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第7章
第324話 蛙魔獣の目覚め
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「マイルズ、ヤンティス!やめとけよ!もう~!冬眠中の蛙魔獣なんて女の子にウケないって!」
現れたのは、朱色の髪の男の子。
先に来ていた男の子二人が、朱色の髪の子の方を振り向いた。
「サミュエル、君はそうやってすぐ女子の味方につこうとするよな。」
「誰の味方かどうかじゃないよ。蛙魔獣はダメだって!臭いし!」
反論されてサミュエル君はちょっと呆れた様子で言った。
彼らが話している間に、リヒャルトさんとインゴさんは僕達にレモネードのカップを配って、お姉さんから残りの二つのカップも受け取っていた。
ホットレモネードはまだホカホカだった。良かった!甘酸っぱくて美味しい!温度もちょうど飲み頃だ。
でも、ちょっと冬眠中の蛙魔獣は気になるなぁ。
どうやら蛙魔獣を持った彼らから逃げてこちらまで走ってきたらしい令嬢二人は、少し離れた位置に立ち止まっていた。そして困った顔で男の子達を見つめている。
「蛙魔獣だけじゃないんだ。蛙魔獣の卵もあるんだよ。」
「やめてよ!マイルズ!サイテー!」
「ホント、嫌!」
持っていたバケツを突き出して、蛙魔獣の卵を見せたらしいマイルズ君は令嬢に非難されて動きを止めた。
「蛙魔獣とかキモイのよ!もう!本当にいいかげんにしてよ!」
令嬢に言われて、マイルズ君の顔がくしゃっと歪んだ。
「なんだよ!ニコラ!そんな言い方しなくたって良いじゃないか!」
「キモイの無理なの!嫌だって言っているのに持って来ないでよ!」
「そうよ!見た目も臭いもホント無理!大嫌い!」
「ミリーまで!」
ニコラちゃんとミリーちゃんに責められたマイルズ君は「わー!」と叫びながら水路の下流の水際の方に向かって駆けていく。
ヤンティス君もその後に続く。
「せっかく見せに来たのに!」
「もう、こんなの要らねー!」
ザバーン!とバケツをひっくり返して中身を水路に放り込んだ。ブヨブヨ黒光りしたピンポン球みたいな沢山の球体と、野球のグローブみたいな大きさの黒光りしたやつが見えた。
あれが蛙魔獣かな。
コーン!コローン!
泣きそうな顔でバケツの中身を水路に捨てた二人はバケツも放り投げた。
あれ、ちょっと待って。蛙魔獣は冬眠中って言ってなかった?
「ちょっと!まずいだろう、それ!」
「ああ!何してんのさ!」
ラオウル君が僕とギルベルト君を後ろに引っぱった。足がお湯から出る。ラルフ君とロルフ君も温泉水路から慌てて足を抜いた。
ザバ!ビュッ!ザシュ!ザシュ!
「「わわーー!!」」
「「キャー!!」」
一瞬だった。
水路に投げ捨てられた野球のグローブ大の蛙魔獣ニ体が温泉水で一気に目覚めたらしく水路の外に飛び出して来た。
水路脇に突っ立っていたマイルズ君にヤンティス君に向かって、長い舌を鞭のようにふるって来た。
リヒャルトさんとインゴさんが蛙魔獣の舌と本体を剣で斬り捨てた。
転がった蛙魔獣の半身が令嬢達の方に転がって行き、悲鳴があがった。周囲には蛙魔獣の血が飛び散っている。
マイルズ君とヤンティス君は尻餅をついて真っ青な顔をしていた。
一瞬の事だったけど、彼らに向かって口を大きく開いた蛙魔獣の顔は、その身体の大きさの何倍にも見えて恐ろしい形相だった。
現れたのは、朱色の髪の男の子。
先に来ていた男の子二人が、朱色の髪の子の方を振り向いた。
「サミュエル、君はそうやってすぐ女子の味方につこうとするよな。」
「誰の味方かどうかじゃないよ。蛙魔獣はダメだって!臭いし!」
反論されてサミュエル君はちょっと呆れた様子で言った。
彼らが話している間に、リヒャルトさんとインゴさんは僕達にレモネードのカップを配って、お姉さんから残りの二つのカップも受け取っていた。
ホットレモネードはまだホカホカだった。良かった!甘酸っぱくて美味しい!温度もちょうど飲み頃だ。
でも、ちょっと冬眠中の蛙魔獣は気になるなぁ。
どうやら蛙魔獣を持った彼らから逃げてこちらまで走ってきたらしい令嬢二人は、少し離れた位置に立ち止まっていた。そして困った顔で男の子達を見つめている。
「蛙魔獣だけじゃないんだ。蛙魔獣の卵もあるんだよ。」
「やめてよ!マイルズ!サイテー!」
「ホント、嫌!」
持っていたバケツを突き出して、蛙魔獣の卵を見せたらしいマイルズ君は令嬢に非難されて動きを止めた。
「蛙魔獣とかキモイのよ!もう!本当にいいかげんにしてよ!」
令嬢に言われて、マイルズ君の顔がくしゃっと歪んだ。
「なんだよ!ニコラ!そんな言い方しなくたって良いじゃないか!」
「キモイの無理なの!嫌だって言っているのに持って来ないでよ!」
「そうよ!見た目も臭いもホント無理!大嫌い!」
「ミリーまで!」
ニコラちゃんとミリーちゃんに責められたマイルズ君は「わー!」と叫びながら水路の下流の水際の方に向かって駆けていく。
ヤンティス君もその後に続く。
「せっかく見せに来たのに!」
「もう、こんなの要らねー!」
ザバーン!とバケツをひっくり返して中身を水路に放り込んだ。ブヨブヨ黒光りしたピンポン球みたいな沢山の球体と、野球のグローブみたいな大きさの黒光りしたやつが見えた。
あれが蛙魔獣かな。
コーン!コローン!
泣きそうな顔でバケツの中身を水路に捨てた二人はバケツも放り投げた。
あれ、ちょっと待って。蛙魔獣は冬眠中って言ってなかった?
「ちょっと!まずいだろう、それ!」
「ああ!何してんのさ!」
ラオウル君が僕とギルベルト君を後ろに引っぱった。足がお湯から出る。ラルフ君とロルフ君も温泉水路から慌てて足を抜いた。
ザバ!ビュッ!ザシュ!ザシュ!
「「わわーー!!」」
「「キャー!!」」
一瞬だった。
水路に投げ捨てられた野球のグローブ大の蛙魔獣ニ体が温泉水で一気に目覚めたらしく水路の外に飛び出して来た。
水路脇に突っ立っていたマイルズ君にヤンティス君に向かって、長い舌を鞭のようにふるって来た。
リヒャルトさんとインゴさんが蛙魔獣の舌と本体を剣で斬り捨てた。
転がった蛙魔獣の半身が令嬢達の方に転がって行き、悲鳴があがった。周囲には蛙魔獣の血が飛び散っている。
マイルズ君とヤンティス君は尻餅をついて真っ青な顔をしていた。
一瞬の事だったけど、彼らに向かって口を大きく開いた蛙魔獣の顔は、その身体の大きさの何倍にも見えて恐ろしい形相だった。
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