルフ君が顎に手を当てて言った。同じ姿勢でロルフ君が頷いた。
「そうだね。ギルド支部が出来たら、村に来る冒険者も多くなるだろうし、印象良くしておきたかったのかも。」
「ガリオンさん、戻って来てないけどねぇ。」
大きな串に刺された肉が焼かれ始めて美味しそうな匂いが漂って来た。
壇上には若い男性達が上がって来て楽器を奏で始めた。軽快な音色が響いてよい雰囲気。
ダンスを踊り始めている人達もいる。
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